株式市場動向
米国の株式先物市場は下落しました。、米国とイランの夜間の軍事衝突により脆弱な停戦と和平交渉の先行きに懸念が生じた可能性があります。ナスダック100先物は1.7パーセント下落し、人工知能関連銘柄の過熱感から資金が流出するローテーションが一段と進む中でテクノロジー株の売りが加速しました。また、S&P500先物は1.2パーセント下落し、ダウ工業株30種平均先物も1パーセントの下落を記録しました。市場では、SpaceXやOpenAI、Anthropicといった巨大企業の新規公開株を控えて市場の需給や流動性に対する懸念も重荷となっています。その後、発表された5月のCPIデータは前年同月比4.2パーセント上昇と3年ぶりの高水準を記録したものの、エネルギーと食品を除くコアCPIが市場予想をわずかに下回る前月比0.2パーセントの上昇にとどまったため、S&P500先物は下落幅を縮小する動きを見せました。
日本市場では、日経平均株価が大幅に反落しました。午後には一時1,600円を超える下げ幅を記録して当日の安値である63,733円まで下落しました。終値は前日比1,237円27銭安の64,179円27銭となりました。東証プライム市場の売買代金は11兆3,336億円に増加し、値上がり銘柄数は835、値下がり銘柄数は694でした。トピックスおよびJPX日経インデックス400もそれぞれ1.3%下落しました。東証グロース市場250指数は主力株の利益確定売りに押され、2.4%ほど下落して3日続落となりました。
アジア市場でも下落が目立ちました。上海総合指数は小幅に下落し、香港ハンセン指数は0.5%下げて6日続落となりました。韓国総合株価指数は前日の反発から一転して5.4%の大幅下落となり、台湾加権指数も3.3%下落して反落しました。
為替・金利・コモディティ
【為替市場】
ドナルド トランプ米大統領がソーシャルメディア上で、イランが和平交渉を長引かせているとして代償を払うことになると警告した直後、外国為替市場では安全資産としての米ドルが上昇したものの、その後は上昇幅をある程度縮小しました。カナダ市場では、カナダ銀行が政策金利を2.25パーセントに据え置いたことを受けてカナダドルが強含み、1米ドルあたり1.3903カナダドルに前日から0.3パーセント上昇して推移しました。アルゼンチンでは、中央銀行がインフレ率を下回るレポ金利を維持し、5月中にドル先物市場への介入を縮小したことを受けて、アルゼンチンペソが過去8週間で約6パーセント下落し、新興国市場で最大の下落率を記録して5ヶ月ぶりの安値付近まで落ち込みました。これは、中央銀行が金利よりも通貨流通量を重視する新しいアプローチにシフトしたことで、投資家がリスク回避姿勢を強めたためです。
【金利動向】
米国債市場では、5月のコアCPIが前月比0.2パーセントと市場予想の0.3パーセントを下回ったことを受けて、国債利回りがわずかに低下しました。金融政策の短期的な見通しを反映しやすい2年債利回りは、セッション前半の4.13パーセント付近から4.11パーセントへ低下し、前日比で1ベースポイント未満の低下にとどまりました。この結果について、Fort Washington Investment Advisors のシニアポートフォリオマネージャーであるダン カーター氏は、来週にケビン ウォーシュ新議長のもとで初めて開催される連邦公開市場委員会を前に、連邦準備制度にわずかな息抜きの時間を与えたと指摘しています。一方で、債券トレーダーは依然としてインフレの不確実性や中東紛争によるエネルギーコスト上昇への警戒を解いておらず、年内の利上げ実施に対する賭けを維持しています。
【コモディティ市場】
ニューヨーク金先物市場では、米国がイランの軍事ヘリコプター撃墜に対する報復としてホルムズ海峡付近のイラン拠点を攻撃したことで、地政学リスクに伴う市場の動揺と売りが広がり、金価格は最大2.1パーセント急落して1オンスあたり約4173ドルに下落しました。原油市場では、米国によるイランへの自己防衛を目的とした爆撃が実施され、世界のエネルギー輸送の要所であるホルムズ海峡の封鎖が長期化する懸念が高まったため、原油価格が急反発しました。北海ブレント原油先物は最大2パーセント上昇して1バレルあたり93ドルを超えて取引され、ウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)先物も90ドルまで上昇しました。一方でイラクは、南部バスラ港での原油積み込みを加速させており、今月の出荷量がすでに約700万バレルに達し、過去2ヶ月間の総出荷量に匹敵するペースで原油を市場に供給しています。これは割引価格を提示して買い手を呼び込むことで、戦争による供給停滞を打破しようとする動きを反映しています。
マクロ環境・政策動向
【地政学リスク・外交】
米国とイランは、オマーン沖で米軍のアパッチヘリコプターが撃墜されたことを発端として、夜間に激しい軍事衝突を展開し、過去2ヶ月間にわたり維持されていた脆弱な停戦状態が事実上崩壊しました。ドナルド トランプ米大統領は、イランが合意形成の交渉を引き延ばしていると非難し、厳しい代償を科す姿勢を示したのに対し、イランのアッバス アラグチ外相はすべての脅威に反撃すると表明し、バーレーンに駐留する米海軍第5艦隊へのドローン攻撃を実施しました。また、トランプ大統領とイスラエルのベンヤミン ネタニヤフ首相の同盟関係は、イラン情勢への対応を巡る関心の乖離によって試されており、国内のインフレ抑制を狙いホルムズ海峡の早期再開を求めるトランプ大統領と、ヘズボラの排除など生存をかけた広範な軍事目標を掲げるネタニヤフ首相との間で方針のズレが表面化しています。
【金融政策】
カナダ銀行は、一連の経済指標が第1四半期に年率0.1パーセントの経済収縮を示したことを背景に、政策金利を5回連続で2.25パーセントに据え置くことを決定しました。ティフ マックレム総裁は、経済の停滞と中東紛争に伴うインフレ圧力が同時に進行する金融政策のジレンマに直面していると言及し、米国の通商制限リスクには利下げ、エネルギー価格の高騰が広範な物価上昇につながる場合は連続的な利上げで柔軟に対応する方針を示しました。南アフリカ準備銀行は、半期に一度の金融安定レビューを発表し、中東紛争による原油価格のショックが物価を押し上げているとして、5月の25ベースポイントの利上げに続き、2026年中にさらなる追加利上げ必要性を示唆しました。また、同中央銀行のリードマクロプルデンシャルスペシャリストであるヘルコ ステイン氏は、Anthropicが開発したClaude Mythosなどの最先端AIモデルの能力が、金融の決済やメッセージングシステムのインフラに対してサイバー攻撃などのセキュリティ上の脆弱性を高めていると警告しました。
【制度・政策】
欧州連合の予算監視機関である欧州財政委員会は、欧州委員会がイタリアのジョルジャ メローニ首相をはじめとする各国政府からの政治的圧力に屈し、本来は国防支出に限定されるべき柔軟性枠をエネルギー関連の援助に転用することを容認した措置を激しく非難しました。同委員会のピーター ハセカンプ委員長は、広範なエネルギー支援策が総需要を拡大させ、インフレをさらに悪化させるだけでなく、改定された赤字ルールの信頼性を著しく損なう抜け道になると警告しています。米国では、商品先物取引委員会(CFTC)のマイケル セリグ委員長が、戦争、テロ、暗殺に関連する予測市場での賭け契約を取り締まるための新しい規制案を発表し、市場の健全性を保護する方針を示しました。さらに米国運輸省は、意図しない不利益をもたらす差別的効果を禁止していた長年の民権規制の一部を撤廃することを発表しました。香港政府は、168人の死者を出したワンフックコートアパートの住宅改修工事における手抜きネットの使用や火災報知器の無効化といった人為的ミスを巡り、過失致死や詐欺共謀などの罪で7人の個人と2つの企業を起せることを発表しました。
個別銘柄動向
【テクノロジー】
・Nvidia (NVDA):株価が2.4パーセント下落し、AI関連銘柄の過熱感から資金が流出するローテーションの動きに伴い、マグニフィセント・セブン株の下落を主導しました。
・Amazon (AMZN):少ロットトラック輸送サービスを全米のサードパーティ倉庫や小売パートナーの目的地に拡大すると発表し、輸送セクターに激震を走らせたものの、全体的な地政学リスクが嫌気され株価は0.6パーセント下落しました。なお、同社はAIインフラ拡充の資金調達として、シティグループが主導する銀行団から175億ドルの融資枠を確保したことを開示しました。
・Microsoft (MSFT):ブラッド スミス社長がプリンストン大学での経験をもとに、AIは人間を代替するのではなく能力を強化するために活用すべきであるとする長文の論文を発表した一方で、株価は1.5パーセント下落しました。また、共同創業者のビル ゲイツ氏は、ジェフリー エプスタインの犯罪ネットワークを調査する下院監視委員会の非公開証言に出席し、過去の接触について説明を行いました。
・Super Micro Computer (SMCI):顧客から受注した約390億ドルのAIサーバー注文に対応するため、部品購入資金として70億ドル規模の株式および株式関連のファイナンス取引を実施する計画を発表したことが嫌気され、株価は11パーセント急落しました。
・Oracle (ORCL):取引終了後に第4四半期決算の発表を控えており、OpenAIとの300億ドル規模の5年契約を含むクラウド事業の動向に注目が集まる中、決算前の警戒感から株価は最大3.54パーセント下落して推移しました。
・Poetic:OpenAIやクライナー・パーキンス、創設者基金から5000万ドルの資金調達を実施してステルス状態から脱却し、企業価値が5億ドルに達したことを発表しました。
【エネルギー・素材・産業】
・Devon Energy (DVN):通期のエネルギー生産予測を引き上げ、資産をパーミアン盆地に集中させるためのポートフォリオ見直しを進めていると発表したことで、原油価格の上昇も追い風となり株価が約1パーセント上昇しました。
・SpaceX (SPCX):金曜日の上場を控えて投資家の注文が殺到しており、サウジアラビアの公的投資基金やクウェート投資庁がそれぞれ10億ドルから50億ドルの巨額注文を入れていることが明らかになりました。また、カナダ帝国商業銀行がトロント証券取引所でSpaceXのカナダ預託証券の提供を開始すると発表した一方で、ノースカロライナ州のブラッド ブライナー財務官は1.77兆ドルの評価額が高すぎるとして直接の投資を見送る方針を示しました。
・Anthropic:最高経営責任者のダリオ アモデイ氏が、大局的な戦略や組織文化に集中するために直接の部下をチーフオブスタッフ1人のみに限定する独自の指導体制を敷いていることが報じられました。 ・Baidu Inc.:ヘンリー ホー最高財務責任者がブルームバーグ・インベスト香港カンファレンスに登壇し、企業のAI導入に伴う資本支出および営業費用の複雑な意思決定におけるCFOの戦略的役割について議論を展開しました。
・DCC Plc:KKRおよびエネルギー・キャピタル・パートナーズから、配当込みで1株あたり約66.72ポンド、総額約57億ポンドに上る改善された買収提案を受け、受け入れる意向を表明したことで株価が一時5パーセント上昇し、最終的に3.2パーセント高の61.90ポンドで取引されました。
【運輸・消費財・その他】
・Old Dominion Freight Line Inc. (ODFL):Amazonが少ロットトラック輸送サービスへの本格参入と全米への目的地拡大を発表したことにより、市場シェアを奪われる懸念から株価が7パーセント下落しました。
・FedEx Freight Holding Co.:Amazonによるサービス事業拡大の発表を受け、競合激化への懸念からプレマーケット取引で株価が6パーセント下落しました。
・Saia Inc.:Amazonの輸送サービス拡大の直撃を受ける物流企業として投資家に意識され、株価はプレマーケット取引で8パーセント以上下落しました。
・Casey’s General Stores Inc. (CASY):発表した第4四半期の総売上高がアナリストの平均予想を上回ったことが好気され、株価は2パーセント上昇しました。
・Chewy (CHWY):第1四半期の決算内容が堅調であったことを受けて、株価が7パーセント上昇しました。
・Cracker Barrel (CBRL):通期の売上高ガイダンスを引き上げ、それが市場のアナリストの平均予想を上回ったことから、株価が9パーセント急上昇しました。
・Dianthus Therapeutics (DNTH):競合である製薬大手のサノフィが、希少な自己免疫疾患を対象とした実験的治療の終盤治験を有効性の懸念から中止したという発表を受け、連れ安する形で株価が19パーセント急落しました。
・Hinge Health (HNGE):デジタルヘルスケア事業の拡大を背景に、通期の総売上高予測を上方修正したことが評価され、株価が3パーセント上昇しました。
日本個別銘柄動向
【電子部品・電気機器】
・太陽誘電(6976):朝方に過去最高値となる18,345円まで買われましたが、その後急落し、前日比11%を超える下落の15,300円近辺で取引を終えました。ゴールドマン・サックスが目標株価を7,100円から22,000円へ引き上げたことが話題となっています。
・東京エレクトロン(8035):米国市場での製造装置株の上昇を受け、逆行高となり上場来高値を更新しました。終わり値は4%近い大幅高となりました。
・村田製作所(6981):株価は前日比9%を超える下落となりました。 ・アドバンテスト(6857):株価は3%近く下落しました。 ・キオクシアホールディングス(コードなし):株価は7%を超える下落となりました。野村証券が目標株価を68,000円から115,000円に引き上げたことが紹介されました。先週末時点の信用買い残高が1兆円を突破しています。
【情報通信・インターネット】
・ソフトバンクグループ(9984):米国市場でのアーム(ARM)の株価急落を受け、株価は9%を超える下落となりました。野村証券が目標株価を9,000円から9,590円に引き上げました。
・三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306):日銀の利上げ観測報道を背景に、株価は促進して上場来高値を更新しました。
【自動車・輸送用機器】
・トヨタ自動車(7203):株価は年初来安値を更新し、PBRは0.8倍まで下落しています。
【その他のセクター】
・任天堂(7974):新作ソフトのラインナップを発表したものの、大型新作の発表がなかったことなどから材料出尽くしと受け止められ、株価は7.6%下落の7,144円で取引を終えました。
・オリエンタルランド(4661):株価は4%上昇しました。なお、直近2年半で株価が6割下落し、連結営業利益見通しが5%減の1,607億円と2年連続の営業減益計画であることが報じられました。