MSFT決算による他企業株価の影響

KZ 著
令和8(2026)年1月30日

  • Microsoft(MSFT)は2026/1/29に最大で -12.6%と急落し、10%以上の下落は6年ぶりである
  • 決算自体は、市場予想を上回っているものがほとんどであった。
  • 好決算にもかかわらず売られた理由は、①クラウドの成長・採算への懸念と、②AI投資を伴う設備投資を増額している点の組み合わせであると考察している。
  • MSFTの下落を受け、SaaSは軟調(TEAM/HUBSが10%超下落、CRM/DDOG/INTUも5%超下落)とされる一方、データセンター(NVDA等)は後半に持ち直しが目立つ。
  • SaaS側の下落は「MSFTのAI偏重で投資・導入が先送りされる懸念」や「生成AIがSaaS機能を代替しうる不安」が背景。逆にデータセンター側は、MSFTの設備投資増が発注増と言い換えられるため、株価が戻ったと考察した。

 Microsoftは、1/29に終値ベースで9.99%下落した。最大下落率は12.6%であり、Microsoftが10%以上下落するのは6年ぶりの出来事であった。1/28の引け後に発表した第2・四半期の決算内容は以下のとおりである。

  • 総売上高:813億ドル(前年比 +17%)
    • 市場予想の802億7000万ドルを少々上回る。
  • クラウド事業(Azure)売上高は前年比 +39%。
    • 予想の38.8%をわずかに上回る。
  • クラウド事業の契約済み受注残は2倍超に増加し、6250億ドルに達した。
    • クラウド事業で競合するオラクルが12月に発表した、5230億ドルを上回る。

また、第3・四半期の業績予測について以下のように発表した。

  • 総売上高予想:812億ドル(中間値)
    • アナリスト予想の811億9000万ドルとほぼ同値。

 目下の決算は好調であるにもかかわらず、大幅に下落した要因は、「クラウドサービス(Azure)の不調」とそれにもかかわらず「AI投資への投資額増加」を行っている点にあると考えられる。

 クラウドサービスの第3・四半期の売上高の伸びについて、前年比38%(市場予想 +37%)を見込んでいるものの、メモリーチップのコスト上昇がクラウドコンピューティング事業の利益率に重しとなる見通しである。このように、クラウドサービスの今後の成長幅についての懸念が深まり、売りが優勢となったと考えられる。

 それにもかかわらず、設備投資の増額は止まらない。第2・四半期の設備投資額は375億ドル(前年比 +66%)で、市場が予想した343億1000万ドルを大幅に上回った。設備投資額の約3分の2は半導体向けであった。イミー・フッド最高財務責任者は以前、第3・四半期の設備投資について、第2・四半期より若干減少すると述べていたが、クラウドサービスの成長が鈍化する中での積極的な設備投資が嫌気された。

 以上の要因からMicrosoftが下落したと考えられる。

 Microsoftの決算や株価の下落を受けて、関連企業・業界の株価は二分された。

 SaaS業界では、TEAM(アトラシアン)・HUBS(ハブスポット)は10%を超える下落を見せ、CRM(セールスフォース)・DDOG(データドッグ)・INTU(インテュイット)も5%を大幅に超えて下落した。MicrosoftのAI偏重の投資によって、従来ソフトウェアに投資していた資金がAIに流れてしまい、ソフトウェアへの投資・導入が先送りにされる懸念が広がったためと考察できる。また、生成AIの発展によって、ソフトウェア独自の機能が生成AIで代替できるようになることで、SaaSが不要になるのではという考えも下落を支えた要因であると考える。

 一方で、NVIDIAを筆頭に、データセンター銘柄は1時までは同様に下落していたものの、その後持ち直し、始値への回帰やむしろ上昇で終えた銘柄も目立った。Microsoftが下落した材料の一つが「AI向けの設備投資、つまりはデータセンターへの投資が増えすぎて利益を逼迫している」と先述したが、これは裏を返せばデータセンターを提供している・製造している企業側から見ると発注量が増加していることを示している。よって、株価を持ち直したと考えられる。