#8 4月20日(月) 米国市場レポート

1. 株式市場動向

米国株式市場は、記録的な上昇基調から一旦の小休止を迎えています。S&P 500指数、ナスダック総合指数、ダウ工業株30種平均は、前週に記録した史上最高値から小幅に反落して取引を終えました。これにより、ナスダック総合指数が記録していた13営業日連続の上昇ストップとなっています。一方で、小型株で構成されるラッセル2000指数は底堅く推移し、上昇を維持しました。

COMMENT
『アメリカがイランの船舶に発砲し、損傷を与えたとの報道がありました。また、米国とイランの停戦期間の終了が22日に迫っており、先行きに対する不透明感が高まっています。こうした状況の中でも、S&P500およびナスダック総合指数は先週末の高値を更新するには至っていないものの、高値圏を維持しています。さらに、バンス副大統領がパキスタンに向かっているとの報道も出ています。昨日の市場は、仮にパキスタンにおいて米国とイランの交渉が行われ、その進展が確認されれば、株式市場がもう一段上昇する可能性のある値動きだと感じました。』

市場は中東情勢を巡る地政学的な緊張の再燃を消化しつつ、本格化している第1四半期の企業決算発表に焦点を移しています。ボラティリティの指標となるVIX指数は、紛争激化前の水準を下回る低い位置で安定していましたが、直近の情勢変化を受けて小幅に上昇する動きを見せました。

2. 為替・金利・コモディティ

【為替市場】

米ドルは、中東での停戦合意への楽観的な見方が後退したことなどを背景に、これまでの上昇分を戻し下落に転じました。また、暗号資産市場では、ビットコインが78,000ドルに達した後に週末にかけて下落を見せたものの、ソフトウェア企業マイクロストラテジーが25億ドル相当のビットコインを購入したとの報道などもあり、週明けにかけて再び反発する動きを見せています。

COMMNET
『昨年末から下落していたびっとは、足元で上昇に転じ始めています。昨年後半には、Nasdaqとの相関が非常に高まった時期もありました。今年も、仮にビットコインが急上昇する局面があれば、ナスダックをはじめとする株価指数に影響を及ぼす可能性があるため、今後の動向を注視していきたいと考えています。』

【金利動向】

米国の10年国債利回りは、4.25%から4.26%付近の水準で推移しています。市場では、強固な経済データやインフレの粘り強さが意識されており、金利は高止まりの様相を呈しています。

【コモディティ市場】

原油市場では、WTI原油およびブレント原油の先物価格が急騰し、一時約6%上昇して1バレル88ドルから89ドル付近に達しました。ホルムズ海峡の通航に対する懸念や、クウェートが原油出荷に関して不可抗力条項(フォース・マジュール)を宣言したことが供給不安を煽っています。さらに、ジェット燃料の価格も急騰しており、世界的な航空路線や輸送網への影響が懸念されています。

3. マクロ環境・政策動向

【地政学リスク・外交】

米国とイランの間の緊張が再び高まっています。ホルムズ海峡付近において、イラン船籍の大型貨物船に対して米海軍が警告の後に発砲・拿捕を行う事態が発生しました。両国間の停戦期限が水曜日に迫る中、J.D.バンス副大統領が交渉のためにパキスタンへ向かっていると報じられていますが、イラン側が協議に参加するかどうかは不透明な状況です。また、中東紛争の経済的波及を防ぐため、アラブ首長国連邦(UAE)が米国財務省と通貨スワップ協定を含む金融支援策について協議を行っています。その他の地域では、日本北部でマグニチュード7.5の地震が発生し、一時津波警報が発令されました。

COMMENT
『最近、日本では地震の発生が再び増加しています。また、高速道路や水道管などのインフラの多くが耐用年数を超えており、補修を重ねながら維持している状況です。こうした背景を踏まえると、今後は災害復興やインフラの更新・修繕を担う土木関連企業に注目することで、新たな投資機会が見えてくる可能性があると考えています。』

【金融政策】

次期FRB議長に指名されているケビン・ウォルシュ氏の上院銀行委員会における承認公聴会が注目されています。事前に公表された証言内容において、同氏はFRBの独立性は「物価の安定」と「雇用の最大化」という二大責務を果たすことによってのみ守られると主張し、気候変動や社会政策などへ関与してきた従来のFRBの姿勢を批判しています。一方で、現在のパウエルFRB議長に対する司法当局の捜査が継続しており、一部の上院議員がこの問題が解決するまでウォルシュ氏の承認投票を保留する姿勢を示しているため、人事の承認プロセスには不確実性が残っています。

【制度・政策】

司法省(DOJ)の反トラスト局は、食肉加工業者が反競争的な価格操作を行っている疑いについて調査を開始しました。これは牛肉などの価格引き上げに関する懸念を受けた措置です。また、米国政府はロシア産原油に対する制裁の免除措置を5月中旬まで延長することを決定しました。さらに、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や外傷性脳損傷の治療を目的としたサイケデリック薬(イボガインなど)のFDAによる承認プロセスを迅速化する大統領令に署名が行われました。

4. 個別銘柄動向

【テクノロジー】

・Apple (AAPL):ティム・クックCEOが9月1日付で退任し、エグゼクティブ・チェアマンに就任すると発表しました。後任のCEOには、ハードウェア・エンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのジョン・ターナス氏が就任します。

COMMENT
『AppleはこれまでAI分野で出遅れていると指摘されてきましたが、現在はiPhone 17の販売が好調であることを背景に、株価は高値圏で推移しています。今後、同社がAIをどのように取り入れていくかによって、中長期的な成長ストーリーは大きく変わる可能性があります。そのため、新CEOによるAI戦略の動向に注目していきたいと考えています。』

・Marvell Technology (MU):Googleと新たなAI推論用カスタムチップなどの共同開発に向けて協議中であると報じられました。

・Amazon (AMZN):AI企業Anthropicに対し、初期投資50億ドルを含め最大250億ドルの追加出資を行う計画を発表しました。これに伴い、AnthropicはAWSで今後10年間に1000億ドル以上の利用を約束しています。

・Anthropic:米国防総省のブラックリストに掲載されているにもかかわらず、国家安全保障局(NSA)がサイバーセキュリティ目的で同社の最新AIモデル「Mythos」を使用していると報じられました。

【ヘルスケア】

・Eli Lilly (LLY):がん治療薬を開発する非上場企業Coloina Therapeuticsを最大70億ドル(前払い32.5億ドル)で買収することに合意しました。この買収により、体内でのCAR-T療法に関連する技術を取得します。

【資本財・素材・建設】

・QXO (QXO):断熱材の施工・流通を手掛けるTopBuildを、170億ドルの現金および株式で買収することに合意しました。

・Cleveland-Cliffs (CLF):第1四半期決算を発表し、売上高が市場予想を上回ったほか、赤字幅も予想より縮小しました。寒波による一時的なエネルギーコスト増を計上しましたが、通期の業績見通しは据え置いています。

・USA Rare Earth (USAR):ブラジルのレアアース鉱山会社Serra Verdeを28億ドルで買収することに合意しました。

【航空・宇宙】

・American Airlines (AAL):United Airlines (UAL)との合併交渉の噂について、関心がないと公式に否定しました。

・Alaska Air (ALK):ジェット燃料価格の変動を理由に、状況が安定するまで通期の業績見通しを一時停止すると発表しました。

・AST SpaceMobile (ASTS):Blue Originのロケットによる打ち上げで、自社の衛星が予定より低い軌道に投入されたと発表しました。関連コストは保険でカバーされる見込みとしています。

【自動車】

・Tesla (TSLA):完全自動運転によるロボタクシーのサービスを、ダラスおよびヒューストンへ拡大すると発表しました。