#83 7月13日(月) 相場レポート

株式市場動向

    7月13日の米国株式市場は下落して取引を終えました。ダウ工業株30種平均は前営業日比138.37ドル安の52498.64ドルで終了し、連続上昇がストップしました。S&P500種株価指数は60.05ポイント安の7515.34で引け、2営業日続いた上昇がストップしました。ナスダック総合指数は408.43ポイント安の25873.18で終了し、3営業日続いた連騰がストップしました。S&P500とナスダックはともに6月23日以来の最大の単日下落幅および下落率を記録しました。市場を動かした主なマクロ要因は、中東の緊張激化とドナルド・トランプ大統領による米国のイラン海上封鎖再開に伴う原油価格の急騰が投資家心理を冷やしたことです。セクター別では、人工知能ブームの持続性に関する懸念から半導体関連株が広く売られ、情報技術セクターがS&P500の最大の下落要因となりました。一方でエネルギーや資本財セクターは堅調に推移しており、今年に入ってからの広範な株価上昇トレンドを完全に崩すには至っていません。

    東京株式市場では、日経平均株価は3営業日ぶりに大幅反落しました。終値は前週末比1315円安の6万7242円となりました。朝方は前週末の米国市場におけるハイテク株高を背景に買いが先行し、上げ幅は一時500円を超えて6万9000円台を回復しました。しかし、その後は韓国の総合株価指数であるKOSPIが急落したことに連動する形で、国内のAIや半導体関連銘柄にも利益確定売りが広がりました。午後にはKOSPIが一時8パーセント超下落し、今年7回目となるサーキットブレーカーが発動される事態となり、日経平均株価も下げ幅を一時1900円超まで拡大させました。東証株価指数であるTOPIXも3営業日ぶりに反落し、0.7パーセント安で取引を終えました。市場全体としては、半導体関連銘柄への資金集中から、割安感のある銀行株や内需株へと資金が分散する動きが観測されています。 

    為替・金利・コモディティ

      【為替市場】

      アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミストであるトルステン・スロック氏は、海外投資家が為替ヘッジを行わずに米国株に記録的な資金を流入させているため、AI関連株の下落が深まれば米ドルの直近の上昇がリスクにさらされると指摘しました。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は今年1.4パーセント上昇し、日本円とカナダドルがG10通貨の中で最悪のパフォーマンスとなっています。ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、中国の人民元が長年にわたり25パーセント過小評価され不公正な貿易上の優位性を得ているとして、中国との政治的な通貨対話を求めました。ハンガリーではタマシュ・シュヨク大統領を解任する憲法改正案が議会で可決されたことを受け、フォリントが対ユーロで1パーセント下落して359.2となり、世界で最もパフォーマンスの悪い通貨となりました。インドのニルマラ・シタラマン財務相は、外貨準備を補強しルピーを下支えするため、国有銀行に対し非居住インド人からの外貨預金獲得を強化するよう要請し、最大7.5パーセントの金利を提供して資金流入を図っています。

      【金利動向】

      米国債市場では、10年物国債利回りが4.62パーセントと前日比マイナス0.06パーセントで推移しました。インフレ懸念はありますが、トレーダーらは早ければ9月にも連邦準備制度理事会が利上げを行うと予想しています。エチオピアの中央銀行は、5月に13.4パーセントを記録したインフレを抑制するため、ベンチマーク金利を15パーセントから16パーセントへ引き上げました。スタンダードチャータード銀行は、ナイジェリア中央銀行の金融緩和サイクルが遅れると予想しており、2026年のインフレ率が平均15.5パーセントに達し、年末までに政策金利が150ベーシスポイント引き下げられて25パーセントになると予測しています。

      【コモディティ市場】

      原油市場では、ドナルド・トランプ米大統領がイランに対する海上封鎖の再開と通行料の徴収を発表したことで価格が急騰しました。ブレント原油先物は9.6パーセント急伸して1バレル83.30ドルとなり、2020年5月以来の最大の単日上昇率を記録しました。WTI原油先物も78ドルを突破しました。貴金属市場では、インフレ高止まりによる金利上昇懸念から金が2.6パーセント下落し、1トロイオンス3997ドルで引けました。これは1月の過去最高値5318ドルから約25パーセントの下落です。銀も3.6パーセント下落の57.634ドルとなり、最高値の115ドルから50パーセント下落しました。ココア価格は最大10パーセント下落して利益確定の動きが見られましたが、エルニーニョ現象の発生以降で先物価格は約60パーセント上昇しています。第2四半期のココア処理量は、欧州で前年同期比約1.5パーセント減少した一方、コートジボワールでは28パーセント増の15万8672トンとなりました。

      マクロ環境・政策動向

        【地政学リスク・外交】

        ドナルド・トランプ米大統領は、ホルムズ海峡を通過するイラン船舶に対する海上封鎖を東部時間火曜日の午後4時から再開すると発表し、安全保障の対価として他国のすべての貨物に20パーセントの通行料を課すと宣言しました。米国防総省は、イランのバンダルアバス海軍基地にある潜水艦および艦船のメンテナンス施設に対して、サロニック・テクノロジーズ製の自爆型無人水上艇コルセアを3機使用して攻撃を行ったと発表し、武装無人艇の初の実戦投入となりました。欧州では、フランスのエマニュエル・マクロン大統領がウクライナの同盟国会議を主催し、欧州10カ国が米国への依存を減らすためにフレイヤと呼ばれる独自の対弾道ミサイル防衛システムを構築することで合意しました。欧州連合は、ロシア産液化天然ガスの輸送制限やオーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナルに関する意見対立から、対ロシア制裁の第21次パッケージの承認を見送りました。これにより、44.10ドルに設定されているロシア産原油の価格上限の凍結合意にも至りませんでした。トランプ政権は、国際刑事裁判所の裁判官が米国の制裁を違法として提訴したことを受け、同裁判所関係者のビザ取り消しや渡航禁止などを検討する政府ぐるみのキャンペーンを発表しました。米国はキューバの観光省や燃料卸売業者のコアダンおよびエネテクなどを新たに制裁対象に追加しました。

        【金融政策】

        連邦準備制度理事会のクリストファー・ウォラー理事は、コアインフレ率の高止まりが続く場合、連邦公開市場委員会は近い将来に金融引き締めを検討する必要があると警告しました。インフレ要因として関税やエネルギー価格、人工知能インフラの構築を挙げ、インフレが正しい方向に向かっていると確信するには数カ月連続で低い数値を見る必要があると明言しました。ケビン・ウォーシュ議長が招集した6.7兆ドル規模のバランスシートを検証するタスクフォースは、ジェレミー・スタイン氏、ラグラム・ラジャン氏、カレン・ダイナン氏が主導しますが、市場の専門家が不在であるため、資金調達市場を不安定化させずに保有資産を縮小するという難しい課題に直面していると指摘されています。ニューヨーク連銀の公開市場操作デスクは、8月13日までの期間において、準備預金を補強するため過去2サイクルと変わらず約100億ドルの財務省短期証券を購入し、さらに約176億ドルの再投資購入を行う予定です。

        【制度・政策】

        米国の2026年度最初の9カ月間の連邦財政赤字は1.37兆ドルに達し、今年度初めて赤字幅が拡大しました。これは最高裁がドナルド・トランプ大統領の関税引き上げの大半を違法と判断し、6月だけで492億ドルに上る巨額の関税還付金が発生したことが直接的な原因です。通貨監督庁、連邦預金保険公社、全米信用組合行政局の米金融規制当局は、不法移民への融資が強制送還や雇用喪失による返済能力の低下を招くとして、信用リスクが高まる可能性があると警告するガイダンスを発表しました。カリフォルニア州など12の州は、パラマウント・スカイダンスによるワーナー・ブラザース・ディスカバリーの1110億ドルでの買収を阻止するため、映画館やケーブルテレビの競争を阻害するとして反トラスト法違反で提訴しました。ブラジル政府は、国営のブラジル原子力産業が最低20パーセントの株式を保有することを条件に、ウラン鉱山部門を民間投資に開放する規制案を検討しています。ハンガリー議会は、タマシュ・シュヨク大統領を解任する憲法改正案を3分の2の賛成多数で可決しました。米国国土安全保障省は、ニュージャージー州ロックスベリーにある元ゴールドマン・サックス所有の倉庫を1500人収容の移民拘置所に改装する計画を推進する方針を裁判所に通知しました。

        米国個別銘柄動向

          【テクノロジー・半導体】

          ・SK Hynix Inc (SKHY):人工知能関連株の急落を受け、韓国市場で過去最大となる15パーセントの下落を記録しました。米国預託証券も9.3パーセント急落しています。

          ・Intel Corp (INTC):株価は4パーセント以上下落しました。データセンター用プロセッサの生産能力拡大と研究開発の推進を目的に、アイルランドの工場拡張へ50億ユーロを投資すると発表しました。

          ・Space Exploration Technologies Corp (SpaceX):過去1カ月足らずで2.67兆ドルの最高値から8000億ドル以上の時価総額を失い、株価がIPO価格の135ドルを割り込む危機に直面しています。

          ・Apple Inc (AAPL):未発表製品に関する機密情報を持ち出すよう元従業員に指示し知的財産を組織的に盗んだとして、OpenAIに対して損害賠償と当該行為の停止を求める訴訟を提起しました。

          ・Sunrun Inc (RUN):株価は今年に入り30パーセント以上下落しています。顧客の太陽光パネルと蓄電池を利用してAI用データセンターの計算能力を提供する試験プログラムを発表し、参加顧客が月に数百ドルの報酬を得られる枠組みを提示しました。

          【金融】

          ・JPMorgan Chase & Co (JPM):第2四半期の決算で、大手銀行5社合計で400億ドル近いトレーディング収益を報告する見通しであることが示されました。

          ・Strategy Inc (Strategy):普通株式の売却を通じて約4億6700万ドルを調達し、現金準備高を約30億ドルに引き上げました。7月12日までの7日間でビットコインの売買を行わなかったことが報告され、株価は2.7パーセント下落の92.10ドルとなりました。

          ・Royal Bank of Canada (RY):米国と欧州でクレジット・デリバティブ取引事業を拡大しています。人工知能向けの資金調達増によるヘッジ需要を取り込み、6月のシングルネームCDS取引量は年初来取引量の約4倍に増加しました。

          【メディア・エンターテインメント】

          ・Paramount Skydance Corp (Paramount):ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの1110億ドルでの買収計画について、競争を阻害するとしてカリフォルニア州など米国12州の司法長官から買収差し止めを求める訴訟を提起されました。

          ・Walt Disney Co (DIS):株価は0.8パーセント上昇し96.37ドルとなりました。ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのアナリストが、ストリーミング事業から撤退しIPのライセンス供与に集中すれば株価が約40パーセント上昇する可能性があるとのレポートを発表しました。

          【その他】

          ・General Fusion Group Ltd (General Fusion):特別買収目的会社スプリング・バレー・アクイジション・コーポレーションIIIとの合併を経て上場し、初日の取引で株価は21パーセント上昇して11ドルで引けました。

          ・TriCo Bancshares (TCBK):ファースト・ハワイアン・インクが親会社の買収に合意したことを受け、株価が12パーセント急騰しました。

          日本個別銘柄動向

          【金融】

           ・三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306):株価が上昇し、時価総額が42兆円台に乗せてトヨタ自動車を抜き国内首位となりました。

          【小売】

          ・良品計画(7453):2026年8月期の通期営業利益見通しを前期比33パーセント増の980億円へ上方修正し、上場来高値を更新しました。 

          ・セブン&アイ・ホールディングス(3382):ソフトバンクおよび三井住友カードから最大3000億円規模の出資を受け入れる方向で協議を進めていると報じられました。 

          ・コスモス薬品(3349):2026年5月期決算で26期連続の増収を達成し、期末配当の増額を発表しました。 

          ・イオン(8267):第1四半期の連結営業利益が過去最高を記録した一方で、中核の総合スーパー事業は営業赤字が拡大しました。 

          ・吉野家ホールディングス(9861):第1四半期が大幅増益となったほか、米国のラーメンチェーン買収と自社株買いの実施を発表しました。 

          ・近鉄百貨店(8244):インバウンド需要の増加などを背景に、2027年2月期の通期業績見通しを増益へ上方修正しました。

          【電気機器・精密機器】 

          ・安川電機(6506):第1四半期決算において、基幹システムの移行トラブルや欧州での構造改革費用が響き、純利益が前年同期比22パーセント減となりストップ安まで売られました。

           ・古野電気(6814):第1四半期の営業利益が前年同期比65パーセント増の56億円となり、ストップ高買い気配となりました。 

          ・太陽誘電(6976):韓国市場の下落に連れ安する形で売りが膨らみ、午後には株価が一時19パーセント近く急落しました。

          【情報・通信】 

          ・トレンドマイクロ(4704):米国の生成AI企業であるオープンAIおよびアンソロピックと提携し、サイバー防衛向けのAI機能を拡充したと発表しました。 

          ・フジ・メディア・ホールディングス(4676):知的財産を中心とした経営へ軸足を移し、2031年3月期までに自己資本利益率を6パーセントへ引き上げる方針を打ち出しました。

          【その他】

           ・OSG(6136):上期業績の上方修正に合わせて年間配当予想を115円へ大幅に増額し、上場来高値を更新しました。 

          ・ジンズホールディングス(3046):第3四半期決算で売上高が伸びたものの純利益が前年同期比1パーセント減となり、ストップ安売り気配となりました。 

          ・トライアルホールディングス(141A):6月の既存店売上高が前年同月比1.6パーセント増となった実績を発表しました。