#9 4月21日(火) 日本市場レポート

1. 株式市場動向

21日の東京株式市場では、日経平均株価が続伸しました。前日の米国市場で主要株価指数は下落したものの、半導体関連銘柄で構成されるSOX指数が連日で過去最高値を更新したことを背景に、東京市場でも半導体やAI関連銘柄を中心に買いが先行しました。日経平均株価は一時59,600円台に乗せ、取引時間中としては16日に付けた過去最高値(終値ベース59,518円)を上回る場面がありました。その後は利益確定売りに押されて伸び悩み、終値は前日比524円28銭高の59,349円17銭となりました。

一方、TOPIXは反落し、前日比0.8%の下落で取引を終えました。日経平均株価が大型の半導体関連株に牽引されて上昇したのに対し、TOPIXに影響の大きい自動車株や銀行株などのバリュー株が軟調に推移したことで、両指数の方向性が分かれる展開となりました。この結果、日経平均株価をTOPIXで割ったNT倍率は15.74倍に急上昇し、過去最高水準を更新しました。

COMMENT
『これまで、原油価格や金利と株式指数の間に乖離が生じている可能性について指摘してきました。昨日の米国市場の値動きと本日の日本市場の値動きを踏まえると、株式指数の中でもセクター別で乖離が生じている可能性が見えてきたと考えます。

米国市場では、これまでNasdaqとSOXがともに13日連続で上昇していました。一方で、昨日の米国市場では、SOXは14日連続で上昇し最高値を更新したものの、Nasdaqは前日終値比で下落しました。
さらに、日本市場では、比較的半導体銘柄の影響を受けやすい日経平均株価は上昇した一方で、TOPIXは下落しました。すなわち、現在上昇しているセクターは半導体セクターであり、それ以外のセクターは下落している傾向にあります。このことから、半導体セクターのみが上昇し、相場を牽引している一方で、他のセクターが追随していない状態であり、セクター間で価格の乖離が生じている可能性があると考えられます。こうした状況を踏まえると、現在の株式指数の上昇は一部セクターに依存している構造である可能性があります。したがって、このセクターが崩れた場合、株式指数全体も大きく崩れる可能性があると考えます。

以上を踏まえると、米国とイランの停戦交渉が想定以上に進展する場合を除き、何らかのきっかけで半導体セクターが下落し、株式市場内のセクター間の価格乖離が解消され、その結果として株式指数と原油や金利との乖離も解消される可能性があると考えます。』

東証プライム市場の売買代金は概算で5兆7,135億円となりました。値下がり銘柄数は全体の約6割を占める963銘柄となり、値上がり銘柄数の555銘柄を上回りました。東証グロース市場250指数は続伸し、年初来高値を更新しています。

2. 為替・金利・コモディティ

【為替市場】

外国為替市場では、1ドル=158円台後半から159円近辺での小動きが続きました。日銀の追加利上げ見送り観測が広がる一方で、米国におけるインフレ懸念や中東情勢の不透明感から、積極的にポジションを傾ける動きが手控えられました。また、投機筋による円の売り越し幅が縮小傾向にあることも、為替介入への警戒感と相まって一定の相場安定要因として作用しています。

【金利動向】

国内の債券市場では、10年物国債利回りが2.38%付近へやや低下しました。来週に予定されている日本銀行の金融政策決定会合において、追加利上げが見送られる公算が大きいとの報道がなされたことが影響しました。

【コモディティ市場】

原油市場では、WTI原油先物価格が時間外取引で1バレル=88ドル台で推移し、一時的な急騰局面からは落ち着きを見せています。米国とイランの停戦交渉が継続しているとの観測から、供給懸念がやや後退しました。一方、国内の企業物価指数においては、原油高の影響が徐々に川下製品に波及する兆しが見られています。

3. マクロ環境・政策動向

【地政学リスク・外交】

中東情勢を巡っては、米国とイランの停戦交渉の行方が焦点となっています。トランプ大統領は、停戦期限を米国時間22日夜(日本時間23日午前)に設定し、期限を延長する可能性は極めて低いとの認識を示しました。合意に至らない場合は戦闘再開の可能性も示唆されています。これに伴い、ホルムズ海峡の事実上の封鎖が続いており、中東向けの物流に遅れなどの影響が生じています。

【金融政策】

日本銀行の金融政策については、4月の決定会合で追加利上げが見送られ、現在の政策金利(0.75%)が据え置かれるとの見方が市場で大勢を占めています。政府内でも、赤沢経済産業相が利上げを選択肢の一つと言及した後に高市首相などから発信を控えるよう指示があったと報じられるなど、追加利上げに対して慎重な姿勢が伺えます。 米国では、次期FRB議長候補に指名されているウォッシュ氏の議会公聴会が予定されており、金融政策の独立性やインフレ対応、今後の金利見通しに関する発言が注目されています。

【制度・政策】

政府は「防衛装備移転三原則」の運用指針を見直し、同盟国・同志国と防衛装備品を融通し合う枠組みを決定しました。

4. 個別銘柄動向

【電気機器・半導体関連】

・東京エレクトロン (8035):半導体関連株への資金流入を背景に株価が上昇し、2月に付けた過去最高値に接近しました。

・キオクシアホールディングス (285A):売買代金でトップとなり、株価が大幅に上昇しました。

・リガク・ホールディングス(268A):米オントイノベーションとの資本業務提携を発表し、次世代半導体向けの計測ソリューションの共同開発を進めるとしました。株価はストップ高買い気配となりました。

【情報・通信】

・ソフトバンクグループ (9984):英アーム・ホールディングスの株高も追い風となり、株価が一時5,187円まで上昇して年初来高値を更新しました。

・オービック (4684):2026年3月期連結決算で純利益が前期比16.4%増の751億円となり、2027年3月期も最高益を更新する見通しを発表しました。また、500億円を上限とする自社株買い枠の設定も発表しました。

【機械・精密機器】

・クボタ (6326):300億円、発行済株式数の1.3%を上限とする自社株買い枠の設定を発表しました。

・ブラザー工業 (6448):屋外広告向けプリンター大手のMUTOHホールディングス (7999)へのTOBを発表するなど、産業機器分野の強化に向けてM&Aを推進しています。

・日進工具 (6157):2026年3月期の純利益予想を従来の減益見通しから一転して増益(前期比14%増)へと上方修正しました。データセンター向けなど半導体関連の工具需要が好調で、株価は急伸しました。

【輸送用機器】

・トヨタ自動車 (7203):ホルムズ海峡の封鎖に伴う物流の停滞を受け、11月頃までに海外生産を3.8万台程度減産することが報じられました。これを受け、株価は下落しました。

【小売・外食・サービス】

・神戸物産 (3038):前日に発表した3月の月次売上高が前年同月比2.9%増にとどまり、伸び率が鈍化したことが嫌気されて株価が下落しました。

・ブロンコビリー (3091):2026年12月期第1四半期の連結決算で営業利益が前年同期比93.5%増となるなど、大幅な増益を発表しました。

・ノジマ (7419):日立製作所 (6501)の白物家電事業を1,000億円超で買収する方針を固めたと報じられました。会社側は「本日開催の取締役会に付議する予定」とコメントし、株価は急伸して年初来高値を更新しました。

サンリオ (8136):初のゲームブランド「サンリオゲームズ」の立ち上げを発表し、秋に新作タイトルを発売予定としました。

COMMENT
『サンリオは、昨年株価が急上昇しましたが、昨年の8月を高値をつけたあと、現在は最高値から35%以上下落しています。私は、サンリオのファン層とゲームの親和性は高いのではないかと考えています。同社初のゲームブランドということで、市場予想を超える売り上げになるのではないかと期待しています。
テクニカル面では、上昇の50%を戻している状態で、買いが入りやすい価格帯に入ってきている可能性があります。このゲームが上昇のカタリストになるのではないかと注目しています。』

【化学・鉄鋼】

・信越化学工業 (4603):塩化ビニル樹脂を5月11日納入分から1キログラムあたり30円以上値上げすると発表しました。

・東京製鐵 (5423):5月契約分の鋼材価格を全品種で引き上げると発表し、株価が上昇しました。

・第一工業製薬 (4461):2026年3月期業績が過去最高益を更新する中、次世代半導体向け洗浄剤の量産能力拡大などに注力しています。株価は反発しました。

【その他】

・バトンズ (554A):東証グロース市場に新規上場しました。公開価格は660円で、初日は買い注文が殺到し初値がつきませんでした。