株式市場動向
2026年7月2日の米国株式市場は、雇用データの減速を受けて連邦準備制度理事会による早期の追加利上げ懸念が和らいだことが影響しましちた。ダウ工業株相場は前日比1.14パーセント高の52,900.07ドルで取引を終えた一方、S&P 500種株価指数は7,483.24ドルと横ばいにとどまり、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は0.80パーセント安の25,832.67ドルで終了しました。朝方に発表された6月の非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に下回ったことで、一時は株式市場に安心感が広がったものの、半導体セクターの大幅な下落が相場の重荷となりました。年初来の騰落率では、半導体銘柄が3桁の急上昇を記録し、ナスダック100指数が約20パーセント上昇、S&P 500種株価指数が約9パーセント上昇する中で、これまで市場を牽引してきたマグニフィセント・セブンは総リターンベースで約2パーセント下落するなど、市場の主導権に変化が見られています。セクター別では、人工知能インフラやクラウド関連銘柄が過剰投資への懸念から下落を主導したほか、電気自動車大手のテスラが好決算にもかかわらず急落し、市場全体のセンチメントに影響を与えました。
東京市場では、日経平均株価が4日ぶりに反落し、前日比1741円81銭安の6万8733円15銭で取引を終えました。後場にかけて売り圧力が強まり、その日の安値圏で引ける形となりました。終値で7万円の大台を下回るのは6月29日以来です。米国市場における半導体株安の流れを引き継ぎ、値がさの半導体やAI関連株を中心に売りが先行しました。特にアドバンテスト、東京エレクトロン、キオクシアホールディングスの3銘柄が日経平均株価を1200円以上押し下げました。
一方で、TOPIXは4日続伸を記録し、4000ポイントの大台を維持して取引を終えました。一時は4049ポイントまで上昇し高値を更新する場面もありました。東証プライム市場全体では全体の8割以上にあたる1215銘柄から1328銘柄が値上がりし、値下がりは218銘柄から375銘柄にとどまりました。半導体やAI関連の主力銘柄から資金が流出し、ボラティリティが高まる一方で、これまで出遅れていたバリュー株やディフェンシブ株、ソフトウェア関連株に幅広い買いが向かい、日経平均株価とTOPIXの格差を示すNT倍率は大きく低下しました。また、東証グロース市場250指数は2%を超える上昇を見せ、大幅に反発しました。
アジア市場では、韓国総合株価指数が一時7%近く値下がりしてサーキットブレーカーが発動するなど、最終的に4.9%から7.8%安と大幅に続落しました。台湾加権指数は0.5%から1.2%安、上海総合指数は1.3%から1.5%安となり、ともに4日ぶりに反落しました。外貨建て取引やハイテク株の売りの影響を受けました。一方で、香港ハンセン指数は0.6%から1.2%の上昇を記録し、反発しました。
為替・金利・コモディティ
【為替市場】
外国為替市場では、米国の雇用データが弱含んだことを受けてドルが主要通貨に対して下落しました。ドルインデックスは前日比0.78パーセント下落して100.61.1463を記録し、ドルの回復基調に一時的なブレーキがかかりました。一方、日本円は対ドルで一時40年ぶりの安値水準となる1ドル162.38円まで下落した後にやや買い戻されましたが、市場では米国が祝日を控えて流動性が低下するタイミングを狙った日本当局による通貨介入への警戒感が依然として高まっています。また、デンマーク中央銀行はユーロに対するクローネのペッグ制を維持するため、6月に市場でネット7億クローネ、金額にして1億1000万ドル相当のクローネ買い介入を実施したことを発表しました。これは2020年3月以来のクローネ防衛介入であり、政府の大規模投資や企業の海外支出を背景とした通貨下落に対抗するための措置です。
【金利動向】
債券市場では、雇用統計の発表後に国債が買われ、利回りが低下しました。金融政策の変更に敏感な2年債利回りは6ベーシスポイント低下して4.11パーセントとなり、長期金利の指標である10年債利回りは1.4ベーシスポイント低下して4.461パーセントを記録しました。市場では今月の連邦公開市場委員会での利上げ確率の織り込みが、データ発表前の33パーセントから約20パーセントへと急低下しています。イングランド銀行の金融政策委員であるキャサリン・マン氏はロンドンでのスピーチで、インフレ期待が目標の2パーセントから乖離し続けた場合は積極的な利上げを行う用意があると表明しつつも、金融引き締まり状況を考慮して6月は金利据え置きに投票した背景を説明しました。
【コモディティ市場】
コモディティ市場では、原油価格が米国とイランの暫定和平合意に伴うホルムズ海峡の再開進展を受けて下落し、イラン戦争前の水準まで戻りました。ニューヨーク市場のウェスト・テキサス・インターミディエイト原油先物価格は前日比1.3パーセント安の1バレル67.69ドル、ロンドン市場の北海ブレント原油先物価格は1パーセント安 of 70.83ドルに低下しました。イラン戦争時には供給懸念からブレント原油が1バレル126.41ドルまで高騰していましたが、地政学リスクプレミアムが経済への適応メカニズムにより急速に剥落した形です。ただし、グローバルな精製能力の逼迫やウクライナによるロシア製油所への攻撃に伴うディーゼル供給不足から、原油価格の下落に対してガソリンやディーゼルの精製マージンであるクラックスプレッドは依然として高水準を維持しており、米国の店頭ガソリン価格は1ガロン3.80ドル超と高止まりしています。
マクロ環境・政策動向
【地政学リスク・外交】
米国とイランの停戦協定調印から約2週間が経過し、ホルムズ海峡を経由した商業航行は回復しつつありますが、戦前の水準には遠く及ばない状況が続いています。7月1日時点で同海峡を通過した石油タンカーは37隻と、戦争中の1日10隻前後からは増加したものの、戦前の1日100隻超という水準を大きく下回っています。さらに、イギリスやフランスなどの欧州主要国は、戦後の安全確保や脱汚染のコストとして、航行する船舶がイランとオマーンに対してサービス手数料を支払うことは避けられないという認識を内々に固めつつあります。これに対し、米国や湾岸アラブ諸国は国際海事法への抵触や悪しき前例になるリスクを理由に、いかなる手数料の徴収にも反対を続けており、外交的な対立の火種となっています。
【金融政策】
米国労働省が発表した6月の非農業部門雇用者数は57,000人増となり、市場予想の113,000人増を大幅に下回りました。また、過去2ヶ月分の数値も合計で74,000人下方修正され、5月分は129,000人増、4月分は148,000人増へと見直されています。失業率は4.2パーセントへとわずかに低下したものの、これは労働力人口が急減し、労働参加率が0.3パーセント低下の61.5パーセントと5年ぶりの低水準に落ち込んだことが要因です。この結果について、サンフランシスコ連邦準備銀行のメアリー・デーリー総裁は、現在の政策金利がインフレを抑制するのに適度に引き締め的な位置にあるとの見解を示しつつ、経済の不確実性が高いため今後の動向を慎重に見極める必要があると語りました。
【制度・政策】
トランプ政権の経済政策や大統領個人の資産運用に関する新たな事実が、開示資料から明らかになりました。連邦政府が公表した2025年の財務開示書類によると、ドナルド・トランプ大統領は就任初年度に6億ドルから18億6000万ドル相当にのぼる21,000回以上の証券取引を、自身が発言した政策変更による市場のボラティリティに連動させる形で実施していました。また、大統領は同年に暗号資産やミームコイン関連事業から少なくとも14億ドルを稼ぎ出したことも判明しています。これに関連し、前政権の税制改革で創設された子供向けの投資口座であるトランプ・アカウントが7月4日に正式に開設されますが、現在までに登録を済ませた児童は対象者の10パーセント未満である約600万人にとどまっており、周知不足や名称の政治的偏りが普及の障壁になっていると指摘されています。
米国個別銘柄動向
【自動車セクター】
・Tesla Inc. (TSLA) :第2四半期の世界引き渡し台数が前年同期比25パーセント増の480,126台に達し、市場予想の406,000台を大幅に上回ったと発表しました。欧州市場での価格引き下げや低金利リースの導入が奏功し、米国市場での税制優遇廃止に伴う20パーセントの販売減を補いました。また、同四半期に13.5ギガワット時のエネルギー貯蔵製品を配備したことも公表されましたが、株価は目先の好材料出尽くし感から約8パーセント急落しました。
・Rivian Automotive Inc. (RIVN) :第2四半期の車両引き渡し台数が12,194台となり、自社予測である9,000台から11,000台の範囲を上回ったことを明らかにしました。主力のR1シリーズおよび配送用バンの好調な売れ行きを背景に、通年の引き渡し見通しを従来の最大65,000台から、65,000台から70,000台の範囲へと上方修正し、株価は8パーセント急上昇しました。
・Lucid Group Inc. (LCID) :第2四半期の引き渡し台数が3,953台にとどまり、市場予想の約5,000台を下回ったと発表しました。あわせて最高財務責任者であるタウフィク・ブセイド氏の退任を含む組織再編も公表され、株価は下落しました。
・Ford Motor Co. (F) :第2四半期の全体の販売台数が前年同期比で10パーセント減少したことを明らかにしました。電気自動車の販売が40.7パーセント減少したほか、ハイブリッド車の販売も20パーセント減少したことが響き、株価は下落しました。
・General Motors Co. (GM) :第2四半期の米国内販売台数が前年同期比で4.2パーセント減少したと発表しました。電気自動車市場の縮小や一部モデルの生産終了、在庫の制約が影響したとしています。
【テクノロジー・人工知能セクター】
・Microsoft Corp. (MSFT) :企業の人工知能導入を技術面および strategic面から支援するため、6,000人の従業員で構成される専門の新組織を立ち上げたと発表しました。人工知能の導入コスト肥大化に悩む顧客企業に対し、安価なモデルへの切り替えなどを助言する計画です。
・Anthropic PBC :サムスン電子との間で、独自の人工知能チップの製造パートナーシップに向けた初期段階の協議を行っていると報じられました。同社は供給網の多様化を模索していますが、既存のグーグルやエヌビディアのプロセッサも群を抜いて計算戦略の中核にとどまるとしています。
・Kling AI :クアイショウ・テクノロジーからスピンオフした人工知能動画生成スタートアップであり、ベンチャーキャピタルから20億ドルの初期資金を調達したことが明らかになりました。3月の年間繰り返し収入が5億ドルに達するなど急成長しており、調達後の評価額は150億ドルに達しています。
・ElevenLabs :従業員や初期投資家が保有株を売却できるセカンダリー・オファリングに向けて投資家と初期協議に入ったことが報じられました。この取引が成立した場合の企業評価額は約220億ドルと試算されており、2月に実施された資金調達時の110億ドルから倍増する見通しです。
・Alarum Technologies Ltd. (ALAR) :子会社であるネットナットの住宅用プロキシネットワークが、ユーザーの同意なしに家庭用機器を不正に接続していた疑いを持たれています。連邦捜査局による捜査の一環として複数のインターネットドメインが押収されたことが発表され、法的リスクが高まっています。
【金融・プライベートクレジットセクター】
・Blue Owl Capital Inc. (OWL) :第2四半期に同社の主要な2つのプライベートクレジットファンドに対して、合計47億ドルの解約請求があったことを報告しました。最大規模のクレジットインカムファンドから36億ドル、テック特化ファンドから11億ドルの流出要求があり、同社は四半期あたりの解約上限を5パーセントに制限する措置を講じたため、株価は1.26パーセント下落しました。
・Securitize :資産をブロックチェーンベースのトークンに変換するデジタル証券インフラ企業であり、約12.5億ドルの企業価値評価のもとでニューヨーク証券取引所へ上場し、取引を開始しました。同社はブラックロックと提携してデジタル流動性ファンドを運営しており、第1四半期の売上高は前年同期比39パーセント増の1,950万ドルを記録しています。
・Julius Baer Group Ltd. (BAER) :オーストリアの不動産王レネ・ベンコ氏の企業グループへの融資に伴う7億ドルの損失処理に目処が立ち、政治的に影響力のある人物などの高リスク顧客の新規受け入れ禁止措置を解除する準備を進めていることが明らかになりました。スイスの規制当局であるFinmaによる調査が下半期に正式終了する見通しとなったことで、株価は2.9パーセント上昇しました。
・UBS Group AG (UBS) :スイス国立銀行が公表した金融安定報告書について、事実を歪めており誤解を招く内容であるとして強く批判しました。当局は外国部門に対する100パーセントの資本裏付けを求めており、同行はこれが国際的な競争力を著しく損なうと反発しています。
・Susquehanna International Group :中国当局が5月に実施したクロスボーダー・ブローカーへの規制強化を前に、身元不明のトレーダーらが不審なオプション取引によって1億ドルの利益を上げていたとして訴訟を提起しました。同行は取引の相手方として7,000万ドル超の損失を被っており、連邦司法省の刑事部門がインサイダー取引の疑いで初期捜査を開始しました。
【その他のセクター】
・Adani Enterprises Ltd. (ADANIENS) :機関投資家を対象とした適格機関投資家向け株式公開を通じて、最大1000億ルピー、約10億ドル相当の資金調達を開始したことが明らかになりました。今回の資本増強は、米国当局との間で行われていた不正疑惑に関する調査について、計2億7500万ドルの罰金を支払って和解に達したことを受けて実施されました。
・Chanel :フランス最古の高級シャツメーカーであるシャルベを買収することで合意したと発表しました。買収条件の詳細な金額は非公表ですが、シャルベの職人技を自社グループ内で永続的に保護することを目的としています。
・Jersey Mike’s Subs Inc. (JMKE) :ブラックロックや他のプライベートクレジット市場の動向が注目される中、ニューヨーク証券取引所への新規株式公開を申請しました。世界で3,300以上の店舗を展開する同社は、今回の市場上場において120億ドル以上の企業価値評価を求めています。
・Cumberland Farms Ltd (CMBY) :コンビニエンスストアおよびガソリンスタンドを運営する企業であり、ナスダック市場への新規株式公開を申請しました。提出された書類によると、直近の3ヶ月間で売上高が約40億ドルに達したものの、9,500万ドルの純損失を計上しています。
・Sound Inpatient Physicians Inc. :病院の人員配置を手がける企業ですが、ベンチマークを5パーセント上回る高利回りを提示したにもかかわらず、市場での需要不足を理由に、バークレイズが主導していた9億6000万ドルのレバレッジドローンによる資金調達計画を撤回しました。
日本個別銘柄動向
【テクノロジー・半導体】
・キオクシアホールディングス(285A):米国市場での半導体メモリー株の急落や、株主総会における株式分割への言及に伴う需給懸念、信用買い残の重さが響き、株価は一時15%安の7万5000円まで急落し、終値で13%安と大幅に続落しました。最高値から3割超の下落を記録しています。
・アドバンテスト(6857):半導体検査装置のバリュエーション調整が進む中、株価は9%を超える大幅下落を記録し、日経平均株価を大きく押し下げる要因となりました。
・東京エレクトロン(8035):半導体製造装置大手。株価は5%から6.6%の下落を記録し、アドバンテストとともに日経平均株価の下押し役となりました。
・NEC(6701):システム開発を担う完全子会社のNECソリューションイノベーターを吸収合併し、約2万人規模のエンジニア体制を一気通貫で一体化すると発表し、株価は4000円台に乗せて上昇しました。
【卸売・商業】
・三井物産(8031):米投資会社のバークシャー・ハサウェイによる買い増し報告により、保有比率が従来の9%台から10.83%に高まったことが判明し、株価は一時5%近く急反発しました。
・丸紅(8032):バークシャー・ハサウェイによる保有比率が10.32%に高まったことが大量保有報告書の変更報告書で明らかになり、株価は4%近く上昇しました。
【小売・外食】
・ファーストリテイリング(9983):国内ユニクロ事業における6月の既存店売上高が前年同月比14%減となり、半年ぶりにマイナスに転じたと発表したことから、株価は3日続落となりました。
・ワークマン(7564):6月の既存店売上高が前年同月比8.8%減となり、5ヶ月ぶりに減収へ転じたと発表しました。全国的な気温の低下による夏物商品の不振が響き、株価は一時11%を超えて急落し年初来安値を更新しました。
・スカイラークホールディングス(3197):3年間の中期経営計画中に3件から5件のM&Aを実行する方針であり、数百億円から数千億円規模の投資余力を備えていると報じられたことから、株価は3日ぶりに反発し2%を超える上昇となりました。
【エンターテインメント】
・ソニーグループ(6758):家庭用ゲーム機プレイステーションにおいて、2028年1月以降に発売する新作ソフトをダウンロード版のみとし、ディスク形式での販売を終了すると発表しました。収益性の改善期待から、株価は3%から4%を超える上昇を見せました。
【医薬品】
・大塚ホールディングス(4578):開発中の腎臓病治療薬の臨床試験において統計学的に有意な腎機能の安定化を達成したと発表し、株価は9%を超える急上昇を記録して日経平均株価構成銘柄の値上がり率トップとなりました。
【重工業・宇宙】
・川崎重工業(7012):新株発行と転換社債型新株予約権付社債の発行により、フィジカルAI分野などへの投資資金として1937億円を調達すると発表し、後場に株価は一段高となり高値圏を維持しました。
・QPS研究所(5595):2026年5月期の通期営業損益が従来予想から4億円改善し8億円の赤字にとどまる見込みであると発表しました。宇宙戦略基金の補助金前倒し計上などが寄与した一方、売上高は予想から2億円下振れの38億円に修正され、株価は一時6.5%超の上記を記録しました。