#78 7月6日(月) 相場レポート

株式市場動向

    2026年7月6日の米国株式市場は、先週に下落したハイテク株や半導体株の買い戻しが主導し、主要指数が上昇しました。ナスダック総合指数は1.1パーセント上昇し、S&P 500指数は0.7パーセント上昇、ダウ工業株30種平均は155ポイント、0.3パーセントの上昇を記録しました。市場を動かしたマクロ要因として、米国とイランの暫定停戦合意に伴うホルムズ海峡の商船通行の回復、およびOPECプラスによる8月からの増産発表が挙げられます。これらがエネルギー価格を押し下げ、中央銀行によるインフレ対応への圧力を緩和させるとの期待が広がりました。セクター別では、人工知能インフラに関連する半導体製造やストレージ関連の企業が力強く反発した一方で、サッカーワールドカップにおける中南米主要国の早期敗退を背景に、大手ビール製造などの消費財セクターが下落しました。

    為替・金利・コモディティ

      【為替市場】

      外国為替市場では、連邦準備制度理事会のケビン・ウォーシュ議長が物価安定の回復に向けて利上げを辞さない姿勢を示したことを受け、ドル買いが優勢となりました。商品先物取引委員会のデータによると、グローバルトレーダーによるドル強気派の wagersは6月30日時点で約400億ドルに達し、2015年以来の高水準を記録しました。一方、日本円は日米の金利差を背景に1ドル162円を突破し、1986年以来約40年ぶりの安値水準へ下落したため、ヘッジファンドの円売り持ち高は13万8000枚近くまで急増して2007年以来の低水準となりました。片山さつき財務大臣は、外国為替市場の動向に対していつでも適切な行動をとる準備があると強調しました。また、イスラエル・シェケルは、イスラエル銀行が基本金利を引き下げたことを受けて先月に対ドルで5パーセント以上下落しました。

      【金利動向】

      米国の国債市場では、10年債利回りが4.47パーセントへとわずかに上昇し、5営業日連続の上昇を記録しました。これは連邦準備制度理事会のクリストファー・ウォーラー理事が、労働市場の安定化に対し、インフレが再び加速しているとの認識を示したことで、早期の利下げ期待が後退したためです。一方、イスラエル銀行は基本金利を3.75パーセントから3.50パーセントに引き下げ、2会合連続の利下げを行いました。同行は、自国通貨の Persistentな上昇がテクノロジー企業などの輸出業者の利益を圧迫しているとする財界の要請や、ベザレル・スモトリッチ財務大臣の減利要求に応じた形です。

      【コモディティ市場】

      原油市場では、国際指標であるブレント原油先物が0.2パーセント下落し、1バレル=約72ドルで取引を終え、紛争前の水準付近に落ち着きました。サウジアラビアをはじめとするOPECプラスの加盟国が、ホルムズ海峡の封鎖解除を受けて8月から生産枠を拡大すると表明したため、市場ではアジア向け供給過剰への懸念から売りが優勢となりました。貴金属市場では、ゴールドの継続契約価格が1.20パーセント上昇し、4175.10ドルに達しました。

      マクロ環境・政策動向

        【地政学リスク・外交】

        米国とイランの間で先月に成立した暫定停戦合意を受け、世界のエネルギー流通の要衝であるホルムズ海峡の商船通行が回復し始めています。船舶データ会社クプラーによると、直近の3日間に108隻の船舶が通過しました。しかし、イラン軍が沿岸の指定ルートを通過しない商船を攻撃する事例が発生しており、伝統的な中央ルートに敷設された機雷の危険性も含め、航行の安全性確保に向けた米国とイランの交渉は依然として予断を許さない状況です。また、イギリス 議会は、外国の敵対勢力による国内の攻撃や工作に対抗するため、国家安全保障(国家の脅威)法をファストトラックで可決しました。これにより、シャバナ・マフムード内務大臣は、イランのイスラム革命防衛隊などのプロキシ組織に対する強力な取り締まり権限を保有することになります。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は7月6日と7日の日程でシリアを訪問し、アサド政権の崩壊後に欧州連合の指導者として初めてハメド・アルシャラー暫定大統領の政権との外交関係構築と中東の安定化、物流ルートの多様化を推進しました。

        【金融政策】

        連邦準備制度理事会のクリストファー・ウォーラー理事はローマでの会合において、フォワードガイダンスはパンデミック期のインフレ抑制期に一定の効果を上げた有用な政策ツールであるとしつつも、過度に硬直的な運用が政策決定の柔軟性を損なったと指摘しました。これは新議長であるケビン・ウォーシュ氏がフォワードガイダンスの使用を止め、経済データに基づき機動的に金利を決定する方針へ移行していることを支持するものです。一方、欧州中央銀行の執行理事であるイザベル・シュナーベル氏は、原油価格が下落したからといって紛争前の安定したマクロ環境に戻ったわけではないと警告し、インフラやサプライチェーンの圧力、およびコアインフレの強さが賃金上昇を呼び込むリスクを強調しました。

        【制度・政策】

        米国では、昨年可決された共和党の大型減税・支出法案に基づき、18歳未満の子供を対象とした税制優遇投資口座であるトランプ・アカウント、正式名称530Aアカウントの最初の取引が月曜日に開始されました。連邦政府は2025年から2028年までに生まれた子供を対象に1000ドルのシード資金を Treasuryから提供し、社会保障局は病院を通じて新生児を自動的にアカウントに登録するシステムの運用を今週から開始します。一方で、低所得層における申請手続きの煩雑さや、世代間の資産格差を広げる懸念について、ルーベン・ガジェゴ上院議員やコリー・ブッカー上院議員らが制度改善に向けた超党派の法案を模索しています。インドネシアでは、プラボウォ・スビアント大統領が掲げる年率8パーセントの経済成長目標に向け、バリ島などを候補地とした国際金融センターの設立法案が審議されており、 zone内で活動する企業や海外金融専門家に対して所得税率を実質0パーセントにする大規模な優遇措置を検討しています。

        個別銘柄動向

          【テクノロジー】

          ・Broadcom Inc. (AVGO):Apple Inc.との間で多年契約を締結し、カスタムASICチップを複数世代の製品向けに供給するパートナーシップを2031年まで延長したと発表しました。これにより、同社の株価は3.81パーセント上昇しました。

          ・Apple Inc. (AAPL):Broadcom Inc.との長期的なチップ供給提携の拡大を発表しました。これを受けて株価は1.55パーセント上昇しました。

          ・Microsoft Corp(MSFT):ゲーム部門であるXboxの3200人の人員削減を含む、全社で合計6400人の人員を削減する大規模な組織再編計画を発表しました。これに伴い、4つのゲーム開発スタジオを分社化します。

          ・Alibaba Group Holding Ltd.:オープンソースの人工知能モデルであるQwenが世界的なダウンロード数を記録しているものの、収益化の遅れや主要エンジニアの離職、アメリカによる輸出規制という課題に直面しています。これらを背景に、香港市場における同社の株価は今年37パーセント下落しています。

          ・Criteo SA:Vista Equity PartnersおよびQuinti Capitalから共同での買収提案を受けたと報じられました。これにより、アメリカ預託証券の株価は18パーセント上昇して22.49ドルに達しました。

          【半導体・ハードウェア】

          ・SK Hynix Inc. (000660):ナスダック市場への上場手続きを開始し、アメリカ預託証券を通じて280億ドルの資金調達を目指していることが公表されました。これを受けて、韓国市場での株価は3.38パーセント下落しました。

          ・Samsung Electronics Co. (005930):人工知能分野の旺盛な需要を背景に、ダイナミックランダムアクセスメモリチップの平均販売価格を20パーセント引き上げる計画が報じられました。当日の株価は2.75パーセント上昇しました。

          ・Micron Technology Inc. (MU):新設されたトランプ・アカウントへ2億5000万ドルを投資することを表明したほか、半導体セクター全体の買い戻しの動きを背景に、株価が3.47パーセント上昇しました。

          ・Advanced Micro Devices Inc. (AMD):半導体株全体の反発の波に乗り、株価は9.17パーセント急上昇しました。

          ・Western Digital Corp. (WDC):記憶装置への根強い需要を背景に、株価は7.23パーセント上昇しました。

          ・Seagate Technology Holdings plc (STX):半導体セクターにおける投資家の楽観論の回復を背景に、株価は5.26パーセント上昇しました。

          ・Marvell Technology Inc. (MRVL):カスタムチップ分野での優位性を背景に、株価は4.28パーセント上昇しました。

          【エネルギー・コモディティ】

          ・Saudi Aramco:アジア向けの主要油種であるアラブ・ライトの8月積み価格について、前月比で1バレルあたり11ドル引き下げ、地域ベンチマークに対して1.50ドルのディスカウントとすることを通知しました。これは過去26年間で最大の引き下げ幅となります。

          ・TeraWulf Inc. (WULF):人工知能スタートアップのAnthropicとの間で、ケンタッキー州のデータセンター施設に関する20年間のリース契約を締結したと発表しました。これにより期間中に約190億ドルの契約収益が見込まれ、株価は14.49パーセント急騰しました。

          ・MicroStrategy Inc. (MSTR):規制当局への提出書類において、合計2億1600万ドル相当のビットコインを売却したことを開示しました。これまでの保有方針の変更が市場心理の重荷となりましたが、株価は1.37パーセント上昇しました。

          【金融】

          ・Klarna Bank AB (KLAR):ユタ州の規制当局に対し、連邦預金保険公社が保証するアメリカの銀行子会社の設立を申請したと発表しました。当日の株価は1.50パーセント下落しました。

          ・Hub International Holdings Inc.:新規株式公開を通じて約30億ドルの資金調達を目指しており、6月下旬に秘密裏に上場申請を行っていたことが明らかになりました。

          ・Citadel Securities LLC:Susquehanna International Groupが提起したインサイダー取引訴訟への参加を裁判所に求めました。同社はこの不正スキームによって約2800万ドルの損失を被ったと主張しています。

          ・KKR & Co. Inc.:個人投資家向けのプライベートクレジットファンドにおいて、第2四半期の払い戻し請求を制限することなく全額満たしたと発表し、当該資産クラスに対する skittishnessが和らいでいることを示しました。

          ・Tether Holdings SA:元最高投資責任者であるリチャード・ヒースコート氏が、自身の保有する1.26パーセントの株式の一部を売却する計画を進めていることが判明しました。

          【不動産・建設】

          ・Oberoi Realty Ltd.:インドにおける高級住宅の堅調な需要を背景に、今年度(3月まで)の売上高が前年比で2倍以上の1350億ルピー、約14億ドルに達する見通しであると発表しました。

          【自動車・運輸】

          ・Hertz Global Holdings Inc.:新株および転換社債の同時募集と、市場予想を下回る決算予測を発表したことを受け、空売り比率が浮動株の56パーセント以上に急増しました。当日の株価は2.6パーセント下落しました。

          【消費財・小売】

          ・Anheuser-Busch InBev SA:サッカーワールドカップにおいてブラジルとメキシコが早期敗退したことを受け、ラテンアメリカ市場でのビール消費拡大の期待が剥落しました。これに伴い、ブリュッセル市場における株価は4パーセント以上下落しました。

          ・Heineken NV:ワールドカップにおける中南米主要国の敗退に起因する販売不振懸念から、アムステルダム市場における株価は1.4パーセント下落しました。

          ・Constellation Brands Inc. (STZ):同様にワールドカップの試合結果が今後の販売数量の重荷になるとの見方から、株価は5.9パーセント下落しました。

          ・Bath & Body Works Inc.:ダニエル・ヒーフ最高経営責任者の下で、Ulta Beautyの店舗やAmazonでの製品販売を今月から開始する拡大戦略を発表しました。

          【防衛】

          ・Lockheed Martin Corp.:プライベートエクイティのアドベント傘下である海軍防衛企業Ultra Maritimeを34億5000万ドルで買収することに合意したと発表しました。