1. 株式市場動向
米国株式市場は、AI(人工知能)関連の設備投資や半導体需要の拡大を背景に、テクノロジーセクター主導で力強い上昇を見せました。S&P 500指数とNASDAQ総合指数はともに過去最高値を更新し、S&P 500は4週連続のプラスを記録しています。NASDAQはハイテク株の買いに支えられて1.5%超の上昇となりました。一方、ダウ工業株30種平均は下落して取引を終え、市場全体としてはセクターごとのパフォーマンスの二極化が顕著になっています。
相場を牽引したのは半導体セクターです。SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)は18営業日連続の上昇という記録的な動きを見せました。Intelの決算発表でデータセンター向けCPUの需要急増が明らかになり、同社株が記録的な急騰を見せたことが、他の半導体銘柄にも波及しています。一方で、地政学リスクやコモディティ価格上昇の影響を受けやすい一般消費財や資本財の一部セクターは軟調な推移となり、市場全体の広がり(ブレッドス)には欠ける展開となっています。
2. 為替・金利・コモディティ
【金利動向】
米債券市場では、米国司法省によるパウエルFRB議長への捜査終了というニュースを受け、次期FRB議長指名と目されるケビン・ウォルシュ氏の就任が早まるとの観測から、米2年債利回りが数ベーシスポイント低下し、一時3.80%を下回る水準で推移しました。米10年債利回りは概ね横ばいの4.33%周辺で推移し、一時は4.35%に接近しました。フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、依然として2027年7月まで利下げが実施される確率が50%を下回る水準で織り込まれています。
【コモディティ市場】
原油価格は、米国とイランの和平交渉が再開されるとの報道を受けて下落しました。WTI原油価格は1バレル約94.37ドル、ブレント原油価格は約105.28ドルでの推移となりました。しかし、ホルムズ海峡の封鎖継続による供給不足は依然として深刻です。JPモルガンの試算によると、日量約1,370万バレルの供給が失われており、在庫の取り崩しや需要減少を考慮しても、依然として日量230万バレルの供給不足が発生しています。これに対応するため、ヒューストン港では夜間のタンカー受け入れを許可する新規則が導入され、米国産原油の輸出能力拡大に向けた措置が取られています。
3. マクロ環境・政策動向
【地政学リスク・外交】
米国とイランの和平交渉に向けた動きが報じられました。米国の交渉担当者であるジャレッド・クシュナー氏とスティーブ・ウィトコフ氏がパキスタンを訪問し、イラン外相と直接協議を行う予定とされています。また、イスラエルとレバノンは停戦を3週間延長することに合意しました。一方で、米国は中国企業の製油所や、イラン産原油を輸送する海運会社・タンカー約40社に対して経済制裁を発動しています。その他、ウクライナのゼレンスキー大統領がサウジアラビアを訪問し、ムハンマド皇太子と防空システムやエネルギー協力に関する会談を行いました。
【金融政策】
米国司法省(DOJ)は、連邦準備制度(FRB)のビル改修費用の超過に関連するパウエルFRB議長への犯罪捜査を打ち切ると発表しました。今後はFRBの内部監査室(OIG)が調査を引き継ぎます。この捜査終了により、上院での承認が滞っていたケビン・ウォルシュ氏の次期FRB議長就任に向けた障害が取り除かれる見通しとなりました。ウォルシュ氏は、AI主導の生産性向上に期待を示す一方で、FRBのバランスシート縮小を進める意向を表明しています。
【制度・政策】
米国食品医薬品局(FDA)は、PTSDやうつ病の治療を目的としたサイケデリック薬(幻覚剤)の研究を加速させるため、優先審査バウチャーを発行しました。これには、イボガイン(Ibogaine)の派生物に対する初期の臨床試験承認も含まれます。また、司法省は連邦死刑の適用範囲を拡大し、執行方法の選択肢を追加する命令を下しました。その他、トランプ政権下において、破産したスピリット航空の救済に国防生産法(DPA)を活用することが検討されていると報じられています。メイン州知事は、データセンターの建設を一時的に禁止する法案に拒否権を発動しました。