#33 5月11日(月) 日本時間レポート

1. 株式市場動向

日本市場は、先週末の米国市場でハイテク株が上昇し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が過去最高値を更新した流れを受け、寄り付き直後は買いが先行しました。日経平均株価は一時、取引時間中の最高値となる63,385円4銭まで上昇しましたが、買い一巡後は利益確定売りが優勢となり、295円77銭安の62,417円88銭で続落して取引を終えました。特にソフトバンクグループやアドバンテストといった指数寄与度の高い銘柄が下落し、相場の重荷となりました。

一方、TOPIX(東証株価指数)は小幅に反発し、3,831.85ポイントで終了しました。日経平均株価に比べて底堅い動きとなり、バリュー株への買い戻しが見られました。東証プライム市場の売買代金は概算で10兆4,354億円と高水準を記録しています。値上がり銘柄数は870、値下がり銘柄数は650となっており、全体としては半数以上の銘柄が値を上げています。

新興市場では、東証グロース市場250指数が1.7%上昇し、4日続伸となりました。先週末に付けた年初来高値を更新しており、パワーXなどの主力銘柄が指数を牽引しました。プライム市場でハイテク株が軟調となる中で、新興市場やスタンダード市場には海外勢の資金流入が継続しているとの指摘もあり、相対的な強さが目立っています。

アジア市場では、韓国総合株価指数が4.8%高と急騰し、連日で最高値を更新しました。台湾加権指数も0.9%高となり、先週更新した最高値を上回る水準で推移しています。中国の上海総合指数も0.9%上昇し、10年ぶりの高値圏を伺う動きとなりました。

2. 為替・金利

【為替市場】

円相場は、1ドル=157円台前半を中心に円安ドル高方向で推移しました。中東情勢の不透明感から原油先物価格が上昇し、輸入コスト増による日本の貿易収支悪化への懸念が円売りを促しました。また、米国の雇用統計を受けて米長期金利が底堅く推移していることも、ドル買い要因となっています。ユーロ円は184円台後半、ポンド円は213円台で取引されています。

【金利動向】

日本の長期金利(新発10年物国債利回り)は、再び2.5%台に上昇しました。米国市場でも、雇用統計の内容を受けてインフレ圧力が意識され、長期金利が4.40%近辺まで上昇する場面がありました。市場では、日銀による追加利上げへの警戒感に加え、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始時期が2025年以降にずれ込むとの予測が台頭しています。

3. マクロ環境・政策動向

【地政学リスク・外交】

中東情勢を巡り、イランによる戦闘終結の提案に対し、トランプ米大統領が「全く受け入れられない」とSNSで表明したことが報じられました。また、イスラエルのネタニヤフ首相も「イラン作戦は終わっていない」と発言しており、情勢の長期化懸念が再燃しています。一方、外交面では米国のベッセン財務長官が来日し、高市首相や片山財務大臣、日銀の上田総裁と会談する予定です。会談では為替介入の容認や、日本の積極財政に伴う金利上昇が米国経済に与える影響などが議論される見通しです。

【金融政策】

日銀の4月金融政策決定会合の「主な意見」が公表されるのを前に、市場では6月または7月の追加利上げを巡る思惑が交錯しています。米国では、最新の経済指標を受けてFRBによる利下げ期待が大きく低下しており、年内の現状維持が有力視されるようになっています。11月の米中間選挙を控えた政治的な不確実性も、金融政策の判断に影響を与える可能性が指摘されています。

【制度・政策】

高市首相は参議院決算委員会において、エネルギー節約の呼びかけなどの可能性を排除せず、臨機応変に対応する考えを示しました。また、政府は「国家戦略6分野」としてAI・半導体、量子、バイオ、宇宙、核融合、通信を掲げ、成長戦略としての投資を加速させています。特にドローンや宇宙防衛関連では、防衛装備庁による民間企業への発注が具体化し始めています。

4. 個別銘柄動向

【自動車・輸送用機器】

キオクシアホールディングス(285A):連日で上場来高値を更新しました。時価総額は25兆円を超え、終値ベースで初めて東京エレクトロンを抜き、国内電気セクターの首位となりました。

ソニーグループ(6758):TSMC(台湾積体電路製造)との戦略的提携を発表し、8.3%高と大幅反発しました。画像センサーを用いた「フィジカルAI」分野での貢献が期待されています。

ソフトバンクグループ(9984):朝方は高く始まりましたが、利益確定売りに押され6%超の下落となりました。13日の決算発表を前に不透明感が意識されています。

アドバンテスト(6857):米国株高を受けて買い先行で始まりましたが、その後マイナスに転じ、3%超の下落で終えました。

【自動車・輸送用機器】

トヨタ自動車(7203):5日続落となり、連日で年初来安値を更新しました。今期の営業利益が中東情勢の影響などで20%減益となる見通しが引き続き嫌気されています。

ホンダ(7267):大幅に続落し、年初来安値を更新しました。前期の連結営業利益が4,000億円規模の赤字となったことが判明し、市場に衝撃を与えました。

SUBARU(7270):前期(2026年3月期)の純利益予想を、従来の1,250億円から900億円へ大幅に下方修正し、年初来安値を更新しました。

【ゲーム・その他製品】

任天堂(7974):今期の純利益が前期比27%減の3,100億円になる見通しを発表し、市場予想を大幅に下回ったことから9%超の急落となりました。「スイッチ2」の1万円値上げも発表されましたが、販売台数の減少懸念が先行しました。

コナミグループ(9766):今期の純利益が過去最高を更新する見通しを発表し、10%超の上昇となりました。6月のサッカーワールドカップを控えた需要増への期待も買いを後押ししました。

【食料品・資源】

味の素(2802):上場来高値を更新しました。半導体パッケージ基盤用の絶縁フィルム(ABF)の需要増加が期待されており、新工場の建設も発表されています。

JT(2914):第1四半期の決算が好調で、純利益が前年同期比25%増となったことを受けて6%超の上昇となりました。ロシアやトルコでの値上げ浸透が寄与しました。

住友金属鉱山(5713):今期の純利益が21%減となる見通しを発表し、一時10%安となりました。自社株買いを発表したものの、減益および減配の見通しが嫌気されました。

【新興市場・ドローン】

パワーX(143A):3日続伸し、グロース市場の売買代金首位となりました。時価総額が急増しており、市場全体の牽引役となっています。

テラドローン(155A):防衛装備庁からモジュール型ドローンを初受注したと発表し、ストップ高まで買われました。

アストロスケールホールディングス(186A):宇宙関連のテーマ性が意識され、売買代金上位にランクインしました。