1. 株式市場動向
前日の米国株式市場は、中東情勢の不透明感や高値圏での利益確定売りが先行し、ダウ工業株30種平均、ナスダック総合指数、S&P500種株価指数がそろって3日ぶりに反落しました。半導体銘柄で構成されるSOX指数も下落しました。
これを受けた5月8日の東京株式市場は、前日に日経平均株価が過去最大の上げ幅を記録し最高値を更新した反動もあり、利益確定売りが先行しました。日経平均株価は一時700円近く下落する場面がありましたが、後場にかけて徐々に下げ幅を縮小し、前日比120円19銭安の6万2713円65銭で取引を終えました。TOPIXも0.3%下落し、JPX日経インデックス400とともに3日ぶりの反落となりました。
セクター別では銀行、海運、証券商品、石油石炭などが下落した一方、金属製品、サービス、その他製品、電気機器などが上昇しました。新興市場は堅調に推移し、東証グロース市場250指数は4.7%上昇し、年初来高値を更新しました。
2. 為替・金利・コモディティ
【為替市場】
外国為替市場では、ドル円相場は1ドル156円台後半での推移となりました。4月下旬から5月上旬にかけて円高方向に振れる局面があり、日本政府・日本銀行による為替介入とみられる動きが観測されたものの、足元では円安ドル高水準での推移が続いています。ユーロ円は1ユーロ184円台で推移し、カナダドル円は114円台後半から115円付近で推移しています。
【金利動向】
米国の10年物国債利回りは上昇し、4.38%付近で推移しました。中東情勢を背景としたインフレ懸念が意識される中、堅調な米経済を背景としたターミナルレートの上昇が長期金利を下支えする要因として市場で意識されています。
【コモディティ市場】
ニューヨーク原油先物市場(WTI)は、中東情勢の緊迫化を背景に一時上昇する場面が見られたものの、直近の取引では3日続落し、1バレル94ドル台で推移しました。一方、ニューヨーク金先物相場は3日続伸し、一時2週間ぶりの高値を付けました。
3. マクロ環境・政策動向
【地政学リスク・外交】
米国とイランの戦闘終結に向けた和平交渉において、イラン側が米国の提案に否定的な見方を示したと報じられました。また、米国がホルムズ海峡の船舶航行を支援する作戦を早ければ週内にも再開することを検討していると伝わったほか、サウジアラビアとクウェートが米軍の基地や空域利用制限を解除したとの報道もあり、中東の地政学リスクが再び意識されています。
【金融政策】
日銀の金融政策決定会合後の「展望レポート」において、政策委員の物価見通しに関するリスク認識が上振れ方向に傾いていることが示されました。円安や原油高によるインフレ圧力の長期化が意識されています。カナダの中央銀行については、直近の消費者物価指数の上昇を受け、早期利下げ観測が後退し、政策金利が据え置かれる見通しが示されています。米国では4月の雇用統計の発表が控えており、労働市場の動向に注目が集まっています。
4. 個別銘柄動向
【半導体・電子部品】
・キオクシアホールディングス(285A):前日にストップ高となった後、本日も商いを伴って上昇し、年初来高値を更新しました。5月15日に決算発表を予定しています。
・東京エレクトロン (8035):朝方の売りを一巡した後、上昇に転じ、上場来高値を更新しました。
・TDK (6762):決算を発表し、AIデータセンター向け部品の販売拡大などを背景に、2027年3月期(今期)の営業利益を前年比8%増とする計画を示しました。
・ダイトロン (7609):第1四半期の営業利益が前年同期比57%増の24億6500万円となりました。通期の営業利益予想を従来の72億円から75億5000万円へ上方修正しました。
【IT・通信・ソフトウェア】
・ソフトバンクグループ (9984):Arm Holdingsの株価急落を受け、利益確定売りに押され,
約5%の大幅安となり、日経平均株価を大きく押し下げました。
・ソフトバンク (9434):AIサーバーの開発と生産に乗り出すと報じられました。NVIDIAや台湾のHon Hai(鴻海)と協業に向けた協議を始めたと伝わっています。
・インターネットイニシアティブ (3771):香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントが同社株式の7.48%を取得したことが大量保有報告書で判明しました。
【自動車・機械・ロボティクス】
・トヨタ自動車 (7203):前期(2026年3月期)の営業利益は3兆7600億円となりました。今期(2027年3月期)の業績予想は、中東情勢の影響や資材価格の上昇を織り込み、営業利益が20.3%減の3兆円、純利益が22%減になると発表しました。年間配当は前期の95円から100円への増配を発表しました。現金残高は過去最高の12兆6000億円超となりました。決算発表後に株価は下落し、年初来安値を更新しました。
・ファナック (6954):台湾証券が目標株価を引き上げたことなどを材料に買われ、上場来高値を更新しました。
・安川電機 (6506):フィジカルAI関連として物色され、年初来高値を更新しました。
・キーエンス (6861):証券会社による目標株価引き上げもあり、上場来高値を更新しました。
・IHI (7013):前期の純利益が42%増となり、今期の営業利益は45%増、純利益は2.5%増と3期連続の最高益更新を見込むと発表しました。
【食品・小売・消費財】
・ファーストリテイリング (9983):4月の国内ユニクロ既存店売上高が前年同月比10.2%増となり、4カ月連続で前年実績を上回りました。
・味の素 (2802):今期の純利益見通しを前年比11%減の1200億円と発表し、市場予想を下回りました。一方で、半導体向け絶縁材料(ABF)を生産する新工場用の土地取得を発表しています。
・MONOTARO (3064):第1四半期の純利益が前年同期比18%増の89億円、売上高が21%増となりました。
・スクロール (8005):今期の純利益見通しを前年比55%増の43億円と発表しました。株主優待を廃止する一方で、年間配当を前年から43円増の102円に大幅増配する方針を示し、株価はストップ高となりました。
・FOOD & LIFE COMPANIES (3563):今期(2026年9月期)の純利益見通しを従来の240億円から300億円(前期比31%増)へ上方修正し、1:2の株式分割を発表しました。
・任天堂 (7974) (:前期の純利益は52%増となりました。今期(2027年3月期)は純利益が26.9%減の3100億円になるとの見通しを発表しました。また、「ニンテンドースイッチ2」の価格を日本国内で5万9980円へ、米国で499.99ドルへ引き上げることを発表しました。
【その他】
・横河電機 (6841):今期の純利益見通しを前年比1%増の585億円とし、市場予想を下回ったことで株価が下落しました。あわせて発行済み株式の3.5%に当たる最大300億円の自社株買いを発表しました。
・住友林業 (1911):第1四半期の純利益が米国戸建て住宅事業の不振などにより、前年同期比19%減の167億円となりました。
・じもとホールディングス (7161):前期の連結純利益見通しを従来の予想から上方修正し、25億円に引き上げたと発表しました。
・PowerX (485A):モンテネグロの国営電力会社と蓄電システムに関する覚書を締結したと発表し、株価はストップ高まで買われました。