#19 4月28日(火) 日本市場レポート

1. 株式市場動向

日本の株式市場では、前日の取引で終値として初めて6万円台に乗せた日経平均株価が、3日ぶりに反落しました。前日の米国市場でSOX指数が反落した流れを受け、これまで相場を牽引してきた主力半導体・AI関連銘柄に利益確定売りが先行しました。日経平均株価は一時800円を超える下落となり、6万円の大台を割り込む場面が見られました。一方で、TOPIX(東証株価指数)やJPX日経インデックス400、東証グロース市場250指数などは上昇して推移しました。東証プライム市場全体では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回り、銀行、建設、不動産といった出遅れ感のあるバリュー株や内需関連株へ資金が向かうセクターローテーションの動きが確認されました。

COMMENT
『本日の日本株式市場では、4月に上昇していた半導体関連銘柄が大きく売られる一方で、その他のセクターが上昇しました。その影響で、NT倍率も下落しています。
米国のSOX指数の連続上昇が止まったことをきっかけにセクター間の乖離が解消され始めた可能性があると考えられます。そうである場合、今後は日経平均とTOPIXの乖離が縮小し、NT倍率がもともと推移していた14台まで下落していく可能性があります。』

2. 為替・金利・コモディティ

【為替市場】

ドル円相場は、日本銀行の金融政策決定会合の結果発表前後で変動が見られ、一時1ドル158円台まで円高ドル安が進行しました。日銀が政策金利の据え置きを決定した一方で、据え置きに反対した委員が前回の1名から3名に増加したことや、「展望レポート」で物価見通しが上方修正されたことが背景にあります。これにより、市場で早期の追加利上げ観測が強まり、円買いが優勢となりました。ユーロ円は186円台後半で推移しました。

COMMENT
『本日の金融政策決定会合では、利上げに積極的な高田委員と田村委員の反対に加え、中川委員が金利の据え置きに反対し、1.0%への金利引き上げの提案が示されたことは、市場にとってサプライズであった可能性があります。
しかし、ドル円は金利発表後に一時158円台まで下落したものの、その後は再び159円台半ばまで上昇しました。日銀がタカ派的な姿勢を示したにもかかわらず円安に進んだことで、円の弱さが目立つ展開となっています。
一方で、金融政策決定会合後は為替介入の可能性もあるため、円安が進むシナリオと、急激に円高へ振れるリスクの双方があると考えます。』

【金利動向】

米国の長期金利(10年国債利回り)は、原油価格の高止まりに伴うインフレ懸念を背景に、4.3%から一時4.5%を超える水準まで上昇しました。日本の債券市場でも10年国債利回りが上昇傾向を示し、2年国債利回りは1.35%水準で推移しました。

【コモディティ市場】

WTI原油先物価格は96ドルから97ドル台で推移し、高値圏での値動きが続いています。中東情勢の緊迫化による供給懸念が背景にあります。東京市場では、中東産原油やゴムが上昇した一方で、金、スポット白金などは下落しました。

3. マクロ環境・政策動向

【地政学リスク・外交】

米国とイランの戦闘状態およびホルムズ海峡の封鎖に関連する報道が続いています。イランがホルムズ海峡の解放を進める一方で核問題を先送りする提案を行ったとの報道や、イラン革命防衛隊がコンテナ船に乗り込んだとの報道が出ています。この封鎖の影響で、欧州や日本において石油製品(ナフサなど)の調達不足が生じており、自動車産業をはじめとするサプライチェーンへの影響が顕在化し始めています。3月の日本の貿易統計でも、中東向け輸出における自動車の減少や、石油製品の輸入量減少が確認されました。

【金融政策】

日本銀行は金融政策決定会合において、政策金利を0.75%程度で据え置くことを決定しました。ただし、高田委員、田村委員、中川委員の3名が1%程度への利上げを主張し、据え置きに反対票を投じました。同時に公表された「展望レポート」では、2026年度のコアCPI(消費者物価指数)上昇率の見通しを、前回(1月)のプラス1.9%からプラス2.8%へと大幅に上方修正しました。また、2027年度の見通しも上方修正されています。

【制度・政策】

トルコ政府が海外の高技術投資家向けに新たな投資インセンティブ制度を発表しました。最大20年間の海外所得に対する免税や、製造業の輸出企業に対する法人税の9%引き下げなどが盛り込まれています。

4. 個別銘柄動向

【テクノロジー・半導体】

・キオクシアホールディングス (285A):株価が上場来高値を更新しました。

・ジーデップ・アドバンス (5885):AI用サーバー機およびソリューションサービスなどで16億円の大型受注を獲得したと発表しました。

・ディジタルメディアプロフェッショナル (3652):インドのドローン企業と次世代AIドローンの開発などに関する戦略的な覚書を締結したと発表し、株価はストップ高気配となりました。

【IT・通信】

・ソフトバンクグループ (9984):傘下のArm Holdingsの株価下落などを背景に、株価が一時10%超の下落となりました。

・NEC (日本電気:6701):前期の純利益が54.3%増となった一方、今期は減収および純利益1.9%増見通しと発表しました。期末配当は実質増配の年間38円としましたが、業績見通しが市場予想に届かず株価は下落しました。

・スカパーJSATホールディングス (9412):今期は増収・2桁増益見込みとし、年間配当を前期の42円から48円に増配すると発表しました。株価は上昇しました。

・サイバートラスト (4498):前期純利益が25%増となり、今期も2桁増収増益見通しであると発表しました。

【自動車・機械・重工】

・日産自動車 (7201):前期業績を上方修正し、赤字幅縮小および営業黒字転換を発表しました。株価は上昇して推移しました。

・デンソー (6902):今期の営業利益が10%減の5,000億円、純利益が14%減の3,820億円になると発表しました。中東情勢による生産減などを織り込んでいます。また、ロームへの買収提案の正式撤回と、1株1,696円での自社株TOBを実施することを発表しました。株価は下落しました。

・小松製作所 (6301):今期は減収および2桁減益見込みとし、純利益は16%減の3,180億円になると発表しました。年間配当は190円を据え置き、1,000億円の自社株消却を発表しましたが、株価は下落しました。

・ジェイテクト (6473):今期の純利益が前期比4.1倍の500億円見込みと発表し、株価はストップ高水準まで上昇しました。

【金融】

・大和証券グループ本社 (8601):オリックス傘下のオリックス銀行を3,700億円で買収し完全子会社化すると発表しました。全額自己資金での買収に伴う財務負担懸念などから株価は下落しました。

・オリックス (8591):オリックス銀行の売却による資本効率改善や株主還元期待が好感され、株価が大幅に上昇しました。

・三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306):日銀の利上げ観測などを背景に株価が上昇し、高値圏で推移しました。

・りそなホールディングス (8308):JR西日本と資本業務提携する方針を固め、JR西日本 (西日本旅客鉄道:9021)が傘下の関西みらい銀行の株式を20%取得すると報じられました。

【電機・精密】

・日立製作所 (6501):今期の純利益が前期比6%増の8,500億円となり2期連続の最高益を見込むと発表しました。また、最大5,000億円の自社株買いや増配も発表しましたが、業績見通しが市場予想を下回り株価は下落しました。

・アンリツ (6754):今期の純利益が前期比28%増の150億円になると発表しました。データセンター向け需要の拡大が評価され、株価は上場来高値を更新しました。

・日東電工 (6988):今期の純利益が前期比6%増の1,410億円になると発表しましたが、市場予想を下回り株価は下落しました。

【素材・化学】

・信越化学工業 (4063):前期の売上高は0.5%増、純利益は11.2%減と発表しました。今期の業績および配当予想は未定とする一方、2,500億円を上限とする自社株買いを発表しました。株価は上場来高値を更新しました。

・ユニチカ (3103):タイの子会社解散による経営再建が発表され、一時株価が上昇した後に下落しました。

【医薬品・ヘルスケア】

・塩野義製薬 (4507):配当予想の増額を発表し、年間配当を前期比10円増の71円としました。

・アステラス製薬 (4503):今期の純利益見通しが市場予想を下回り、株価は下落しました。

・モダリス (4883):開発中の治療薬MDL-202およびMDL-103の前臨床試験において効果を確認したと発表しました。

【サービス・小売・その他】

・東京ガス (9531):今期の純利益が39.6%減益見通しである一方、年間配当を10円増配の120円とし、500億円を上限とする自社株買いを発表しました。株価は上昇しました。

・NIPPON EXPRESSホールディングス (9147):エリオット・マネジメントが5%超を保有していることが大量保有報告書で判明し、株価が急伸しました。

・パワーエックス (485A):1株につき3株の株式分割を発表し、株価は上場来高値を更新しました。

・アストロスケールホールディングス (186A):デブリ観測や接近捕獲技術に関する実証状況が報告され、欧州宇宙機関(ESA)やNASAからの受注を獲得したことが言及されました。