#2 4月15日(水) 米国市場レポート

1. 株式市場動向

米国株式市場は、テクノロジー株を中心に記録的な上昇を見せています。S&P 500指数は史上初めて7,000ポイントの大台を突破して取引を終え、日中および終値での最高値を更新しました。NASDAQ総合指数も11営業日連続の上昇を記録しました。この連騰記録は約5年ぶりの長さとなります。

市場全体を牽引しているのはテクノロジー関連銘柄であり、ソフトウェア株や半導体関連株が力強い反発を見せています。一方で、ダウ工業株30種平均はキャタピラーなどの下落が重しとなり、一時マイナス圏で推移するなど、他の主要指数に比べて上値の重い展開が見られました。また、ダウ輸送株指数は高値圏で推移しているものの、レンタカー大手エイビス・バジェット・グループの株価の急上昇など、一部の個別銘柄の急激な動きが指数を押し上げる要因となっています。市場全体としては、中東の地政学リスクを抱えながらも、堅調な企業業績や経済の回復力を背景に買いが優勢な展開が続いています。

COMMENT
『イランとアメリカの終戦に向けた交渉はまだ完全に妥結しておらず、ホルムズ海峡も依然として封鎖されたままであるにもかかわらず、S&P500指数およびNASDAQ総合指数はともに最高値を更新しました。株価指数が連日急上昇していることから、市場には含み益が積み上がっている可能性があり、ひとたびネガティブなニュースが出れば、利益確定の売りによって株価が下落する可能性が考えられます。』


2. 為替・金利・コモディティ

【為替市場】

ドル指数は、イランでの戦争が開始される直前の水準まで低下しています。安全資産としてのドル買いの動きは一時的であり、直近の数週間でその上昇分をほぼ帳消しにする推移を見せました。

【金利動向】

米国債利回りは高止まりしつつも、直近の高値からは落ち着きを見せています。10年国債利回りは約4.27%から4.28%付近、2年国債利回りは約3.75%から3.76%付近での推移となっています。インフレ指標の高止まりやエネルギー価格の上昇が利回りを下支えしているものの、市場は追加の利上げよりも現在の金利水準が維持される状況を織り込んでいます。

【コモディティ市場】

原油価格(WTI)は1バレルあたり91ドルから92ドル周辺での推移となり、3月下旬以来の安値水準にあります。米国とイランの停戦交渉への期待が価格の押し下げ要因となっていますが、ホルムズ海峡の封鎖による物流の停滞は継続しています。イラン国営メディアは、米国の港湾封鎖に対する報復として、すべての石油化学製品の輸出を一時停止したと報じました。ホルムズ海峡の閉鎖はエネルギーのみならず、ベースメタルや農業分野にも波及しています。中東からの硫黄の供給が滞る懸念から、銅の生産に必要な硫酸の市場が逼迫しつつあります。さらに、硫黄やアンモニアの供給制約は化学肥料の価格高騰を招いており、米国の農家は高い投入コストへの対応として作付け計画の変更を余儀なくされています。


3. マクロ環境・政策動向

【地政学リスク・外交】

米国とイラン間の戦争に関する停戦交渉が進展の兆しを見せています。トランプ大統領は、戦争は終結に近いとの見方を示しました。一方で、米国によるイラン港湾の封鎖に対し、イラン側はこれを休戦協定の違反とみなし、ペルシャ湾や紅海などでの輸出入を全面的に阻止するとの警告を発しています。また、中国の関与についても動きがあり、トランプ大統領は中国の習近平国家主席との間で、中国がイランに武器を供給しないことで合意したと述べています。ベッセント財務長官は、中国によるイラン産原油の購入が減少すると予想しており、イランの資金を扱う銀行に対する二次的制裁の可能性に言及しました。

【金融政策】

トランプ大統領は、FRBのパウエル議長が任期満了後も理事としてとどまる場合、同氏を解任する意向を改めて示しました。パウエル議長に対しては、連邦準備制度本部の改修工事を巡る刑事捜査が行われており、これが後任候補であるケビン・ウォーシュの議会承認を遅らせる要因となっています。ベッセント財務長官は、コアインフレ率が低下傾向にあると指摘し、エネルギー価格の上昇が基礎的なインフレに波及していないことから、FRBが利下げを待つ現在の姿勢は理解できると発言しました。また、最新のベージュブック(地区連銀経済報告)では、12地区中8地区で経済活動がわずかから緩やかに拡大したことが報告されました。インフレは全体として緩やかながら、エネルギーや輸送コストの上昇が企業の利益率を圧迫している状況や、中東情勢が設備投資や雇用の不確実性につながっていることが指摘されています。

COMMENT
『戦争の影響により輸送コストなどが上昇しているにもかかわらず、多くの地域で景気が回復してきていると報告されています。したがって、仮に戦争が完全に終結し、原油価格が下落した場合には、景気がさらに拡大する可能性も考えられます。そのような状況になれば、すでに最高値を更新している株価指数は、さらに上昇を続ける可能性があります。また、2月から4月にかけて株価が下落し、その後に最高値を更新して上昇を続けるという動きは、2025年のトランプ関税後の株価上昇局面と重ねて捉えることも可能です。2026年の株式市場が2025年と同様に上昇を続けるかどうかを考えるうえで、現時点における景気の拡大は、非常に重要な要素であると考えられます。』

【制度・政策】

SEC(証券取引委員会)は、小口の個人投資家を対象としたデイトレード制限を撤廃する方針を発表しました。これにより、各取引のリスクをカバーできる限り、パターン・デイ・トレーダーに対する25,000ドルの最低自己資本要件が排除されることになります。また、メイン州では、大規模なデータセンターの建設を禁止する法案が可決されました。データセンターの急増に伴う電力システムや水資源への影響に対する懸念が、地方レベルでの規制強化に繋がっています。


4. セクター別注目銘柄

【テクノロジーセクター】

・Meta Platforms (META):Broadcomとの提携を拡大し、AI向けカスタムチップの開発を進めることを発表しました。同社は今年、最大で1,350億ドルを設備投資に充てる計画です。

・Broadcom (AVGO):Meta Platformsとの提携拡大を発表しました。CEOのHock Tan氏はMetaの取締役を退任し、シリコン・アドバイザリーの役職に就くことが明らかになりました。

・Microsoft (MSFT):ソフトウェア部門の回復やAI展開などを背景に株価が急伸し、週間ベースでも大幅な上昇を記録しました。

・Tesla (TSLA):自動運転向けに設計された次世代の推論チップ「A15 AIチップ」の発表や、新たなAIモデルのトレーニング計画が好感され、株価が大幅に上昇しました。

・Snap (SNAP):効率化によるコスト削減を目的とし、従業員の最大16%(約1,000人)を削減する計画を発表しました。

・GitLab (GTLB):Google Cloudとの提携拡大を発表し、同社のデュアルエージェントプラットフォームがGoogleのAIモデルで利用可能になるとしました。

・TeraWulf (WOLF):ケンタッキー州でのデータセンター建設資金として、約10億ドルの資金調達を発表しました。

【金融セクター】

・Morgan Stanley (MS):第1四半期決算が市場予想を上回りました。株式および債券のトレーディング収益やウェルスマネジメント部門の好調が寄与し、株価は最高値を更新しました。

・Bank of America (BAC):第1四半期決算が予想を上回り、株式トレーディング収益が前年同期比で30%増加しました。また、純金利収入(NII)のガイダンスを上方修正しました。

・Robinhood (HOOD):SECによるデイトレード制限撤廃の方針を受け、株価が急騰しました。

【小売・消費財・自動車セクター】

・Target Corporation (TGT):複数のアナリストから利益率の改善や客数の回復が評価され、株価が上昇しました。

・Allbirds (BIRD):スニーカー事業の資産を売却し、AIネイティブなクラウドソリューションプロバイダーへ事業転換を行うと発表しました。これに伴い、社名を「NewBird AI」へ変更する計画です。

・DoorDash (DASH):自動食品配達技術のリーダーとして評価されたことで、株価が上昇しました。

・Uber Technologies (UBER):ロボタクシーによる市場環境の変化に対応するため、自動運転車両に100億ドル以上を投資するとの報道を受け、株価が上昇しました。

・Ford Motor (F):電気自動車(EV)部門の責任者であるDoug Field氏の退任が発表されました。同社は現在、EV事業およびオペレーションの再編を進めています。

・Costco Wholesale (COST):四半期配当を1株あたり1.47ドルに引き上げることを発表しました。

【その他セクター】

・Live Nation Entertainment (LYV):米国の主要コンサートのチケット市場を不法に独占しているとの連邦陪審の評決が下され、株価が下落しました。

・United Airlines (UAL):スコット・カービーCEOがAmerican Airlines (AAL)との合併の可能性について模索しており、2月の時点でホワイトハウスの当局者と本件に関する協議を行ったことが報じられました。