#68 6月18日(木) 相場レポート

株式市場動向

6月18日の主要株価指数は、S&P 500種株価指数が前日比1.08パーセント上昇の7500.58、ダウ工業株30種平均が0.14パーセント上昇の51564.70、ナスダック総合指数が1.91パーセント上昇の26517.93で取引を終えました。セクター別では、人工知能や宇宙インフラに関連する先端テクノロジー分野に資金が流入する一方で、金利上昇懸念が根強いリスク資産全般には上値の重さがみられます。

マクロ経済環境における流動性の引き締めと制限的な金利水準の継続が、株式市場の重荷となっています。実質マネー成長率から経済成長率を差し引いた超過流動性が2021年以来初めてマイナス圏に突入し、減少傾向にあるため、資本がリスク資産から長期債券へシフトする動きが強まっています。

日本国内の株式市場では、日経平均株価が6日続進し、取引時間中および終わり値ベースで初めて7万円台と7万1000円台の大台を突破しました。終わり値は前日比1151円24銭高の7万1053円49銭となり、最高値を更新しました。取引時間中には一時7万1398円58銭まで上昇する場面もありました。TOPIXも続進して最高値を更新し、4000ポイント台に乗せて取引を終えました。東証プライム市場の売買代金は11兆8691億円へと大きく膨らみ、値上がり銘柄数は1101銘柄と全体の約64パーセントを占めました。一方、東証グロー市場250指数は0.5パーセント近く上昇し、反発しました。市場では、米国市場における半導体株高や、米国とイランの戦闘終結合意に伴う地政学リスクの交代が好感されました。また、オプション市場における権利行使価格72000円のコールオプションの売り手による損失限定のための先物買いといった需給要因も、株価の急上昇を牽引したと指摘されています。

アジアの主要株式市場では高安まちまちの展開となりました。韓国総合株価指数は6日続進して最高値を更新しました。台湾加権指数も1パーセント以上上昇し、5日続進となりました。一方、上海総合指数は0.3パーセント安と反落し、香港ハンセン指数は中東情勢の緩和による影響などから2パーセントを超える下げを記録し、3日続落となりました。

為替・金利・コモディティ

【為替市場】

米国ドルは連邦公開市場委員会でのタカ派的な政策方針を受けて2日連続で上昇し、3月下旬のピーク水準に向けて値を戻しました。主要通貨に対するドルの強さを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は、連邦準備制度理事会の会合前の水準から約1パーセント上昇しています。このドル高の進行により、ユーロは3月以来の安値水準へ下落したほか、カナダドルは7カ月ぶりの安値を付け、円は2024年7月以来の安値となる1ドルあたり161.38円まで下落しました。また、ブラジルレアルは約1.3パーセント下落し、新興国市場で最も軟調な通貨の一つとなりました。これはブラジル中央銀行による利下げと、それに伴うインフレ警告を含んだ曖昧な声明文を投資家が嫌気したためです。

    【金利動向】

    米国の短期債利回りが急上昇したことで、世界的な投資家に対してドル建て資産への資金シフトを促す強いインセンティブが生まれました。長期金利の指標となる10年物米国債利回りは、木曜日後半に前日比で最大4ベースポイント低下し、4.45パーセントで推移しました。シカゴ・マーカンタイル取引所のデータによると、連邦準備制度理事会のケビン・ウォーシュ議長によるタカ派的なデビューを受けて、早ければ7月の会合での追加利上げを織り込む動きが加速し、連邦資金金利先物の取引量は過去最高となる50万枚を超えました。英国ではイングランド銀行が金融政策委員会において政策金利を3.75パーセントに据え置くことを決定しましたが、内部で2名の委員が利上げを求めて反対票を投じたことから、市場は12月までの利上げ確率を高く見積もっています。ブラジル中央銀行は、国内のインフレ圧力に対するタカ派的な警告を発しつつも、ベンチマークであるセリック金利を14.25パーセントに引き下げました。

    【コモディティ市場】

    原油価格は、米国とイランの間で暫定的な和平合意が発効したことを受けて、供給途絶リスクの警戒感が和ぎ、上値の重い展開となりました。ニューヨーク市場の終値ベースでは、北海ブレント原油先物が前日比0.3パーセント下落の1バレルあたり79.34ドル、ニューヨーク商業取引所のWTI原油先物も0.3パーセント下落の76.55ドルで取引を終えました。ドナルド・トランプ大統領が合意が間近であると表明して以降、ブレント原油は一時95ドル近くあった水準から急落したものの、年初来では依然として約30パーセント高い水準にあります。市場関係者は、ホルムズ海峡の海上封鎖が解除されたものの、タンカーの通航量が完全に正常化するまでには数カ月を要するとみています。

    マクロ環境・政策動向

    【地政学リスク・外交】

    米国とイランの間で結ばれた暫定和平合意が正式に発効し、米国中央軍はイランの港湾および沿岸地域に対する海上封鎖の終了を宣言しました。これにより、重大な輸送ポイントであるホルムズ海峡において商業船舶の航行が再開され、足止めされていた約1000万バレルの原油を積んだ船舶や、開戦以来初めてとなるサウジ企業所有のタンカーが通過を始めています。米国副大統領のJD・バンス氏は、署名された覚書の詳細な条件を詰めるための60日間の協議期間が開始されたと述べ、最終合意に向けた対話を進める方針を示しました。イランのマスード・ペゼシュキアン大統領が公開した覚書の内容によると、イランは今後60日間に限り商業船の通航料を無料とし、30日以内にすべての通航体制を復旧させる予定です。

      【金融政策】

      連邦準備制度理事会のケビン・ウォーシュ議長は、就任後初となる連邦公開市場委員会を主宰し、雇用の動向よりも物価安定の使命を前面に出した極めてタカ派的なメッセージを配信しました。これにより、ドットプロットで年内の追加利上げ予測が示されたことも加わり、債券市場では早ければ7月28日から29日に開催される次回会合での利上げ確率が五分五分の水準まで急浮上しています。英国のイングランド銀行は、金融政策委員会で金利を3.75パーセントに据え置きましたが、アンドリュー・ベイリー総裁は市場に利上げの可能性を意識させて金融環境を引き締めるアクティブ・ホールドの手法を用いました。ブラジル中央銀行は、ルラ大統領が10月の選挙に向けて実施している財政刺激策がインフレを悪化させるリスクを指摘しながらも、インフレ目標の達成評価期間を2028年第1四半期まで延長することで、今回の金利引き下げを正当化しました。

      【制度・政策】

      連邦エネルギー規制委員会は、人工知能向けデータセンターの急増による電力需要逼迫に対応するため、送電網への接続プロセスを劇的に迅速化する新しい命令を全会一致で承認しました。この措置により、従来は数年を要していた接続申請を90日以内に処理することが目指されますが、データセンター側には混雑時の需要抑制や自前の電源確保、送電網アップグレード費用の負担が義務付けされます。 米国教育省は、コロナ禍以来4年間にわたり停止していた学生ローンの強制回収措置を再開した結果、4月時点におけるデフォルト状態の借り手数が過去最高の9.16百万人に達したと発表しました。対象者は連邦学生ローン保有者の約20パーセントに相当し、政府は返済と新たな返済計画への移行を促すため、自動引き落とし登録者を対象とした臨時の金利引き下げ措置を導入します。 カナダでは自由党のマーク・カーニー首相のもとで、警察機関が民間企業から市民の電子データを取得しやすくする適法アクセス法案の修正案が可決されました。修正には、企業に対する暗号化データの復号要求の除外やメタデータの保持期間を6カ月に短縮する内容が含まれましたが、Googleなどの主要テック企業は依然としてプライバシー上の懸念を示しています。

      米国個別銘柄動向

      【テクノロジー・AI】

      ・Amazon.com Inc. (AMZN):自社開発した人工知能アクセラレータであるTrainiumチップを、他社のデータセンター向けに直接販売する方向で複数の企業と協議を開始したことが判明しました。第3世代のTrainiumチップはすでにほぼ完売状態にあり、2027年に投入予定の第4世代に対しても世界的な需要が高まっています。当日の株価は一時1.8パーセント上昇し、241.82ドルの高値を付けました。

      ・Intel Corporation (INTC):ドナルド・トランプ大統領がソーシャルメディア上で、米国における最先端半導体の設計および生産に関して同社とAppleが協力体制にあると言及したことを受けて投資家の買いが殺到し、株価は急伸して過去最高値を更新しました。

      ・Meta Platforms Inc. (META):データセンター開発企業のCrusoeとの間で、テキサス州チルドレス and ミズーリ州ウォーレントンの施設から合計1.6ギガワットにおよぶ人工知能コンピューティング電力を供給する大口契約を締結したことが明らかになりました。また、Amazonが開発した一般目的プロセッサであるGravitonチップを自社システムに導入したことも確認されています。

      ・Alphabet Inc. (GOOGL):傘下のGoogleが、2021年1月の議事堂暴動の前に民主党および共和党本部の所在地をインターネット検索した全ユーザーの身元開示を求める司法省の令状に対し、過度に広範で不当であるとして秘密裏に法廷闘争を行っていたことが未公開の裁判記録から明らかになりました。最終的に裁判で敗訴したため、対象ユーザーの個人情報を捜査当局に提出しています。

      ・Waymo:自動運転ソフトウェアに、高速道路の工事区域を正しく認識できずに進入してしまう重大な不具合が発見されたため、3871台のロボタクシーを対象とした自主回収を国家道路交通安全局に届け出ました。4月と5月にフェニックスとサンフランシスコで計13件の工事区域進入事象が発生したことを受け、高速道路での運行を一時停止しています。

        【航空・宇宙】

        ・Space Exploration Technologies Corp. (SPCX):先週金曜日に新規株式公開を果たして以降、Retail投資家による極めて強い購入意欲に支えられ、当日の株価は3.6パーセント下落したものの、IPO価格を37パーセント上回る水準を維持しています。2027年の予想売上高に対して39.2倍という驚異的なマルチプルで取引されており、時価総額でAmazon.com Inc.を一時上回りました。また、銀行団とともに少なくとも200億ドル規模となる初の投資適格級ドル建て社債の発行に向けた準備を進めていることが判明しました。

        【金融・暗号資産】

        ・Strategy Inc.:ビットコイン価格の50パーセントに達する下落と、同社がビットコインの追加購入資金を調達するために発行していたStretch優先株式の市場価格が額面である100ドルを大きく割り込んで83ドル付近まで急落したことを背景に、資本構造の悪化が懸念され、株価は前日比3.5パーセント下落しました。

        【エンターテインメント・その他】

        ・The Walt Disney Company (DIS):傘下のピクサー・アニメーション・スタジオが制作した最新映画であるトイ・ストーリー5の公開を控え、国内のオープニング週末の興行収入が1億5000万ドルから1億7500万ドルに達するとの予測がアナリストから発表され、株価のサポート要因となりました。

        ・Cinemark Holdings Inc. (CNK):北米映画市場全体の累積的な興行収入が前年同期比で15パーセント増加し、パンデミック以降で最高の回復ペースを記録していることや、大型コンテンツの供給が続いていることを受け、ベンチマーク・エキティ・リサーチのアナリストにより目標株価が35ドルから37ドルへ引き上げられました。

        日本個別銘柄動向

        【電気機器】

        ・村田製作所 (6981):国内証券会社による投資判断の最上位への引き上げと、目標株価の4000円から13400円への大幅な上方修正をきっかけに急騰しました。取引時間中に過去最高値となる12850円を記録し、終値は9パーセント超の上昇となりました。AIサーバー向け積層セラミックコンデンサーの需要拡大が強く意識されています。

        ・太陽誘電 (6976):株価の急激な上昇に伴うバリエーションの割高感から、複数の証券会社によって投資判断が引き下げられました。株価は一時3パーセント超下落するなど売り買いが交錯し、終値は2.3パーセント安となりました。

        ・イビデン (4062):主要顧客であるインテルの生産技術進展に関する発表を受けて買いが波及し、上場来最高値となる26390円まで買われ、8パーセントの上昇となりました。

        ・東京エレクトロン (8035):半導体関連株への資金集中を背景に上場来最高値を更新し、5パーセント近く上昇しました。

        ・レーザーテック (6920):半導体およびAI関連株の物色トレンドに乗り、連日で上場来最高値を更新し、6パーセント近い大幅高となりました。

        【サービス業】

        ・リクルートホールディングス (6098):野村證券による投資判断 of 引き上げおよび目標株価の8000円から16000円への大幅引き上げを受けて急騰し、年初来高値に接近、終値は7パーセント高となりました。米国市場における求職メディア事業の増収効果と費用管理によるマージン拡大が評価されました。

        【情報・通信業】

        ・コナミグループ (9766):ゲーム関連株全体に売りが広がる中で下落基調が強まり、9パーセントを超える大幅安となって年初来安値を更新しました。

        ・ディー・エヌ・エー (2432):ゲームセクターの軟調な地合いに押され、株価は5パーセント安となりました。

        ・デジタルプラス (3691):同社のデジタルギフトが北海道の物価高騰緊急経済対策におけるポイント給付事業の交換先に採用されたことが発表され、ストップ高まで買われました。

        ・コアコンセプトテクノロジー (4371):建設DX推進シンクタンクとの協業を発表し、株価は10パーセント以上の大幅高となりました。

        【銀行業】

        ・三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306):日銀の利上げ方針や米国の金利高止まりによる利ざや改善期待、さらに個人投資家からの根強い買い需要を背景に、上場来高値を更新しました。

        ・三井住友フィナンシャル・グループ (8316):金利上昇に伴う収益拡大期待からバリュー株物色の流れに乗り、上場来高値を更新しました。

        ・みずほフィナンシャル・グループ (8411):日米の金利環境の変化を追い風に買いが先行し、19年ぶりの高値水準に到達しました。

        【不動産業】

        ・住友不動産 (8830):東京都が導入するアフォーダブル住宅整備に伴う容積率緩和制度が、中央区や渋谷区の再開発に初適用されるとの報道を受けて買われ、株価は2パーセント程度上昇しました。

        ・コロンビアワークス (6552):プライム市場への市場区分変更申請に向けた準備開始、および上限2.2億円の自社株買いを発表し、株価は4.5パーセント上昇しました。

        【輸送用機器】

        ・トヨタ自動車 (7203):原油安によるコスト低減などの好材料が意識されず、バリュー株内での資金選別の動きなどから3日続落となりました。

        ・近畿車輛 (7122):香港の投資ファンドであるオアシス・マネジメントが同社株式を6.96パーセント保有していることが大量保有報告書で判明し、経営効率化や構造改革への思惑から、株価は一時9パーセント近く急騰しました。

        【海運業】

        ・商船三井 (9104):2035年に向けた経営計画のフェーズ2において、2030年度の経常利益目標を3400億円から4200億円へ情報修正したことを発表しました。また、1株当たり205円を起点とする累進配当の導入や総還元性向40パーセントの提示など、新たな株主還元方針を公表しました。しかし、中東情勢の緊張緩和に伴うコンテナ船運賃下落の警戒感から、同社株を含む海運セクター全体は値下がりしました。

        【その他製品】

        ・サンリオ (8136):元常務の不適切報酬問題により延期していた前期の通期決算を6月23日に発表すると開示し、悪材料出尽くし感から株価は3日続進し2.4パーセント高となりました。決算会見には辻朋邦社長が登壇する予定です。

        【化学】

        ・扶桑化学工業 (4341):半導体製造に用いられる超高純度コロイダルシリカの生産設備に対する政府の補助金確定通知を受領したこと、および今期の純利益予想の上方修正を発表し、株価は6日続進し大幅高となりました。

        【機械】

        ・小松製作所 (6301):北米市場における追加値上げの可能性や為替の円安推移によるメリットを背景に、会社計画を上回る純利益水準への期待感から株価は0.7パーセント高となりました。

        【小売業】

        ・ニトリホールディングス (9843):外国為替市場における急速な円安の進行にともなう輸入コスト増など、円安デメリットが嫌気され、株価は4パーセントを超える下落となりました。