#35 5月12日(火) 日本時間レポート

1. 株式市場動向

2026年5月12日の東京株式市場で、日経平均株価は3日ぶりに反発しました。終値は前日比324円69銭高い62,742円57銭となりました。東証プライム市場の売買代金は概算で10兆4,392億円に達しています。

アジア市場で韓国総合株価指数(KOSPI)が一時急落したことなどが重しとなり、取引時間中にマイナス圏に沈む場面も見られました。

東証プライム市場の業種別騰落では、その他金融や非鉄金属、石油・石炭製品などが上昇率の上位に入りました。特に決算内容が好感された電線株や建設株の騰勢が目立ちました。一方、水産・農林業、小売業、空運業などは下落しました。新興市場では、東証グロース市場250指数が3.4%安と大幅に反落し、前日まで続いていた上昇トレンドから一転して売りが優勢となりました。

2. 為替・金利・コモディティ

【為替市場】

ドル円相場は、一時1ドル=157円台半ばまで円安ドル高が進みました。米国の長期金利上昇による日米金利差の拡大や、原油高に伴う日本の貿易収支悪化への懸念が円の重しとなりました。また、来日中のベッセント米国財務長官と片山財務大臣による会談において、円安を強く牽制する発言が控えられたとの受け止めが広がったことも円安を促しました。しかし、夕方にかけては156円台へ円が買い戻されるなど、上下に振れる展開となりました。

【金利動向】

国内の債券市場では、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一時2.545%まで上昇し、約29年ぶりの高水準を記録しました。世界的なインフレ懸念や原油価格の高止まりを背景に、債券売りが優勢となりました。財務省が実施した10年債入札は「好調」と評される内容で、最低落札価格が市場予想を上回ったことから、入札後は金利の上昇に歯止めがかかる場面もありました。

【コモディティ市場】

原油市場では、WTI先物価格が一時1バレル=100ドル台まで上昇し、その後も98ドル台の高値圏で推移しています。中東情勢の緊迫化に伴う供給不安が価格を押し上げています。金市場も地政学リスクを背景に上昇基調にあります。一方、中東情勢の影響によるナフサ不足から、印刷インクの原料が逼迫しており、食品パッケージの白黒化など実経済への影響が出始めています。

3. マクロ環境・政策動向

【地政学リスク・外交】

米国とイランの停戦交渉が難航しており、ドナルド・トランプ大統領は現状の合意について「極めて脆弱な状態にある」との認識を示しました。また、パナマ運河を通過する石油輸送量が2025年平均から7割増加しており、アジア各国がホルムズ海峡の封鎖リスクを避け、中東産から米国産原油へのシフトを急いでいる実態が明らかになりました。今週後半には北京で米中首脳会談が予定されており、台湾問題や経済安全保障、イラン情勢への中国の関与などが議論される見通しです。

【金融政策】

日本銀行が発表した4月の金融政策決定会合の「主な意見」では、円安に伴うインフレリスクを背景に、早期の追加利上げや国債買い入れの減額を求める意見が相次いでいたことが確認されました。市場では次回の利上げ時期に対する関心が高まっています。一方、米国では今晩発表予定の4月消費者物価指数(CPI)が、今後のFRBによる金利判断に大きな影響を与えるとして注視されています。

【制度・政策】

日本の3月分の家計調査では、実質消費支出が前年同月比2.9%減となり、4ヶ月連続のマイナスを記録しました。自動車購入や食料品への支出減が目立ち、インフレによる消費抑制の傾向が強まっています。また、新NISA制度の利用状況についても言及があり、非課税メリットを活用した長期・積立・分散投資の重要性が改めて示されました。

4. 個別銘柄動向

【半導体・AI・ハイテク】

・キオクシアホールディングス (285A):連日で昨年来高値を更新し、時価総額が25兆円を突破しました。国内企業として4位の規模に浮上しています。

・イビデン(4062):2027年3月期の営業利益見通しが市場予想を上回ったほか、中期経営計画の上方修正を発表し、株価は年初来高値を更新しました。

【電線・非鉄金属】

・古河電気工業(5801):今期の純利益見通しが市場予想を大きく上回り、1株から10株への株式分割も発表したことでストップ高となりました。

・住友電気工業(5802):今期の増収増益見通しや1株から4株への株式分割を発表しました。株価は一時過去最高値を更新しました。

・JX金属(5016):今期の業績見通しが市場予想を下回ったことや、自社株買いの原資として転換社債(CB)を発行することが嫌気され、株価は14%超の急落となりました。

【建設・不動産・運輸】

・清水建設(1803):今期の純利益が前期比3%増となる見通しを発表しました。採算性の改善が評価され、株価は10%近く上昇しました。

・三菱重工業(7011):今期の増収増益見通しを発表しましたが、受注高が前期比で減少するとの計画が嫌気され、株価は下落しました。

・川崎重工業(7012):今期の純利益が過去最高となる1,100億円の見通しを公表し、株価は上昇しました。

・京浜急行電鉄(9006):純利益の増加見通しと自己株買いの実施を発表し、堅調に推移しました。

【小売・食品・その他】

・マツダ(7261):今期の最終利益が前期比2.6倍となる大幅増益見通しを出し、一時ストップ高まで買われました。

・カルビー(2229):ナフサ不足によるインク供給難からパッケージを白黒に変更することを発表しましたが、株価は7日続落となりました。

・ワークマン(7564):前期は4年ぶりの最高益を更新しましたが、今期の利益見通しが市場予想に届かなかったことが嫌気され、株価は10%超の下落となりました。

・オリックス(8591):4年連続の最高益見通しに加え、最大2,500億円の自社株買いや増配を発表し、年初来高値を更新しました。

・ミネベアミツミ(6479):出資先である東芝の企業価値向上に伴うファンド評価額の引き上げにより、前期業績を上方修正しました。

・スクイーズ(231A):ホテルのDX・オペレーション支援を手掛ける企業として4月22日に上場し、成長期待から高値圏で推移しています。