#80 7月8日(水) 相場レポート

株式市場動向

7月8日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が前日比576.67ドル下落し、下落率は1.09パーセントとなって52348.39ドルで取引を終えました。これは6月10日以来の1日あたりの最大下落幅です。S&P500種株価指数は21.14ポイント、率にして0.28パーセント下落し、7482.71で引けました。一方、ナスダック総合指数は51.96ポイント、率にして0.20パーセント上昇し、25870.65で取引を終了しました。市場を動かした主要なマクロ要因として、Donald Trump大統領が米国とイランの停戦合意は終了したと宣言し、米国中央軍がイランに対して新たな軍事攻撃を開始したことが挙げられます。これにより世界の原油価格が急騰し、米国債利回りが上昇したことで、リスク資産全体に対する世界的な売り圧力が強まりました。セクター別の傾向では、S&P500の情報通信技術セクターが半導体関連株の反発に牽引されて1.32パーセント上昇しました。過去数週間で半導体株は2兆1000億ドル規模の売りを浴びており、情報通信技術セクターを構成する銘柄の約69パーセントが52週間の日中高値から20パーセント以上下落している状況にあります。また、エネルギーセクターも原油価格の上昇を受けて0.6パーセント以上の値上がりを示しました。

日本の株式市場では、日経平均株価は3日続落となりました。前日の米国市場で主要株価指数が揃って下落したことや、中東情勢の緊迫化を受けた原油先物価格の上昇が株価の重荷となり、売りが先行してスタートしました。朝方には韓国の総合株価指数の反発に連動して下げ渋り、プラス圏に浮上する場面も見られましたが、買いは続きませんでした。大引けにかけて下げ幅を広げ、最終的に前日比1437円91銭安の66,819円50銭で安値引けとなりました。

東証プライム市場の売買代金は約11兆1412億円に達し、全体の6割を超える銘柄が値下がりしました。株価指数別では、TOPIXが1.3%安、JPX日経インデックス400が1.5%安、東証グロース市場250指数が2.6%安と、主要指数が揃って下落しています。セクター別では、鉱業や海運業、パルプ・紙などが上昇した一方で、精密機器、非鉄金属、機械などが下落しました。とくに半導体関連株への売りが目立ち、指数を押し下げる要因となりました。

為替・金利・コモディティ

【為替市場】

ブルームバーグ・ドル・スポット指数は最大0.2パーセント上昇しました。米国とイランの全面戦争再開への懸念が高まったことで、投資家が安全資産への資金逃避を進めたことが要因です。米ドルは2営業日連続で上昇し、過去1週間で最大の2日間上昇率を記録しました。その他の通貨ペアの具体的な動きとして、メキシコペソは対ドルで0.56パーセント下落して17.6074ペソとなり、チリペソは0.76パーセント下落して936.69ペソ、ペルーソルは0.28パーセント下落して3.4064ソルで取引されました。アルゼンチンでは政府が1月以降70億ドル以上を市場に供給した結果、公式為替レートは1ドルあたり686ボリバルとなり、暗号資産取引プラットフォームのブラックマーケットレートとの差は17パーセントまで縮小しました。

【金利動向】

指標となる米国10年国債利回りは0.027ポイント上昇し、5月以来の最高水準となる4.583パーセントで取引を終えました。米国債利回りの上昇は7営業日連続となり、2024年以来の最長記録を更新しました。Amazon.comが実施した250億ドルの社債発行が、市場の供給過多懸念を通じて米国10年国債利回りの上昇に8ベーシスポイント分の影響を与えたとBank of Americaのアナリストが指摘しています。欧州では、ドイツおよび英国の2年国債利回りがともに10ベーシスポイント上昇し、直近1ヶ月弱での最高水準で取引されました。1年後のユーロ圏消費者物価指数インフレ期待に連動する契約は14ベーシスポイント上昇して1.992パーセントとなりました。市場のヘッジ動向として、トレーダーらは欧州中央銀行による年内の追加引き締めを約35ベーシスポイント、米連邦準備制度理事会による引き締めを36ベーシスポイントと織り込んでいます。

【コモディティ市場】

原油市場では、Brent原油先物が一時8.7パーセント上昇して1バレル80.30ドルをつけ、2週間ぶりの高値となった後、最終的に1.37パーセント上昇の79.09ドルで終値を付けました。米国のWTI原油継続限月は5.91パーセント上昇し、74.60ドルとなりました。原油急騰の背景には、米軍によるイランへの攻撃再開と、イランが国際的に石油を販売することを認めていた制裁免除措置を米国が撤回した事実があります。また、ウクライナのドローン攻撃で製油所が被害を受けたロシアが、国内の燃料不足を回避するためにディーゼル輸出の禁止を発表しました。この発表を受け、ニューヨークのディーゼル先物は一時14パーセント急騰し、原油に対する欧州ディーゼル先物のプレミアムは2011年以来の最高値となる1バレル60ドルを突破しました。米国のプロパン、ディーゼル、ガソリン、ジェット燃料の輸出は過去最高を記録しており、その結果として米国内のガソリン在庫は2012年以来の低い季節水準まで減少しています。金継続限月は、安全資産への需要がドルの強さと金利上昇の観測によって相殺され、1.80パーセント下落の1オンス4082.60ドルとなりました。

マクロ環境・政策動向

【地政学リスク・外交】

トルコのアンカラで開催されたNATO首脳会議において、Donald Trump米国大統領は米国とイランの暫定的な停戦合意は終了したと述べました。米国中央軍はイランの石油輸出の90パーセントを扱うカーグ島や小型船舶など80以上の標的を攻撃し、イラン側もクウェートとバーレーンの軍事基地を攻撃して報復しました。Trump大統領は、イランに対するホルムズ海峡の封鎖を再開する可能性にも言及しました。同首脳会議において、Trump大統領はウクライナのVolodymyr Zelenskyy大統領に対し、米国がパトリオットPAC3迎撃ミサイルをウクライナ国内で製造するためのライセンスを付与する方針を伝えました。さらに、Trump大統領はシリアのAhmed al-Sharaa大統領と会談し、数十年にわたる経済制裁を解除してシリアをテロ支援国家リストから除外すると発表しました。一方、スペインのPedro Sanchez首相がイラン攻撃のための米軍基地使用を拒否し、防衛費のGDP比5パーセント目標にコミットしていないことを理由に、Trump大統領はスペインとのすべての貿易を遮断するようScott Bessent財務長官に指示しました。

【金融政策】

米連邦公開市場委員会は、Kevin Warsh議長のもとで初となる6月16日から17日に開催された会議の議事要旨を公表しました。同委員会はフェデラルファンド金利の誘導目標を3.5パーセントから3.75パーセントの範囲に据え置くことを全会一致で決定しました。議事要旨では、雇用の最大化を妨げる下振れリスクがやや後退した一方で、物価安定に対する上振れリスクが高止まりしているとして、少数の当局者が利上げの根拠があると主張した事実が示されました。人工知能による需要やエネルギー価格の高騰、関税によってインフレが高止まりするシナリオにおいては、ほぼすべての参加者がインフレ率を2パーセントに戻すための政策引き締めが正当化される可能性が高いと指摘しています。また、ルーマニア国立銀行は指標金利を欧州連合で最高の6.5パーセントに据え置き、ポーランド金融政策評議会も主要金利を3.75パーセントに据え置きました。

【制度・政策】

国際通貨基金は、最新の世界経済見通しにおいて2026年の世界経済の成長率予測を3.0パーセントに据え置きました。中東での武力衝突による悪影響を人工知能ブームが相殺したことが理由として挙げられています。ただし、商品価格の高止まりにより2026年の世界のインフレ率は4.7パーセントに上昇すると予測しました。米連邦取引委員会は、Zillow GroupとRedfinが締結した1億ドル規模のアパート賃貸物件掲載の独占契約に対する反トラスト法違反の訴訟を進めており、バージニア州のAnthony Trenga連邦地方判事が事前の差し止め請求を棄却したため、8月24日から公判が開始されることが決定しました。欧州連合は、財政ルールの柔軟な適用対象となるエネルギー支出のカテゴリーに原子力発電を含めることを決定しました。これにより、各国はGDPの0.3パーセントまでのエネルギー関連対策費を、欧州連合が定める財政赤字3パーセントの制限枠外で支出できるようになります。

米国個別銘柄動向

【テクノロジー・通信セクター】

・Micron Technology (MU):株価は直近の高値から25パーセント下落していますが、7月8日は1.11パーセント上昇となる948.80ドルで取引を終えました。

・Broadcom (AVGO):株価は直近の高値から21パーセント下落した水準で推移しており、7月8日は4.83パーセント上昇しました。

・Marvell Technology (MRVL):株価は直近の高値から30パーセント下落しており、7月8日は0.44パーセント上昇しました。

・Samsung Electronics (005930.KS):前年同期比で利益が19倍に増加した暫定決算を発表したものの、株価は高値から25パーセント以上下落しており、夜間取引でさらに6パーセント下落しました。

・SK Hynix (000660.KS):米国ナスダック市場において米国預託証券を通じた280億ドルの資金調達を行うための最終価格を決定する予定であり、需要は売り出し株式数の7倍に達しています。

・Meta Platforms (META):カナダのアルバータ州スタージョン郡に100億ドルを投じて同社初となるデータセンターを建設すると発表しました。同施設は1ギガワットの電力容量を持ち、300人のフルタイム雇用を創出する計画です。

・Nvidia (NVDA):中国政府が国内の人工知能企業に対し、同社製のH200チップを限定的かつ合計20万個未満の範囲で購入することを許可する方針であると報じられました。

・Amazon.com (AMZN):250億ドル規模の社債を発行し、410億ドル相当の注文を集めて募集額の1.6倍の需要を獲得しましたが、2月に実施した社債発行時の4.7倍からは需要が低下しました。・Zillow Group (ZG):Redfinとの1億ドル規模のアパート賃貸物件掲載に関する独占提携について、米国連邦取引委員会が提起した反トラスト法違反訴訟に直面しており、8月24日から公判が開始されます。

【金融・不動産セクター】

・JPMorgan Chase (JPM):企業価値が1億ドルから5億ドルのスモールキャップ企業を対象としたM&Aディールに注力する新たな投資銀行チームを設立し、初期メンバーとして75名以上を配置する計画を発表しました。

・UniCredit (UCG):公開買付けを通じてドイツのCommerzbank株式の50パーセント弱を取得し、議決権の過半数を握る見通しとなったと発表しました。この全額株式交換による買収はCommerzbankの企業価値を430億ユーロと評価するものです。

・Commerzbank (CBK):UniCreditによる50パーセント弱の株式取得発表を受け、ドイツ政府および同社が反対姿勢を示していたものの、合意に基づく解決に向けて建設的な対話を行う用意があると表明しました。

【航空・宇宙・その他セクター】

・Space Exploration Technologies (SPCX):株価は一時過去最低となる145.20ドルまで下落し、新規株式公開時の公開価格である150ドルを下回る149.29ドルで取引を終えました。

・Blue Origin (未上場):外部投資家から初めて資金を調達し、Coatue Managementからの40億ドルや創業者のJeff Bezosからの20億ドルを含む計100億ドルを集め、企業価値が1300億ドルに達したと報じられました。

・Air Canada (AC):Michael Rousseau最高経営責任者が8月末に退任し、後任としてScandinavian AirlinesのトップであるAnko van der Werff氏が就任すると発表しました。

日本個別銘柄動向

【銀行業】

・三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306):国内の長期金利上昇を背景に株価が上昇し、時価総額で国内首位を争う動きを見せました。

【鉱業】

・INPEX(1605):中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の上昇を受け、株価が買われました。

【陸運業】

・東海旅客鉄道(9022):リニア中央新幹線について静岡県知事が着工を容認する考えを示したことで前日に株価が上昇しましたが、当日は利益確定売りに押されて反落しました。

【輸送用機器】

・本田技研工業(7267):日産自動車の主要子会社と、デジタル技術を活用した次世代車両の開発で協業を検討していると報じられました。

・トヨタ自動車(7203):国内市場において時価総額の首位を巡り、金融株などと順位が入れ替わる動きが見られました。

【証券、商品先物取引業】

・SBIホールディングス(8473):大和証券と提携し、ブロックチェーン技術を使ったデジタル証券により対日投資を促す仕組みを構築すると伝わりました。

【機械】

・日本製鋼所(5631):2029年3月期の売上高見通しを200億円引き上げ、4000億円に設定しました。三菱ケミカルグループと次世代パワー半導体向け窒化ガリウム基板の生産能力を増強することも報じられました。

・竹内製作所(6432):今期の業績が減益見通しとなるなか、決算発表を控えて株価が推移しました。

【電気機器】

・アスタリスク(6522):米国で無線自動識別の関連特許を取得し、事業展開を本格化すると発表したことで、前日から連日で株価が急伸しました。

【金属製品】

・放電精密加工研究所(6469):第1四半期決算の発表に合わせて通期の連結業績予想を上方修正し、株価が上昇しました。

【不動産業】

・ヒューリック(3003):東京大学などの受験指導を行う進学塾の鉄緑会を運営する企業を、ベネッセホールディングスから買収して完全子会社化すると発表しました。

【小売業】

・くら寿司(2695):米国子会社のくら寿司USAが売上高見通しを下方修正し、時間外取引で株価が急落しましたが、日本市場の同社株への影響は限定的でした。

・ファーストリテイリング(9983):日経平均株価が軟調に推移するなか、連日で高値を更新する動きを見せました。

・ジンズホールディングス(3046):月次動向において海外地域が伸びていることが明らかになり、高値圏で推移しました。

【食料品】

・わらべや日洋ホールディングス(2918):第1四半期決算において、原材料高や人件費の上昇が響き、純利益が前年同期比37%減となりました。