#84 7月14日(火) 相場レポート

株式市場動向

7月14日の米国市場では、S&P 500は7548.66で0.44パーセント上昇し、Nasdaqは26128.15で0.99パーセント上昇しました。Dowは52547.97で0.09パーセント高となり、ほぼ横ばいで取引を終えました。6月の消費者物価指数が前月比で0.4パーセント低下し、市場予想を下回った事実が投資家心理を改善させました。ガソリン価格の下落を背景としたインフレ鈍化の兆しが示されたことで、連邦準備制度理事会が今月の会合で利上げに踏み切るとの観測が大きく後退し、前営業日に売られていた半導体やテクノロジー銘柄が反発して市場全体を牽引しました。また、大手銀行5社が合計で39パーセント増の490億ドルを超える利益を計上したことも、市場の大きな支えとなりました。一方で、International Business Machinesが事前の業績警告を発表し、株価が1968年以来の最大の下げ幅を記録した事実が、Dowの上値を重くする要因として作用しました。

東京株式市場はボラティリティの高い展開となりました。米国市場でのハイテク株安や、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の上昇を受け、日経平均株価は朝方に900円を超える下落となり、6万6200円台まで値下がりしました。半導体やAI関連銘柄に強い売り圧力がかかりました。しかし、韓国の株価指数が下落から上昇に転じると、日経平均株価も下げ幅を縮小しプラス圏に浮上しました。最終的に日経平均株価は前日比で500円以上上昇し、6万7743円50銭で取引を終えました。TOPIXやグロース250指数もそろって反発しています。原油高の逆風を受けにくいバリュー株や、内需向けの小売やサービス関連銘柄に買いが入り、プライム市場の約8割の銘柄が値上がりして相場を下支えしました。

為替・金利・コモディティ

【為替市場】

為替市場全体に対する当局者の具体的な発言は控えられたものの、ナイジェリアでは為替リスクへの対応措置が発表されました。Dangote Refineryは、受け取るナイラ建ての貨物がドル建てよりも少なく為替変動リスクに直面している事実を受け、国内市場向け石油製品のナイラ建て販売を停止しました。新たな価格体系ではドル建てで価格が提示されることが明らかになり、国内の通貨下落圧力につながる可能性が示唆されました。

【金利動向】

米国債利回りは、市場予想を下回る消費者物価指数の発表を受けて軒並み低下しました。10年債利回りは0.02パーセントポイント低下して4.585パーセントとなり、政策金利の動向に敏感な2年債利回りは最大14ベーシスポイント低下の4.14パーセントと、2月以来の最大の単日下げ幅を記録しました。CMEのFedWatchデータによれば、連邦準備制度理事会が今月利上げを行う確率に対する市場の予想は前日の42パーセントから16パーセント程度まで急激に低下し、市場参加者が利上げヘッジを大幅に巻き戻したことが示されました。

【コモディティ市場】

原油市場では、米国とイランの敵対行為の再燃により、Brent原油が一時1バレルあたり86.22ドルと1ヶ月ぶりの高値まで急騰しました。しかし、Donald Trump大統領がホルムズ海峡を通過する貨物に対する20パーセントの料金賦課計画を撤回したことで供給懸念が和らぎ、最終的に前日終値比約2パーセント高の85ドル近辺で取引されました。米国のレギュラーガソリンの全国平均価格は1ガロンあたり3.86ドルまで低下しています。一方、ダイヤモンド市場では、需要の減少と安価な人工ダイヤモンドとの競争激化による価格下落を受け、De Beersが南アフリカ最大のVenetia鉱山での生産を2年間停止すると発表しました。また、化石市場では、Sotheby’sのオークションにてGusと名付けられたティラノサウルスの化石が5010万ドルで落札され、恐竜の化石としての最高額記録を更新しました。

マクロ環境・政策動向

【地政学リスク・外交】

米国とイランの暫定和平合意が事実上崩壊し、両国間の軍事衝突が再燃しました。米国はイランの港湾に対する海上封鎖を東部時間の16時に再開し、原子力発電所があるBushehrの施設などに対して3日連続となる攻撃を実施しました。これに対しイランは、バーレーンとヨルダンにある米軍施設およびアラブ首長国連邦のタンカー2隻を標的に攻撃を行いました。ホルムズ海峡の安全確保に関連し、Donald Trump大統領は当初全貨物に20パーセントの料金を課す方針を示していましたが、業界からの強い反発を受けこれを即座に撤回し、代わりに湾岸諸国からの米国への大規模な貿易および投資契約を求める方針を発表しました。また、イスラエルのBenjamin Netanyahu首相は、先に攻撃を受けた場合はより強力な報復を行うと警告しました。東欧情勢では、ウクライナがロシア領内へのドローンおよびミサイル攻撃を拡大しており、Omsk製油所などが損害を受けた結果、ロシアの6月の製油所処理量は日量380万バレルまで減少しました。

【金融政策】

Kevin Warsh連邦準備制度理事会議長は下院金融サービス委員会で就任後初となる議会証言を行い、持続的に高いインフレに対する許容度はなく、物価安定の回復に向けた断固たる決意を共有していると明言しました。6月の消費者物価指数が予想以上に鈍化した事実については歓迎すべきニュースとしたものの、都合の良いデータだけを選ぶべきではなく、インフレとの戦いにおいて任務完了を意味するものではないと警告しました。また、Warsh議長は連邦準備制度理事会の運営を包括的に見直すため、Mervyn King、Raghuram Rajan、Doug McMillon、Raj Chetty、Marc Andreessenなどの外部アドバイザーを起用した5つのタスクフォースを新設し、コミュニケーション戦略やバランスシート、データ活用、生産性、インフレモデルの検証を進める方針を明らかにしました。事前のデータ発表前には、Christopher Waller理事が、金利据え置きを正当化するには数ヶ月にわたるインフレ鈍化のデータが必要であると指摘していました。

【制度・政策】

米国商務省のJeffrey Kessler産業安全保障担当次官は、下院外交委員会での公聴会において、Nvidiaの人工知能チップH200のごく少量が米国の輸出許可を得て中国の顧客に出荷された事実を認めました。これは2025年12月にDonald Trump大統領が承認した輸出規制の緩和に基づく措置ですが、出荷量は極めて些細な規模に留まっていると説明されました。一方、財務省で税務政策担当次官補を務め、内国歳入庁の筆頭弁護士も兼務していたKen Kiesが政府を離れることが判明し、後任としてJames Gadwoodが指名されました。また、貿易関連では、英国とインドが自由貿易協定に基づき、インドの英国向け免税鉄鋼輸出枠を拡大する再交渉に合意し、この新制度が水曜日から発効することが発表されました。欧州では、欧州委員会が13歳未満の子供に対するソーシャルメディアの禁止や、18歳未満に対する無限スクロール機能の制限を設ける法案を9月にも提案する方針が示されました。

米国個別銘柄動向

【テクノロジー・ソフトウェア】

・International Business Machines (IBM): 第2四半期の暫定売上高が172億ドル、調整後1株当たり利益が2.93ドルとなり、それぞれ市場予想の178億6000万ドルと3.02ドルを下回ったと発表しました。世界的メモリー不足に直面する中、顧客がソフトウェアやメインフレームからAIサーバーへ支出を振り向けた事実が業績未達の要因となり、株価は1968年以来最悪となる25パーセント以上の暴落を記録しました。

・Microsoft (MSFT): ソフトウェアセクター全体の下落圧力を受け、株価は1.55パーセント下落しました。

・Oracle (ORCL): 同業他社の業績不振を受けた市場の懸念から、株価は2.74パーセント下落しました。

・Accenture (ACN): ITサービス関連銘柄への売りが波及し、株価は2.86パーセント下落しました。

・Apple (AAPL): 米国内でのデバイス需要およびサービス収益の成長鈍化を予測したKeyBancが同社の投資判断を引き下げた事実を受け、株価は0.77パーセント下落しました。

・Nvidia (NVDA): 商務省高官により、米国の輸出許可を得て中国へ少量のH200チップを出荷した事実が確認されました。

・CXMT Corp: 上海証券取引所のSTAR市場における新規株式公開において、公開価格を1株あたり8.66元に設定し、最大で666億元の資金調達を目指す条件を発表しました。

・Command Alkon: 投資会社Francisco Partnersが、Thoma Bravoから同社の株式55パーセントを最大13億ドルで取得するための大詰めの交渉を行っている事実が報じられました。

【金融】

・JPMorgan Chase (JPM): 第2四半期の純利益が169億ドルとなり、株価は2.50パーセント上昇しました。AI関連の資金調達需要を背景に、投資銀行部門の収益が30パーセント増の33億ドル、株式トレーディング収益が86パーセント増の60億ドルと大幅に成長した事実が寄与しました。

・Goldman Sachs (GS): 第2四半期の純利益が66億ドルとなり、株価は9.00パーセント上昇して最高値を更新しました。SpaceXの新規株式公開などを主導した結果、投資銀行部門の収益が55パーセント増の34億ドルに達し、株式トレーディング収益も72パーセント増の74億2000万ドルを記録しました。

・Bank of America (BAC): 第2四半期の純利益が91億ドルを記録し、株価は1.88パーセント上昇しました。株式トレーディング収益は70パーセント増の36億ドルとなりました。

・Citigroup (C): 第2四半期の収益が過去10年で最高の248億ドル、純利益が58億ドルとなったものの、将来の経費増に対する懸念から株価は5.29パーセント下落しました。

・Wells Fargo (WFC): 決算発表において純金利収入は予想通りだったものの、株価は2.71パーセント下落しました。

【自動車・輸送】

・Lucid Group (LCID): 企業非公開化や連邦破産法第11条に基づく破産申請を検討しているとの報道を受け、株価は一時2.37ドルまで急落し、50パーセント以上の下げ幅を記録しました。同社は報道内容を完全に虚偽であると強く否定し、来年まで事業を継続するための十分な流動性を確保していると説明しました。

【飲食・小売】

・Yum Brands (YUM): 傘下のTaco Bellで提供されたレタスが、全米で6700人以上が感染したサイクロスポラ症のアウトブレイクに関連している可能性を米国保健当局が調査しているとの報道を受け、株価は最大4.5パーセント下落しました。

・Chipotle Mexican Grill (CMG): メキシコのモンテレイに同国初となる店舗をオープンすると発表しました。メニュー価格は米国の店舗よりも15パーセントから20パーセント安く設定されています。

【メディア・その他】

・Paramount Global: Warner Bros. Discoveryの1110億ドル規模の買収計画について、映画館業界に悪影響を及ぼし競争を阻害するとして、カリフォルニア州やニューヨーク州など12の州が買収阻止に向けた反トラスト法訴訟を提起しました。

・Thomson Reuters: 法律および税務出版事業の株式51パーセントを投資会社KKRに5億ドルで売却することで合意したと発表し、株価は2.4パーセント下落しました。

・Uber Technologies (UBER): ドイツの食品配達企業Delivery Heroの買収に向けて大詰めの交渉を行っている事実が報じられました。

・Netflix (NFLX): 過去3ヶ月間で将来の収益予想が12パーセント上方修正された一方で、株価は21パーセント下落している事実がアナリストの報告で指摘されました。

・Base Group: 関連会社であるKorea Aluminiumが米国商務省による反ダンピング関税回避の貿易調査を受ける中、親会社のBase GroupがDonald Trumpの持ち株会社に対し200万ドルの支払いを行っていた事実が財務開示書類から判明しました。

日本個別銘柄動向

【金融】

・三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306):日本の金融機関として約40年ぶりに国内時価総額トップとなりました。

【情報・通信】

・ソフトバンクグループ(9984):法人向けイベントを開催し、2040年にAIインフラ投資が年5兆ドルになるとの見通しを公表しました。

・Sansan(4443):2027年5月期の純利益が前期比で24パーセントから51パーセント増加する見通しを発表しました。

・U-NEXT HOLDINGS(9418):TBSホールディングスが同社への出資比率を8パーセントに引き上げる方針を明らかにしました。

【電気機器・機械】

・太陽誘電(6976):AIサーバーの消費電力増加に伴い、積層セラミックコンデンサーの引き合いが強まっています。

・安川電機(6506):決算発表後に株価が大幅に下落し、一時ストップ安となる場面がありました。

【小売業】

・良品計画(7453):値下げの抑制や生産の内製化を進めた結果、国内事業の営業利益率が改善しました。

・コスモス薬品(3349):2027年5月期の営業利益が前期比2パーセント増となる見通しと、増配方針を発表しました。

・ブックオフグループホールディングス(9278):前期決算で純利益が32パーセント増加し、ホビー関連の販売が好調に推移しました。

・ビックカメラ(3048):第3四半期決算で営業利益が35.8パーセント増加し、同期間として過去最高を記録しました。

・コジマ(7513):期末配当の引き上げ、自社株買い、および株主優待の拡充を発表しました。

【サービス業】

・オリエンタルランド(4661):10月から東京ディズニーランドおよび東京ディズニーシーのチケット上限価格を引き上げると報じられました。

【水産・農林業】

・サカタのタネ(1377):決算発表と併せて、自社株買いの実施を発表しました。

【鉱業】

・INPEX(1605):原油価格の上昇を背景に株価が買われ、1カ月ぶりの高値水準をつけました。

【海運業】

・川崎汽船(9107):中東情勢を受けた追加費用や燃料費高騰を織り込み、2026年度は減益見通しとする一方、最大1300億円の自社株買いを発表しました。