過去の米国の戦争終結後の株価動向と今後の株価の動向予測

Taiyo 著
令和8(2026)年4月2日

過去50年間アメリカが参戦した戦争とその時のS&P500の騰落

過去のアメリカによる戦争や軍事侵攻時のS&P500の動きを観察すると、明確な共通点を見つけることは難しい。ただし、その中でも1989年のパナマ侵攻は、戦争期間や戦争中の株価の騰落率が今回のケースと比較的近いことから、一定の参考になる可能性がある。

パナマ侵攻は、当時のパナマの事実上の指導者であったマヌエル・ノリエガ司令官による独裁政治や麻薬問題などを理由として行われた軍事行動である。
「軍事的には当時のパナマの事実上の指導者マヌエル・ノリエガ司令官が独裁政治を行っている事や、同国がアメリカ合衆国に対して麻薬を密輸している等の理由を掲げてアメリカ合衆国軍がパナマに軍事侵攻した事で始まり、結果的にはアメリカ合衆国側の勝利に終わりパナマ側は降伏しノリエガが逮捕された事で終結した。しかし、他国の政府を軍事力で一方的に崩壊させる行為は国際法に違反しており、その事に対してアメリカ合衆国を批判する意見も根強い。」(wiki)

このように、他国の政権を軍事力によって排除するという構造は、現在のイランを巡る情勢と一定の共通点を持つ可能性がある。また、当時の経済環境に目を向けると、景気は堅調に推移しつつもインフレ圧力が存在し、金利が高止まりしていた点も現在と似ているといえる。一方で、今回のような原油価格の急騰が見られなかった点は重要な相違点である。さらに、当時はパナマ運河への影響もなく、物流に大きな混乱は生じていなかった。

S&P500  TradingViewより

株価の動きとしては、S&P500はパナマ侵攻が終了した1990年1月31日をボトムとしたものの、その後の上昇は急激なものではなかった。結果的に、戦争時の高値までのサイクルクローズには約4か月を要している。この株価回復の背景としては、1990年5月に顕在化した金融緩和への期待が大きく影響していると考えられる。実際、当時の報道においても、金利の低下やインフレの落ち着きが株価上昇の要因として指摘されている。

1990年5月11日のLos Angeles Timesによると、
「本日、株式市場は好調なインフレ関連ニュースと金利低下に後押しされ、活発な取引の中で過去最高値に迫る水準まで上昇した。政府は今朝、4月の完成品生産者物価指数が0.3%低下したと発表した。これはウォール街の予想である0.1%~0.3%の上昇とは対照的だ。また、商務省は、先月の小売売上高が0.6%減少したと発表した。アナリストらは、これらの数字は経済成長のペースが依然として緩やかであり、インフレ圧力が抑制されているという二重の証拠を市場に提供したと述べた。これは、連邦準備制度理事会(FRB)が近いうちに金融引き締め策に踏み切るのではないかというウォール街の根強い懸念を払拭するのに役立った。債券市場と短期金融市場の金利は低下した。経済が過熱していないことを示す2つの政府報告書を受け、本日、債券価格は急騰した。」
Los Angeles Times |Dow Zooms 63.07–Near All-Time High : Wall Street: Stock surge laid to falling interest rates and good news on inflation.

結論

過去のアメリカによる戦争、侵攻時の株価の動向には、明確な共通点を見つけることは不可能であった。しかし、今回のイランへの軍事行動終了後の株価の動向は、1989年のパナマ侵攻と戦争の期間、戦争中の騰落率が近いことから参考になる可能性がある。パナマ侵攻を参考にするとサイクルクローズには、4か月間かかり、政策金利の低下がサイクルクローズの条件になる可能性がある。一方、今回のイラン攻撃は、原油価格が高騰したこと、アメリカの完全勝利とならない可能性があることなどから、パナマ侵攻とは異なる値動きとなる可能性も考慮する必要があると考える。