1. 株式市場動向
米国株式市場では、S&P500およびナスダック総合指数が取引時間中の過去最高値を更新しました。ナスダックは12日連続の上昇を記録し、これは2009年以来の最長記録となります。市場全体を牽引しているのは、AI向けの設備投資計画に関連するテクノロジー銘柄です。ソフトウェア関連銘柄(IGV ETF)は週間で12%以上の上昇を見せたほか、半導体やデータストレージといったメモリ関連銘柄も市場全体をアウトパフォームする推移を見せています。また、AI向けデータセンターの構築に伴う電力およびインフラ需要を背景に、公益事業、素材、エネルギー、資本財といったセクターへの物色が広がっています。アジアにおいても株式相場は堅調に推移しており、日本の日経平均株価や台湾加権指数が最高値を更新しました。
COMMENET
『ナスダック総合指数は12日間連続で上昇していますが、この上昇期間におけるナスダック先物の出来高は、年初来で見ても特段多いとは言えません。つまり、しっかりと下値を固めながら買いが入っているというよりも、比較的軽い需給の中で上昇している状態と考えられます。そのため、何らかのネガティブな要因が発生した場合には、この上昇に対して3割から5割程度の調整が生じる可能性があると考えられます。』
2. 為替・金利・コモディティ
【金利動向】
米10年国債利回りは4.25%〜4.30%台を中心に推移しました。欧州市場においてもドイツ国債利回りが上昇し、2011年以来となる3%を超える水準で推移しています。
【コモディティ市場】
銅価格は過去6ヶ月で20%以上上昇し、6週間ぶりの高値水準で推移しています。AIおよび送電網向け需要の増加、各国政府による戦略的備蓄の動きに加え、世界最大の生産国であるチリの月間生産量が8.5%減少し過去9年間で最低を記録したことや、中国が銅の採掘・精製に用いられる硫酸の輸出を禁止したことが価格上昇の背景にあります。
3. マクロ環境・政策動向
【地政学リスク・外交】
中東情勢において、米国とイランの紛争を背景にホルムズ海峡での米軍による封鎖・管理が継続しています。トランプ大統領は、イスラエルとレバノンの間で10日間の停戦合意が成立したと発表しました。この停戦は米国東部時間午後5時(日本時間17日午前6時)に発効します。また、米国とイランの停戦期限が迫る中、週末に交渉が再開する可能性があると述べています。大統領は、合意に至った場合はパキスタンのイスラマバードで署名が行われる可能性を示唆する一方で、交渉が決裂した場合は戦闘が再開されると言及しました。 さらに、ベセント米財務長官は、ロシア産原油を購入する国に対する制裁免除措置を延長しない方針を発表しました。これを受け、インドはサウジアラビアやベネズエラからの輸入拡大を検討しています。 米国国内の動向として、上院において、大統領によるイランへのさらなる軍事行動を制限する決議案が否決されました。
【金融政策】
米連邦準備制度理事会(FRB)高官のスティーブン・ミラン理事は、労働市場の段階的な軟化傾向や住宅インフレの低下を指摘しつつも、紛争発生前からの根強いインフレ圧力を背景に、年内の利下げ回数の見通しを従来の4回から3回に減らす可能性に言及しました。 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、エネルギー価格の上昇によりECBの基本シナリオが変化しており、新たな政策選択を検討していると述べました。年内に2回の利上げが予想されています。
【制度・政策】
米国政府は宇宙開発における新たな指針を示し、民間企業との提携を通じて、2030年までに月面に小型原子炉を配備するよう命じました。 また、ホワイトハウスおよび行政管理予算局(OMB)は、AI企業Anthropicのセキュリティ特化型モデル「Mythos」の修正版について、連邦政府機関へのアクセスを許可する準備を進めています。同社は過去に政府からサプライチェーン・リスクに指定されていましたが、導入に向けた枠組み作りが進められています。 米国の経済指標として、、フィラデルフィア連銀製造業景況指数は26.7と市場予想を大幅に上回り、新規失業保険申請件数は20万7,000件、継続受給者数は181万8,000件となりました。
COMMENT
『AIデータセンターの増設に伴い、電力不足が懸念されています。その解決策の一つとして、原子力発電が改めて注目されています。また、現在、アルテミス計画 などに見られるように、アメリカが宇宙開発に力を入れていることから、原子力と宇宙を組み合わせた分野にも大きな関心が集まっています。さらに、今年は SpaceX の上場が予定されているなど、両セクターの注目度は高まっています。こうした背景を踏まえ、原子力および宇宙関連のセクターを注視していく必要があると考えます。』
4. セクター別注目銘柄
【テクノロジー・ソフトウェア・半導体】
・Alphabet(GOOGL): 画像生成機能を含むAIモデル「Gemini」に、Googleフォトのデータを連携させて画像をパーソナライズする新機能を導入しました。また、機密システム向けにGeminiを導入するため、米国防総省と協議を行っていることが明らかになりました。
・TSMC(TSM): 第1四半期決算は売上高・利益ともに市場予想を上回り、純利益は前年同期比58%増と過去最高を記録しました。AI向け半導体の需要増を受け、設備投資をさらに引き上げる方針を示しています。中東情勢による短期的な事業への影響は無いとしています。
・Oracle(ORCL): Amazon Web Services(AWS)との提携を発表し、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)とAWS間のマルチクラウド接続を強化しました。株価は週間で約30%上昇し、時価総額を約1,150億ドル増加させました。
・Anthropic(未上場): 一般向けに機能強化された最新AIモデル「Claude Opus 4.7」をリリースしました。高度なソフトウェアエンジニアリングやコーディング機能が強化されています。
COMMENT
『2026年2月頃から、Anthropic が最新のAIを発表するとの観測を受けて、ソフトウェア関連銘柄は下落していました。しかし、本日は最新モデルが発表されたにもかかわらず、ソフトウェア関連銘柄は下落しませんでした。このことから、市場がこの話題に対して飽きている可能性があります。一方で、数日前に発表された Claude Mythos の性能が非常に高く、危険なレベルにまで進化しているとの報道もあります。現時点では一部の企業にのみ提供されているとされており、市場はその性能に注目しつつ、一般公開や詳細な情報の開示を待っている可能性も考えられます。』
【金融・決済】
・Charles Schwab(SCHW): 第1四半期決算は、純利益が30%増加し、収益および利益ともに過去最高を記録しました。当四半期の純新規資産は1,400億ドルに達しました。ビットコインとイーサリアムの現物取引サービスを数週間以内に顧客向けに展開するほか、10代向け口座の提供を開始する方針を発表しました。
・Citizens Financial Group(CFG): 四半期決算の売上高および利益が市場予想を上回りました。第1四半期の平均ローン残高は1%増加しました。
【消費財・メディア・エンターテインメント】
・PepsiCo(PEP): 第1四半期決算は市場予想を上回りました。北米のスナック部門(Frito-Lay)では、価格引き下げの実施により販売数量が2%増加し、購入機会も4%増加しました。「Gatorade」ブランドにおいて人工着色料を廃止する方針も発表しました。
・Netflix(NFLX): 第1四半期決算は市場予想を上回りましたが、これにはWarner Bros. Discoveryとの買収交渉決裂に伴う契約解除料が寄与しています。共同創業者のリード・ヘイスティングス氏が29年間務めた取締役から退任することが発表され、株価は時間外取引で下落しました。
【資本財・ヘルスケア・エネルギー・その他】
・Madison Air Solutions(MAIR): ニューヨーク証券取引所(NYSE)に新規株式公開(IPO)を実施しました。公開価格は仮条件の上限である27ドルに設定され、初値は32ドルを付けました。空調設備を手掛け、データセンター向け冷却需要の取り込みを図っています。
・Oklo(OKLO): 米国政府が推進する宇宙空間や月面への原子炉配備計画の発表を受け、株価が週間で約30%上昇しました。
・PPG Industries(PPG): コスト上昇に対応するため、全製品を対象に最大20%の価格引き上げを発表しました。
・JB Hunt Transport Services(JBHT): 四半期決算が市場予想を上回りました。
・Tesla(TSLA): 第4四半期に米国で登録された「Cybertruck」のうち、約20%がイーロン・マスク氏の関連企業向けに納入されていたことが明らかになりました。
・Eli Lilly(LLY): 糖尿病向け治療薬の新たな用途拡大に伴い、需要の加速と売上の前倒しが発生していることが確認されました。
・航空セクター: 国際エネルギー機関(IEA)は、欧州のジェット燃料の在庫が約6週間分に減少していると警告しました。これを受け、KLMオランダ航空は今夏の160便の運航キャンセルを発表し、EasyJetは3月の燃料コストが3,400万ドル増加したと報告しました。また、米国のSpirit Airlinesは、ジェット燃料価格の高騰により清算の可能性に直面していると報じられました。