#12 4月22日(水) 米国市場レポート

1. 株式市場動向

米国株式市場は、主要指数が堅調に推移し、S&P 500およびナスダック総合指数が終値ベースで過去最高値を更新しました。ダウ工業株30種平均は約350ドル上昇し、市場全体として反発の動きを見せました。特に大型ハイテク株で構成される「マグニフィセント・セブン」が市場を牽引し、指数を押し上げる要因となりました。一方で、等ウェイトベースのS&P 500は横ばいで推移しており、市場の広がりという点では、時価総額の大きいハイテク分野への集中が目立つ展開となりました。

セクター別では、半導体関連が極めて強力なパフォーマンスを示しています。フィラデルフィア半導体指数は、16営業日連続の上昇を記録し、過去最長となる 連勝記録を達成しました。この背景には、人工知能向けの計算リソースやデータセンター需要への根強い期待があり、メモリ関連銘柄を含む幅広い半導体株に資金が流入しました。また、ソフトウェア・セクターも反発を見せており、主要なソフトウェアETF(IGV)は8営業日連続の上昇となりました。

一方で、消費者関連や一部の輸送株には軟調な動きが見られました。特にレンタカー大手銘柄であるAvis Budget Groupの大幅な下落が輸送株指数(ダウ輸送株平均)の重石となり、同指数は一時8%を超える下落を記録しました。市場全体としては、良好な第1四半期決算が相次いでいることが投資家心理を下支えしており、S&P 500採用企業の80%以上が、現時点で市場予想を上回る利益を計上しています。

COMMENT
『米国株式指数が記録的な上昇を続ける中、今後の下落タイミングを見極める局面に入っていると考えられます。本日の相場では、S&P 500およびNasdaq100が終値ベースで過去最高値を更新しましたが、上昇を牽引しているのは主に半導体やソフトウェアといったハイテク株、さらにいわゆるマグニフィセント・セブンと呼ばれる時価総額上位銘柄に限られている状況です。
さらに、4月に入ってから株価が500%以上上昇していたAvis Budget Groupが、本日1日で4月の上昇の50%以上下落しました。これは直近の上昇相場を象徴する銘柄の急落といえます。
こうした動きは、市場全体の過熱感の終焉を示唆している可能性があり、株式指数についても調整局面に入る可能性があると考えられます。』

2. 為替・金利・コモディティ

【為替市場】

ドル指数はユーロに対して小幅に上昇しました。背景には、中東情勢を巡る地政学的懸念が根強く残っていることや、それに伴うインフレ圧力への警戒から、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ開始時期が後ずれするとの見方が継続していることが挙げられます。また、日本円と米ドルの金利差を背景とした動きも注視されています。

【金利動向】

 米10年債利回りは4.30%前後で推移しました。米財務省が実施した130億ドルの20年債入札では、投資家からの堅調な需要が確認され、入札結果を受けて利回りが落ち着く場面が見られました。一方、英国の10年債利回りは4.90%近辺、日本の10年債利回りは2.4%近辺で推移しており、英国や欧州のインフレ指標が依然として高い水準にあることが意識されています。

【コモディティ市場】

 原油価格は上昇し、WTI原油先物は1バレル93ドル近辺、北海ブレント原油先物は102ドル近辺で取引を終えました。トランプ大統領によるイランとの停戦延長が発表されたものの、ホルムズ海峡での船舶拿捕や攻撃の報告が相次いだことで供給懸念が再燃しました。また、金価格は下落しましたが、ビットコインは79,000ドル台まで上昇し、約2ヶ月ぶりの高値を記録しました。

3. マクロ環境・政策動向

【地政学リスク・外交】

トランプ大統領は、イランとの停戦期間を無期限に延長することを発表しました。しかし、イラン側では、米国によるホルムズ海峡の海上封鎖が続いていることを「停戦違反」と見なしており、同海峡においてコンテナ船2隻を拿捕、さらに別の船舶を攻撃したと報じられています。国防総省の報告によれば、海峡内に敷設された機雷の除去には約6ヶ月を要する可能性があり、石油供給ルートの正常化には時間を要する見通しです。また、5月にはトランプ大統領と習近平国家主席による首脳会談が予定されており、米中関係の進展が注目されています。

【金融政策】

FRB議長候補に指名されているケビン・ウォルシュ氏に対する上院銀行委員会の公聴会が行われ、FRBの独立性や金融政策の透明性が議論の焦点となりました。一方で、司法省(DOJ)によるパウエル現議長への調査が続いており、上院銀行委員会は建物建設費の超過問題を巡る独自の調査を開始する方針を示しました。これにより、ウォルシュ氏の承認プロセスが停滞する可能性が浮上しています。また、最高裁判所ではトランプ大統領によるリサ・クック理事の解任権限に関する判断が待たれています。

【制度・政策】

トランプ政権が、大麻の分類を「スケジュールI(ヘロインと同等)」から、より規制の緩い「スケジュールIII」へ再分類する手続きを進めていることが報じられました。これにより、関連企業への課税負担の軽減や、医療研究の促進、銀行取引の拡大が期待されています。英国では、2009年以降に生まれた国民に対するタバコ販売を生涯禁止する「タバコ・ベープ法案」が議会を通過しました。米国では、商務省が中国への先端半導体輸出規制を継続しており、最先端チップ(Blackwell等)の販売を許可しない方針を改めて強調しました。

4. 個別銘柄動向

【テクノロジー・半導体】

・Tesla (TSLA):第1四半期決算は1株当たり利益が0.41ドルと予想(0.37ドル)を上回りましたが、売上高は223.9億ドルと予想を下回りました。ヒューマノイドロボット「Optimus」の第2四半期中の生産開始や、完全自動運転(FSD)の普及拡大、2026年の設備投資額(CapEx)を250億ドル規模へ増額する方針を明らかにしました。

・Texas Instruments Incorporated (TXN):第1四半期決算で売上高と利益が市場予想を上回り、第2四半期の見通しも強気な内容であったことから、株価が時間外で上昇しました。

・IBM (IBM):第1四半期決算で1株当たり利益が予想を上回りました。通期の見通しは据え置きましたが、コンサルティング業務の伸び悩みや欧州の景気不透明感への言及があり、株価は下落しました。

・ServiceNow (NOW):決算内容は概ね予想通りでしたが、中東情勢による契約遅延の影響などを理由に、時間外取引で大幅に下落しました。

・Lam Research (LRCX):四半期決算が予想を上回り、次期のガイダンスも上方修正されたことで、株価は堅調に推移しました。

【運輸・航空・宇宙】

・Boeing (BA):第1四半期決算で純損失が予想より小幅に留まりました。737 MAXの生産ペースを今夏に月42機から47機へ引き上げる計画を発表。通期のフリーキャッシュフロー黒字化を見込んでいます。

・United Airlines (UAL):第1四半期は堅調な需要に支えられましたが、燃油価格の上昇を理由に通期の業績予想を下方修正しました。

・Southwset Airlines (LUV):売上高と利益がともに市場予想を下回り、マクロ経済の不透明感を理由に通期ガイダンスの更新を見送りました。

・Spirit Airlines:トランプ政権が5億ドル規模の救済融資を含む支援策を検討していると報じられました。

・Avis Budget Group (CAR):ショートスクイーズの影響で急騰していた株価が、この日35%を超える大幅下落を記録しました。

・Space X:AIコーディングツールを手掛ける「Cursor」を600億ドルで買収するオプションを確保したことが報じられました。

【エネルギー・産業】

・GE Vernova (GEV):電力設備および送電関連の受注が急増し、通期の売上高見通しを上方修正しました。第1四半期の受注高は前年同期比71%増を記録し、株価は過去最高値を更新しました。

・Masco Corporation (MAS):配管製品や塗料の需要回復により、決算が市場予想を上回り、株価が急騰しました。

【消費者・ヘルスケア・その他】

・Philip Morris International (PM):第1四半期決算は予想を上回りましたが、燃油・エネルギーコストの上昇を理由に通期の利益予想を下方修正しました。 ・ベスト・バイ:コリー・ベリーCEOが10月末で退任し、ジェイソン・ボンフィグ氏が次期CEOに就任する人事を発表。株価は下落しました。

・lululemon athletica (LULU):ナイキ出身のハイディ・オニール氏を新CEOに指名しましたが、株価は軟調に推移しました。

・Fair Isaac Corporation (FICO):ファニーメイとフレディマックが住宅ローン審査において競合のスコア(VantageScore)を認める方針を示したことで、独占的地位への懸念から株価が大幅に下落しました。