#82 7月10日(金) 相場レポート

株式市場動向

2026年7月10日の米国株式市場上昇して取引を終えました。ダウ工業株30種平均は150ポイント上昇して5万2637ドルとなりましたが週間では0.5パーセント下落し4週連続の上昇記録が途切れました。S&P500種株価指数は32ポイント上昇の7575ドルとなり週間で1.2パーセント上昇しました。ナスダック総合指数は75ポイント上昇の2万6282ドルとなり週間で1.7パーセント上昇しました。市場では中東の緊張激化が懸念されたものの来週から始まる企業決算への期待が相場を支えました。また韓国のSKハイニックスの米国市場デビューが好感され半導体関連株に注目が集まりました。一方欧州株式市場はテクノロジー株の売りに押されSTOXX600指数は週間で1.8パーセント下落し4週連続の上昇がストップしました。世界の株式ファンドには6月17日以来最大となる492億3000万ドルの資金が流入し米国株式ファンドには249億7000万ドルが流入しました。新興国市場では6月に461億ドルの株式資金が流出し韓国から305億ドルそして台湾から183億ドルが引き揚げられました。

日本株式市場では、米国のハイテク株高を背景に、日経平均株価は人工知能や半導体関連銘柄を中心に買いが先行し、大幅な続伸となりました。取引時間中には一時前日比で1600円を超える上昇幅を記録し、6万9000円台に乗せる場面がありました。その後は利益確定の売りやETFの分配金捻出に伴う換金売りが意識され、伸び悩む展開となりました。最終的な日経平均株価の終値は前日比813円88銭高の68557円73銭で取引を終えています。東証プライム市場では全体の6割以上の銘柄が値上がりしました。業種別では非鉄金属や金属製品、情報通信などの上昇が目立った一方で、海運や小売、保険などは下落しました。また、新興市場のグロース250指数やトピックスも小幅ながら続伸して取引を終えています。

為替・金利・コモディティ

【為替市場】

為替市場ではゴールドマンサックスのストラテジストであるスチュアートジェンキンスがキャリートレードの資金調達通貨として日本円やスイスフランおよびユーロとカナダドルを選好すると報告しました。これは金利差の拡大と通貨ボラティリティの低下が組み合わさったことが理由として挙げられています。ドルインデックスは0.06パーセント上昇しました。

【金利動向】

米国の10年国債利回りは4.56パーセントに上昇し30年国債利回りも5.07パーセントに上昇しました。米国の30年実質金利は2008年11月以来の高水準を記録しました。グローバル債券ファンドには313億4000万ドルの資金が流入し2019年以降で最大の週間流入額となりました。米国債券ファンドにも168億2000万ドルが流入しました。

【コモディティ市場】

原油市場では米国とイランの対立再燃にもかかわらずトランプ大統領がイランとの協議を継続すると発言したことでブレント原油先物が0.4パーセント下落し1バレル76.01ドルで取引を終えました。ただし週間では約4ドル高い水準を維持しています。金先物市場では実質利回りの上昇が逆風となり4120.70ドルに下落しました。ロシアではガソリン不足と製油所へのウクライナのドローン攻撃の影響により6月のガソリン価格が前年同月比で19.9パーセント上昇し全体のインフレ率も6パーセントに加速しました。

マクロ環境・政策動向

【地政学リスク・外交】

トランプ米国大統領はイランとの停戦は終了したと宣言したもののイラン側からの要請により協議は継続すると発表しました。イランによる3隻の船舶への攻撃に対する報復として米国は水曜日と木曜日にイラン国内の170の標的を攻撃しました。この戦闘再開によりホルムズ海峡の船舶通行量は激減し木曜日には22隻に落ち込みました。米国はイランの最高指導者モジタバハメネイの資産を管理するアリアンサリに対して新たな制裁を科しました。ウクライナ軍はロシアのクラスノダール地方にあるイルスキー製油所とバルト海沿岸のウスチルガガス処理施設を攻撃し13隻のタンカーやフェリーなどにも損害を与えました。

【金融政策】

米連邦準備制度理事会はケビンウォーシュ議長の下で初となる金融政策報告書を議会に提出し物価安定を実現するという決意を改めて表明しました。報告書ではイラン戦争や関税およびテクノロジー製品のコスト上昇によりインフレ率が過去1年間で上昇したと指摘しています。ウォルシュ議長はインフレの枠組みを模索するため外部専門家が主導する5つのタスクフォースを設置しました。トルコ中央銀行のファティカラハン総裁はイスタンブールで開催された会議で7月のインフレ指標とイラン紛争の動向を見極めるまで金融緩和の再開を保留する姿勢を示しました。欧州中央銀行の役員であるエマニュエルムーランは人工知能がインフレのボラティリティを高めるリスクがあると警告しました。

【制度・政策】

欧州委員会はメタプラットフォームズに対しFacebookとInstagramの無限スクロールなどの機能が中毒性を引き起こしているとしてデザインを変更しなければ全世界の年間売上高の最大6パーセントの罰金を科すと警告しました。ドナルドトランプ米国大統領は議会で可決された超党派の住宅法案について議会が有権者ID法案を可決できないことに抗議するため署名しないと表明しました。米国商務省はアラブ首長国連邦に対する輸出規制を緩和し人工知能用半導体などの先端技術の販売を許可する方針を打ち出しました。英国では元保守党議員のアンウィデコムがデボン州の自宅で死亡しているのが発見され警察は26歳の白人英国人の男を殺人容疑で逮捕しました。ハンガリー政府はオルバンビクトル前首相時代の汚職を調査し公的資産を回収するための新機関を設立する法案を議会に提出しました。

米国個別銘柄動向

【半導体・ハードウェア】

・SK Hynix (SKHY):米国預託証券がナスダック市場にデビューし公開価格149ドルを14パーセント上回る170ドルで取引を開始しました。外国企業による米国での新規株式公開としては過去最大となる265億ドルを調達しました。クァクノジョン最高経営責任者は2027年にメモリ業界が過去最悪の供給不足に直面し2030年以降も需要が供給を上回り続けると予測しています。

・Micron Technology (MU):SKハイニックスの米国上場に伴い金曜日の午前の取引で株価が2パーセント下落し午後も小幅に下落して推移しました。

・Apple (AAPL):OpenAIとその最高ハードウェア責任者であるタンタンを企業秘密の窃盗で提訴しました。OpenAIがAppleの従業員に対し未発表製品に関する情報や図面を共有するよう働きかけたとしています。

【テクノロジー・ソフトウェア】

・Meta Platforms (META):金曜日に株価が6パーセント上昇し週間で14.8パーセントの上昇を記録しました。マークザッカーバーグ最高経営責任者が新たな人工知能モデルのMuse Spark 1.1を非常な低価格で提供すると発表したことで人工知能の価格競争への期待が高まりました。

・Amazon.com (AMZN):人工知能関連の投資を推進するため第2四半期決算の発表を前に250億ドル規模の大型社債発行を実施しました。

【自動車・航空】

・Volkswagen (VOWG.DE):世界市場での競争激化を受け提供するモデル数を最大で半分に削減する計画を発表しました。第2四半期の世界販売台数は8.6パーセント減少し中国市場での売上高も前年同期比で3分の1減少しました。またフリードリヒメルツ首相の政権下で防衛支出が拡大する中イスラエルのラファエルと防空システムを製造する合弁会社の設立を計画していましたが大株主であるカタール投資庁の反対により阻止されました。

・Delta Air Lines (DAL):第2四半期の総営業収益が前年比で20パーセント近く増加し純利益がアナリスト予想を上回ったものの燃料コストの上昇が利益を圧迫し株価は1.6パーセント下落しました。

【エネルギー・素材・その他】

・Tailored Brands (MENW):米国市場への再上場に向けて新規株式公開を正式に申請しました。5月2日に終了した3カ月間の純利益は4490万ドルで売上高は6億8180万ドルでした。

・Vodafone (VOD.L):アラブ首長国連邦の通信グループであるe&がフランスの富豪グザビエニエルの家族グループに保有株式を売却すると発表したことで株価が12.6パーセント上昇しました。

・Caterpillar (CAT):人工知能データセンターによる電力消費量の急増を背景に発電用タービンなどの需要が高まり株価が急上昇しました。

・Exxon Mobil (XOM):米国証券取引委員会の四半期財務報告を半期ごとの開示に置き換える提案に対し支持を表明しニールハンセン最高財務責任者がコスト削減と不要な情報の排除につながると主張しました。

日本個別銘柄動向

【小売・消費関連】

・ファーストリテイリング(9983):第3四半期の決算で海外ユニクロ事業の売上が大幅に増加し、通期の純利益予想を5000億円に上方修正しました。

・セブン&アイ・ホールディングス(3382):第1四半期の純利益は前年同期比24%減の606億円でしたが、米国コンビニ事業のガソリン収益上振れを理由に通期の業績予想を上方修正しました。

・良品計画(7453):第3四半期の営業収益が前年同期比16.9%増となり、通期の純利益予想を670億円に上方修正しました。

・イオン(8267):第1四半期の営業利益が前年同期比33.6%増となり、純利益は138億円の黒字に転換しました。

・キユーピー(2809):第1四半期の営業利益が前年同期比24%増の200億円となった一方、純利益は前期の土地売却益の反動で30%減となりました。

・トレジャー・ファクトリー(3093):第1四半期の営業利益が前年同期比24%増となり、通期の営業利益予想を上方修正しました。

・ワッツ(2735):第3四半期の純利益が前年同期比36%増となり、防災グッズの詰め合わせを対象とした株主優待制度の再開を発表しました。

・スギホールディングス(7649):シンガポールのファンドを引受先とする第三者割当増資を実施し、M&Aやデジタルトランスフォーメーション投資に向けて160億円を調達すると発表しました。

【テクノロジー・半導体・機械】

・ソフトバンクグループ(9984):傘下の英アーム・ホールディングスの株価上昇などを背景に買いが集まり、株価が一時11%を超える大幅高となりました。

・安川電機(6506):第1四半期の売上収益は前年同期比10.6%増となったものの、ロボット事業の減益が響き、営業利益は19.2%減となりました。

・ローツェ(6323):第1四半期の純利益が前年同期比56%増の82億円となり、半導体ウェハー搬送装置の販売が好調に推移しました。

・AIメカテック(6227):大手の半導体関連メーカーから約180億円の大型受注を獲得したと発表しました。

【自動車】

・三菱自動車工業(7211):東京大学発のスタートアップ企業と共同で、国内工場にて人型ロボットの量産を開始すると発表しました。