#65 6月15日(月) 相場レポート

株式市場動向

2026年6月15日の米国株式市場は、米国とイランが戦争を終結させホルムズ海峡を再開するという暫定和平合意に達したとの発表を受けて大幅に上昇しました。ダウ・ジョーンズ工業株平均は前日比0.92パーセント、468.77ドル高い51671.03ドルとなり、2026年に入って16回目の最高値を更新しました。S&P 500種株価指数は1.65パーセント、122.83ポイント上昇の7554.29となり、ナスダック総合指数は3.07パーセント、795.10ポイント上昇して26683.94で取引を終え、主要3指数はそろって3営業日連続の上昇を記録しました。市場ではエネルギー価格の下落に伴うインフレ懸念の後退からリスクオンの動きが強まり、人工知能関連の半導体銘柄や航空、輸送などのインダストリアルセクターが牽引しました。また、前週のSpaceXによる大規模な新規公開株の成功や企業による活発な債券発行が市場の流動性を高め、投資家が手元の現金を株式市場へ再投入する動きを加速させました。

日本の株式市場において、日経平均株価は大幅に3日続進し、終値は前週末比3297円46銭高の69317円50銭となりました。これは歴代2位の上昇幅であり、初めて69,000円台に乗せての着地となりました。取引時間中には一時69,682円まで上昇し、今月3日につけた過去最高値を更新しました。東証株価指数も大幅に続進し、最高値を更新しました。JPX日経インデックス400は3.2%から3.3%ほど上昇し、最高値を上回る水準で取引を終えました。東証プライム市場指数は3.6%から3.7%ほどの大幅高となり、東証スタンダード市場指数も1.3%から1.5%高と続進しました。一方で、東証グロース市場指数およびグロース250指数は、主力株への資金シフトの影響などから3日ぶりに反落し、1.5%から1.6%ほどの下落となりました。

為替・金利・コモディティ

【為替市場】

ドル円相場は、先週末の160円15銭近辺から、米国とイランの戦闘終結に向けた合意報道を受けて一時159円74銭まで下落し、円高ドル安方向に振れる場面がありました。しかし、日米の金利差や国内輸入企業による実需の円売りドル買いなども意識され、その後は160円台前半での値動きとなり、下値は限定的となりました。

    【金利動向】

    米国債市場では、イランとの暫定合意による原油価格下落とインフレ期待の後退を受け、債券が買われました。米10年物国債利回りは4.45パーセントまで低下しました。金利先物市場では、連邦準備制度理事会が12月に政策金利を引き上げる確率が前週の70パーセントから55パーセントへと低下しました。一方で、ブラジルの経済専門家はインフレの再燃を背景に、中央銀行の基準金利であるセリックの年末予想を13.5パーセントから13.75パーセントに引き上げ、引き締め長期化を織り込んでいます。ポーランド中央銀行のルドヴィク・コテツキ委員は、中東の地政学的リスクを見極めるため、少なくとも年末まで政策金利を3.75パーセントに据え置く方針を示しました。

    【コモディティ市場】

    原油市場では、ホルムズ海峡の再開と米国の封鎖解除への期待から、国際指標であるブレント原油先物が前日比で最大5.7パーセント下落し、1バレルあたり83.17ドルで約3ヶ月ぶりの安値を付けました。ウェスト・テキサス・インターミディエイト原油先物も5パーセント以上下落し、1バレルあたり80.30ドルで引けました。しかし、これまでの戦闘でインフラが損傷したことや、船舶保険料が戦争前の10倍に高騰していることから、供給の正常化には数ヶ月から1年以上の時間を要するとみられています。金先物相場は、エネルギー価格の下落が金利据え置きにつながるとの思惑から反発し、1オンスあたり4337.90ドルで取引されました。アルミニウムは、ホルムズ海峡経由の金属出荷再開への道が開かれたことで2ヶ月ぶりの安値を記録し、米国テキサス州のワハハブ天然ガス価格は、131日間にわたるマイナス価格圏を脱して100万Btuあたり35セントと4ヶ月ぶりにプラスに転じました。

    マクロ環境・政策動向

    【地政学リスク・外交】

    米国とイランは、3ヶ月以上にわたり世界経済を揺るがした戦争を終結させるため、ホルムズ海峡を60日間にわたり無料開放する暫定和平合意に達しました。両国は6月19日にスイスのジュネーブで覚書に署名し、その後の60日間でイランの核開発プログラムや米国の経済制裁に関する包括的な協議を行う予定です。しかし、米国側が永続的な通行料無料を主張するのに対し、イラン側は60日経過後に海上航行サービスの手数料徴収を開始すると主張しており、解釈の齟齬が残っています。また、主要7カ国首脳会議がフランスのエビアンで開催され、ウクライナ情勢や中東和平に加え、人工知能が金融システムに及ぼす潜在的リスクについての議論が行われています。

      【金融政策】

      新しく就任した連邦準備制度理事会のケビン・ウォーシュ議長のもとで、6月16日から17日にかけて最初の連邦公開市場委員会が開催されます。市場では今回の会合で金利が3.5パーセントから3.75パーセントの範囲で据え置かれるとの見方が大勢を占めていますが、インフレが5年以上にわたり目標の2パーセントを上回っていることから、資産運用会社のPGIMなどは年内に3回の利上げが行われるとの予測を示しています。一方、ジンバブエ中央銀行のジョン・ムシャヤバヌ総裁は、米イラン和平合意による原油価格下落を見込んで、基準金利を35パーセントから30パーセントへ引き下げることを決定し、新通貨 ZiG 導入後初の利下げを断行しました。

      【制度・政策】

      米国最高裁判所は、ドナルド・トランプ大統領が第1期政権時に導入した、中国からの輸入品3700億ドル相当に対する追加関税の権限を支持し、輸入業者の訴えを退けました。これにより、年間350億ドル以上の関税収入をもたらす対中追加関税が維持されることになります。英国では、キア・スターマー首相が16歳未満の子供による主要なSNSプラットフォームの利用を完全に禁止する法案を議会に提出する方針を発表し、オーストラリアに続く厳格なオンライン規制の導入を目指しています。米国国土安全保障省が主導するデジタル環境では、秘密情報機関のシークレットサービスが顔認識アプリ Sentry の運用を開始し、不法移民の強制送還で使用されている Mobile Fortify と同様の技術基盤を活用してリーダーへの脅威に対処しています。

      米国個別銘柄動向

      【テクノロジー・通信】

      ・Fox Corporation(FOXA):動画配信プラットフォーム大手のRokuの買収を220億ドルで合意したと発表しました。買収は現金と株式を組み合わせた形式で行われ、同社が推進するライブニュースとスポーツを中心としたオンライン配信戦略の一環です。新株発行による既存株式の希薄化が嫌気され、株価は17パーセント下落しました。

      ・Roku, Inc.(ROKU):Fox Corporationによる1株あたり160ドルでの買収合意を受け、株価は前日の報道による20.08パーセントの急騰に続き、さらに上昇して4年ぶりの高値を付けました。買収完了後は創業者で最高経営責任者の Anthony Wood がFoxの取締役に就任する予定です。

      ・Space Exploration Technologies Corp.(SPCX):ナスダック市場への上場に伴い、主幹事会社がグリーンシューオプションを完全に行使して8330万株を追加売却し、史上最大規模となる総額857億ドルを調達したと開示しました。株価は上場2日目も好調を維持し、初値の135ドルから30パーセント以上高い174ドルまで急上昇し、時価総額は2兆ドルを突破しました。この株価上昇により、最高経営責任者の Elon Musk の資産が1.11兆ドルに達し、世界初のトリリオネアとなりました。

      ・Salesforce, Inc.(CRM):人工知能を活用したカスタマーサービスエージェントを開発するFinを約36億ドルで買収することに合意したと発表しました。自社の AI ツールである Agentforce の機能を補完し、企業向け AI サービスのシェア拡大を目指す動きで、株価は市場取引開始前に1.1パーセント上昇しました。

      ・Nuvei Corporation(NVEI):決済大手のPayoneer Global Inc.を約27.5億ドルで買収することに合意したと発表しました。1株あたり7.40ドルの現金を提供する条件で、両社の統合により年間約30億ドルの売上高と5000億ドルを超える決済取扱高を持つ巨大決済プラットフォームが誕生します。

      ・BCE Inc.(BCE):米国のインターネット事業および人工知能、データセンター分野への投資を集中させるため、全従業員の約1パーセントに相当する690人の人員削減を行うと発表しました。これは3年間の組織改編計画の一環であり、過去にオフィス出勤記録の偽装で従業員を解雇した件に続く合理化策です。

      ・Microsoft Corporation(MSFT):Xboxゲーム部門の新最高経営責任者である Asha Sharma による事業再編の一環として、傘下の Compulsion Games や Double Fine などの複数の開発スタジオの閉鎖または独立に向けた交渉を進めていることが明らかになりました。

        【半動体・ハードウェア】

        ・Nvidia Corporation(NVDA):人工知能ブームに伴う大規模な設備投資資金を賄うため、2年から30年債までの7トランシェにおよぶ投資適格格付けの社債発行をマーケティング中であると報じられました。同社による社債発行は2021年6月に50億ドルを調達して以来5年ぶりで、株価は2パーセント以上上昇しました。

        ・Advanced Micro Devices, Inc.(AMD):人工知能の処理能力を高めるための予測メモリ最適化技術を持つMEXTを買収したと発表しました。この買収により、フラッシュメモリをDRAMのように動作させることが可能になり、インフラコストの削減が見込めるため、株価は7.4パーセント急騰し、時価総額でJPMorgan Chase & Co.を一時的に上回る9000億ドル規模に迫りました。

        ・Micron Technology, Inc.(MU):人工知能向けのメモリ需要が爆発的に増加していることから、現在の会計年度の売上高が前年の49パーセント減から一転して約3倍の1114.4億ドルに急増するとのアナリスト予測が示され、株価は10.93パーセント上昇しました。

        ・Super Micro Computer, Inc.(SMCI):株価収益率が市場平均の半分以下である10.4倍以下という低いバリュエーションでありながら、2026年から2028年にかけて高い売上高成長が見込まれる割安な成長株として選定され、注目を集めています。

        【金融・投資・その他】

        ・JPMorgan Chase & Co.(JPM):グローバルマーケットインテリジェンス責任者の Andrew Tyler が、米国とイランの和平合意が株式市場全体にリスクオンの刺激を与え、強固なファンダメンタルズに支えられるとして、米国株の投資判断を戦術的に警戒から戦術的に強気へ引き上げました。

        ・Bio-Techne Corporation(TECH):アクティビスト投資家である Ananym Capital Management から、同業他社や市場平均に対して業績が低迷し株主価値を損なっているとして、身売りを含めた戦略的見直しの実施と独立した財務顧問の任命、新規取締役の選任を求める書簡を受け取りました。同社の時価総額は84.5億ドルで、年初来株価は8.2パーセント下落しています。

        ・Whole Foods Market, Inc.(AMZN):フィラデルフィアの店舗における労働組合結成投票に対する会社側の異議申し立てについて、全米労働関係委員会が再審査に値する重大な問題はないとして却下し、Amazon傘下の同チェーンとして初の団体交渉を義務付ける裁定を下しました。

        日本個別銘柄

        【半導体・電子部品・AI】

        ・キオクシアホールディングス(285A):株価は週明けに大幅に上昇し、取引時間中に初めて9万円台に乗せ、上場来高値を更新しました。時価総額は一時49兆円を超えました。前週末の米国市場で提携先のSanDiskの株価が5%上昇したことも好材料となりました。今期の当期純利益の市場予想平均は前期比9倍の約5兆円まで切り上がっています。

        ・東京エレクトロン(8035):株価は5日続進し過去最高値を更新しました。大幅な上昇を記録し、日経平均株価を大きく押し上げました。

        ・村田製作所(6981):AIサーバー向けの積層セラミックコンデンサーの需要拡大予測や目標株価の引き上げを背景に、株価はストップ高まで買われました。

        ・太陽誘電(6976):株価が23%上昇し、過去最高値を更新しました。日経平均構成銘柄の中で値上がり率トップとなりました。

        ・サムコ(6387):第3四半期決算の発表と同時に、通期の営業利益予想を従来の24.65億円から26.3億円へ上方修正を発表しました。これを受けて株価はストップ高水準まで買われ、年初来高値を更新しました。

        ・リッチアイ(521A):2026年7月期の業績予想の上方修正を発表し、売上高を29億円、経常利益を5億円、当期純利益を前期比2.7倍の3.7億円へ引き上げました。大型発注の前倒し計上が要因です。

        ・ブレインズテクノロジー(4075):前週末に発表した決算を受けて株価は下落し、気配値を大きく切り下げました。

        【機械・重工・防衛・宇宙】

        ・川崎重工業(7012):フィジカルAIの分野で米NVIDIA社や米Microsoft社と提携し、シリコンバレーに開発拠点を設立して医療・介護分野のロボットサポートを展開すると報道されました。また、国産LNG船の建造再開に関する報道も材料視され、株価は堅調に推移しました。

        ・名村造船所(7014):共同での国産LNG船の建造再開に関する報道を受け、株価は7.9%高と大幅に上昇しました。

        ・アストロスケールホールディングス(186A):2027年4月期の連結最終損益の見通しにおいて赤字幅が市場予想の2倍に拡大したことなどから、株価はストップ安売り気配となりました。

        【自動車・輸送用機器】

        ・トヨタ自動車(7203):株価が3.8%から5.2%上昇し、堅調な推移となりました。

        ・本田技研工業(7267):3年以上保有する株主を対象にホンダジェットの搭乗体験などを実施し、2026年3月末の株主数は3年間で4倍弱となる約72万人に増加しました。

        【金融・不動産・建設】

        ・三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306):国内の利上げ観測や米国の銀行株高を背景に、株価は3%超上昇し、上場来高値を更新しました。

        ・三井住友フィナンシャルグループ(8316):銀行株高の流れのなか、連日で上場来高値を更新しました。

        ・日本取引所グループ(8628):市場の売買代金増加やコーポレートガバナンス・コード改定の動きが好材料視され大幅続進し、年初来高値を更新しました。

        ・大成建設(1801):出遅れていた建設セクターへの見直し買いが入り、株価は13%上昇しました。

        ・鹿島建設(1812):建設株の上昇の波に乗り、株価が11%近い大幅上昇を記録しました。

        ・ロードスターキャピタル(3482):株式無償割当ての実施を発表し、実質的な増配となることから、株価は大幅に上昇して3,000円台に乗せました。

        【小売・外食・サービス】

        ・神戸物産(3038):中間決算の営業利益が過去最高益を更新したものの、市場予想を下回ったため株価は4%安となり、年初来安値を更新しました。

        ・クラズシ(2695):中間決算において原材料費や人件費の上昇により減益となったことが嫌気され、株価は4%下落し、1年2ヶ月ぶりの安値を付けました。

        ・J.フロント リテイリング(3086):大丸松坂屋百貨店の免税売上高が好調を維持していることなどから、6月14日までの累計売上高は前年同期比3.5%増となったことを発表しました。

        ・エイチ・アイ・エス(9603):2026年10月期の連結最終損益の見通しを、海外旅行需要の回復遅れなどを理由に黒字予想から10億円の赤字へ下方修正し、株価は10%以上の下落となって年初来安値を更新しました。

        ・スマイルホールディングス(7084):株主優待制度の拡充を発表し、株価はストップ高水準まで急上昇しました。 ・HCG(7083):新規の株主優待制度としてデジタルギフトの贈呈を発表しました。

        ・インフォメティス(557A):関西電力との間で技術提供契約を締結したと発表し、株価はストップ高買い気配となりました。

        ・ファンディーノ(246A):通期業績予想の下方修正と赤字転落を発表し、株価はストップ安を記録しました。

        【エネルギー】

        ・INPEX(1605):原油先物価格の急落を映し、株価は1.6%から2%ほど下落しました。